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11月24日のおはなし「微笑みハイミネーター」

女「嘘言ってると思ってるでしょう!」
男「嘘? そんなことはありませんよ」
女「だからわたしが言ってるのはね、ジョニー・デップがわたしに笑ったって、わたしだけに、わたしだーけーにー」
男「はい」
女「ほらあ」
男「?」
女「そこで『はい』ってね、そういう風にいうのは信じてない証拠なんだよ。うん。わかる?」
男「はい」
女「あー!『はい』っていま言った。また言った。認めてんじゃん信じてないって」
男「お客様の説明がよくわかりましたので」
女「ジュンコでいいよう」
男「え」
女「ジュンコ! お客様とか言わないでよ、よそよそしい」
男「かしこまりました、ジュンコさま」
女「だああああああああ、かあああああああ、らああああああ! かしこまらないでくれる? ってか、いまの世の中誰がかしこまってるのさ、その年齢で。ね、あんたいくつ? っていうか名前何だっけ」
男「コバヤシです」
女「……」
男「……」
女「ああ! ごにょごにょ言っててよくわかんない! ちゃんと名前まで言ってフルネーム」
男「コバヤシタケシです」
女「ふふ」
男「おかしいですか」
女「おかしかないわよ。ふふ。ふふふ」
男「平凡な名前ですから」
女「ふふふふふ、うふふう」
男「なんかツボにはいっちゃったみたいですね、お客様の」
女「ジュンコ!」
男「え? あ、ジュンコ様」
女「様とかつけないで」
男「ジュンコ、さん」
女「だ!……まあいいか。それでコバヤシタケシ」
男「はい」
女「コバヤシタケシはどうしてこんなところで働いているの?」
男「気に入ってますので」
女「またあ」
男「『またあ』って」
女「コバヤシタケシはさ、優等生なんだよね。そうやってさ、マスターが聞き耳立ててるからってさ、『気に入ってますので』なんて」
男「本当に、とても気に入っているんですよ」
女「ああそう。百歩譲ってよ……」
男「はい」
女「百歩譲って?」
男「はい?」
女「百歩譲って、って何をお願いしているのかな」
男「え?」
女「譲って!って、言ってるじゃない?」
男「はい」
女「何を譲って欲しいの? 百歩? 百歩って何? 靴かな? 違うよそれじゃ百足だってば! はははははははは、おかしいんだ! コバヤシタケシったら」
男「あ……はい」
女「面白いよねえ、コバヤシタケシ。良く言われるでしょう」
男「ふだんは、そこまでは」
女「だあああああから、そういうところが優等生なんだよ。彼女いる?」
男「いえ」
女「あ!」
男「どうされました」
女「言えるんだ」
男「え?」
女「コバヤシタケシ、『いえ』って言えるんだ。あ、びっくり。びっくりひっくりしゃっくり」
男「『いえ』って言ったから、ですか」
女「そうだよ。あんた絶対『はい』しか言えないと思ってた。そういうプロ、プゴ、プゴグラムになってるのかと思ってた。ターミネーターみたいにさ。絶対『はい』しか言わないの。ハイミネーター」
男「はい」
女「そうやって微笑み浮かべてさ、あんたは微笑みハイミネーターかっつーの!」
男「微笑み、ハイミネーター、ですか」
女「絶対に『いいえ』って言わないの」
男「言っちゃいましたけどね」
女「違うよ。あいつ、あいつだよ」
男「はい?」
女「一緒に暮らしててさ、喧嘩するじゃん、頭に来ることあるじゃん、どうしたってさ」
男「はい」
女「そうしたらさ、うんうんって聞くんだよね。うんうん、うんうんって」
男「はい」
女「そしたら馬鹿みたいじゃん。こっちは『どうして男女7人秋物語、ビデオ
っといてくれなかったの!』って涙流して怒ってるのにさ」
男「男女7人」
女「秋物語」
男「はい」
女「再放送よ。私そんなに年じゃないからね」
男「はい」
女「違うなら違うって言えばいいじゃん。そんなに言うならお前が録れよとかさ」
男「はい」
女「結婚するはずだったんだ」
男「はい」
女「コバヤシっていうんだ、そいつ」
男「え?」
女「それでもう一人がタケシ」
男「もう一人?」
女「結婚するはずだったやつ」
男「あ……はい」
女「ああ眠い」
男「いま、おしぼりお持ちします」
 男、おしぼりを持ってくるが、机に伏して眠っている女を見て、肩のショールを掛け直してやる。 

(「結婚」ordered by ピーターパン阿部-san/text by TAKASHINA, Tsunehiro a.k.a.hiro)

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 Sudden Fiction Project(以下SFP)作品を読んでいただきありがとうございます。お楽しみいただけましたでしょうか? もしも気に入っていただけたならぜひ「コメントする」のボタンをクリックして、コメントをお寄せください。ブクログへの登録(無料)が必要になりますが、この機会にぜひ。


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 ちょっと楽屋話をすると、71日にこのプロジェクトを開始して以来、日を追うごとにつくづく思い知らされているのですが、これ、かなり大変なんです(笑)。毎日1篇、作品に手を入れてアップして、告知して、Facebookページなどに整理して……って、始める前に予想していたよりも遥かに手間がかかるんですね。みなさんからのコメント、ツイート(RT)、「いいね!」を励みにがんばっていますので、ぜひご協力お願いいたします。


 読んでくださる方が増えるというのもとても嬉しい元気の素なので、気に入った作品を人に紹介して広めていただけるのも大歓迎です。上記Facebookページも、徐々に充実させてまいりますので、興味のある方はリンク先を訪れて、ページそのものに対して「いいね!」ボタンを押してご参加ください。


 10月からは「11篇新作発表」の荒行(笑)を開始し、55作品ばかり書き上げる予定です。「急募!お題 この秋Sudden Fiction Project開催します」のコメント欄を使って、読者のみなさんからのお題を募集中です。自分の出したお題でおはなしがひとつ生まれるのって、ぼくも体験済みですが、かなり楽しいですよ! はじめての方も、どうぞ気軽に遠慮なくご注文ください(お題は頂戴しても、お代は頂戴しないシステムでやっています。ご安心を)。


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奥付



微笑みハイミネーター


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著者 : hirotakashina
著者プロフィール:http://p.booklog.jp/users/hirotakashina/profile


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