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■光時間とは何か?

まずは外の景色を眺めてください【解説2】。

部屋の中の景色でもかまいません。遠くのものと近くのものでは、異なる時刻の出来事を見ていることに気がつきましたか?私たちが今見ている景色は同時に起こっている景色ではなく、私たちの目に入るのが同時の景色です。遠くの景色は時間をかけて、近くの景色は時間をかけずに目に入ってきます。それぞれ異なる時刻の出来事が集まって景色を形成していることがわかりますよね。これが夜空の星になるともっと極端になり、ある星は数年前の、またある星は、数万年前の光を見ていることになります。これは冷静に考えると当たり前のことではありますが、このことから「同時刻の現実を見ること」は物理的な意味では原則的に不可能であるということがわかります。つまり、景色や夜空を構成するそれぞれの時間経過は異なり、発光した、または、反射した光が観測者の目に入るのが同時の、観測者にとって固有のものであるということが明らかです。見ている人が異なれば異なる景色になります。ここで、仮に二人の観測者が同じ位置で景色を見ることができたとしてもこの二人が相対運動をしていれば、景色は変わることがわかりました。これが光時間の意味です。原則的にとした理由は、第2回で説明した光時間計測装置を用いた仮想物理実験の場合のみ同時の現象を見ることができるのであり、現実の社会では難しいということであります。つまり相対運動は観測者にとっては可視空間の視覚的な変化、時間経過の変化をもたらすことがわかりました。こうした見かけの変化はさまざまな相対運動によりきわめて多彩であることが分かっています。当連載ではその一部を紹介させていただきました。



■相対運動による力学現象の見かけの変化

異なる慣性系の相対運動を観測すると、光時間が変化することによって見かけ上、力学現象も変化したかのように見えることがわかりました。たとえば、高速で向かってくる慣性系内での等加速度運動を観測すると光時間が進むので見かけより早く加速して見えることになります。見かけの加速度が速くなると見かけの質量は減少して見えます。逆に高速で離れていく慣性系内での等加速度運動を観測すると見かけの加速度は小さく見えます。見かけの加速度が小さくなると、見かけの質量は増加して見えます。この見かけの質量の増減は、回転慣性系においても当てはまります。直交条件では、アインシュタイン相対論の質量増加に一致します。アインシュタイン相対論では質量が増加するという結論であるのに対し、異説相対論では直交条件の時にはあたかも質量が増加したかのように見える、つまり、見かけの質量増加が観測できるわけであります。しかし、実際の質量は増加しません。

  ここで等加速度運動の代わりに等速運動を観測する場合を考えてみましょう。高速で向かってくる慣性系内で生じている等速運動を観測すると、光時間が進むので見かけより早い速度で観測されることになります。見かけの速度が速くなるのです。逆に高速で離れていく慣性系内では見かけの速度が遅くなるのです。つまり相対運動を伴うと見かけの力学現象は異なって観測されます。相対運動による空間の拡縮に伴い、周波数の増減や波長の拡縮が観測され、速度や加速度の見かけの増減を引き起こします。これは、宇宙の観測結果にもきわめて重大な影響を及ぼすと考えられます。高速や低速で回転したり運動したりという観測結果は、光時間の変化率で補正しなければニュートン力学を適用してはいけないということが明らかであります。観測結果にそのままニュートン力学を適用すると、質量や速度、加速度は実際とはかけ離れたものになると考えられます。これらはすべてが、見かけの現象になっていることに注意しなければならないのです。我々が見たり、観測したりしているのは可視宇宙、または、見かけの宇宙の現象であってこれらに直接、物理法則を適用してはいけないということです。普遍宇宙の出来事に対して物理法則を適用しなければいけないのです。ダークマター(暗黒物質)と呼ばれている謎の質量やエネルギーが宇宙には多量に存在すると予測されています。しかしその観測はできていません。このダークマターも銀河の回転運動の観測結果から存在するであろうと推測されているのですが、異説相対論では見かけの現象であることも十分に考えられます。光時間の変化を考慮してからダークマターの存在の議論をしたほうが良さそうです。この光時間の変化や見かけの現象を把握しておくこと、つまり普遍宇宙での現象を把握することが、さまざまな天体の質量の同定や距離の同定に大きな役割を果たすと考えられます。



■普遍宇宙と可視宇宙(見かけの宇宙)

2部では、宇宙は無限の広さを持ち無限の時を経て現在に至っていると述べました。もしそうであれば、はるかかなたから太古の光が地球に到達し、夜空は明るくなってもよいはずです。しかし、夜空は暗い。この疑問に対して、私は第1部で述べた黒色星や超高エネルギー宇宙線UHECRのメカニズムが夜空の暗さに深くかかわっていると考えています。地球から見て相対速度が光速を超えた天体や素粒子が暗黒の幕を形成し、夜空を形成しているのではないかと考えています。したがって、別の天体や別の惑星に行けば別の夜空、別の宇宙が広がっているのだろうと思っています。これも地球から見た可視宇宙、つまり見かけの現象であって、夜空の暗さと絶対温度2.73Kの宇宙背景放射のメカニズムではないかと思っています。夜空の暗さや黒色星、クエーサー、重力レンズと銀河の形状【解説3】や銀河の運動など、見かけの世界はわれわれの夜空の世界を形づくっているようであります(図4)。



この考えからすると、宇宙には無数の天体(慣性系)が存在するので、それぞれの慣性系ごとにそれぞれの見かけの宇宙が存在するようです。しかし、実在する宇宙は唯一のものであります(図5)。

この実在する宇宙が「普遍宇宙」なのです。しかし、だれもこの普遍宇宙を見ることはできません。神のみぞ知ることができるのです。この、「普遍宇宙」を知るためには、観測結果と数値シミュレーションを組み合わせて、こつこつと探るしかないと思います。いわゆる逆問題を解くことに他なりません。これができて初めて人類は宇宙の微細な構造の一部を垣間見ることができるようになるのだと思います。



■天地相動説

 普遍宇宙と可視宇宙の違いを分かっていただけたでしょうか?地球が公転などの回転運動をしているので、見かけの宇宙は普遍宇宙とまるで異なった視界が観測者から見えるのです。大昔、人々は天が動いていると思ったようです。その後、コペルニクスやガリレオの説により、現在では、だれもが地球が動いていると思っています。天動説から地動説に変わりました。異説相対論では、地球が動くことによって天が我々が見ているように動いているということになりました。このことは、明らかに天動説や地動説と異なる解釈になります。これを天地相動説と呼ぶことにします。「異説:宇宙のメカニズム」の結論はこの天地相動説、つまり「地球が運動するから見かけ上、地球から見ているように天が動いて見える。」ということを提唱したいと思います。

■古典力学と宇宙論

異説相対論が正しいとすると、適用限界を超えたとされているニュートン力学・ガリレイ変換は回転慣性系の運動に関して一部の修正をすれば、完全に復活し力学の中心理論として生き続けることになります。工学の分野ではこの100年の間での理論の進展は大きく、かつ、コンピュータの発達で数値解析をベースとした運動力学、振動解析、構造力学など相対運動においても光時間変化率で補正すれば大きな変更なしに適用することが可能となります。特に、これらの分野では円筒座標、球座標を参照座標として用いるのはごく当たり前の技術になっていて、異説相対論との相性は非常に良くなります。この技術を応用して普遍宇宙モデルの作成にとりかかりましょう。普遍宇宙モデルを作成できればCG(コンピュータグラフィックス)で可視宇宙を視覚的に表現できます。そうすれば実際の観測結果と可視宇宙のCGを比べることにより普遍宇宙や惑星での現象、見え方、電磁波の周波数分布、温度などを詳細に検証でき宇宙物理学は大変な進化を遂げることができると考えます。

 




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