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第3回世界カンチョー選手権

http://www.youtube.com/watch?v=lZ8D0qH2wmY

 

「全世界2億7千万のカンチョーファンの皆様こんばんは。

本日は、第3回世界カンチョー選手権のもようを、

ここさいたまスーパーアリーナよりお送りいたしております。

実況はわたくし高梨洋一郎、

解説は元日本代表の藤田和宏さんにおこしいただいております」

「藤田です、今日はよろしくお願いします」

「よろしくお願いいたします。

さて、今回で第3回を迎えます世界カンチョー選手権。

日本での開催は今大会が初めてになります。

このたび初めてご覧になる視聴者の皆様に、簡単にルールをご説明いたします。

カンチョーは二人の選手が指を使用して、おたがいの肛門を交互に突きあうという競技です。

選手は先攻と後攻にわかれ、後攻の選手は足を1フィート、

約30センチはなれた規定のボックスの中に納め、おしりをつき出します。

先攻の選手はその背後に立ち、ブザーがなって10秒以内に相手選手の肛門めがけて指を突き入れます。

攻撃を受けてボックスから足が出てしまう、または、ひざなど足の裏以外が地面に触れてしまうと失格となります。

選手が攻撃に耐えきる、あるいは規定の10秒を過ぎてしまうと攻守が入れ替わります。

こうしてどちらかが失格になるまでおしりを突きあうわけですが・・・、

おっとなにやら場内がざわめいております。

これは、

来ました。

準々決勝を勝ち抜いて、

見事セミファイナルまで勝ちあがってきた勇者たちの登場だ。

まずはわれらが日本代表、一文字菊之助。

若干17歳、高校二年生が、この世界の大舞台に望みます。

これまでトルコのマハル、韓国の李を下しております」

「彼は非常に有望な選手ですよ、ここまで来たからにはぜひ優勝して欲しいですね」

「つづいてはアメリカ期待の新人、

メタボリックイージス、スティーブ=マクミランの登場だ。

体重180キロを超える脂肪のかたまりは、文字通り肉のカベとなって何人の指も通さない」

「今までに無いタイプの選手ですね」

「つづいて現れたのは

ブラジルのカルロス=ベルモンテ、場内に愛嬌を振りまいております」

「大会屈指の技巧派ですね、要注意の選手ですよ彼は」

「そして一段と大きな歓声を受けて、

最後はこの人、鋼の肛門〈アヌス〉を持つ男、

第1回大会、第2回大会ともに優勝し、また今大会も連覇を狙う、

ドイツ代表、皇帝ルドルフ=バイシュミットの登場だ」

「現役時代、彼と一度だけあたったことがありましたが、

攻撃をしたこちらの指がどうにかなりそうでした」

「はたして今回も連覇を成し遂げることができるのでしょうか。

さぁ、いま組み合わせのくじ引きが引かれ、出ました。

セミファイナル第1試合はブラジルのカルロス、

そしてわれらが若き挑戦者、一文字菊之助だ。

つづいて第2試合にはアメリカのスティーブと、皇帝ルドルフとなります。

 藤田さん、この組み合わせはどう見ますか」

「そうですね、ベテランで技巧派のカルロスに対して

経験の少ない一文字がどう対処できるか、せめて先攻を取って優位に立ちたいですね」

「なるほど、

さて、両者レフェリーにより爪のチェックを受けております。

規定では爪の先の白い部分が2ミリを越えていればその場で爪を切らなくてはなりません」

「逆に攻める側にとっても危険なんです。爪がはがれてしまうことがあるので」

「さぁ爪のチェックが終わっていよいよ運命のコイントス。

先攻は・・・これはうれしい一文字。

会場からは割れんばかりの拍手が巻き起こります」

「やはり先攻が有利ですからね」

「さぁカルロス選手ボックスにつきました。

両手のひらを規定どおりひざの上に置きます。

一文字大きく深呼吸をしてカルロスの後ろへと回りこむ。

審判の旗が赤から白へと変わります。

すべての準備が整って、いまブザーが、なったー、

が、どうした、一文字動かない。いや動けない。

カルロスが大きく腰を振り、ねらいをつけさせない作戦だ」

「サンバのリズムですね」

「カウントダウンの電子音が、

3、2、あーっとあせった一文字、右のおしりを打ってしまった。命中ならずー」

「あれはあれで痛いんですけどね」

「さぁ今度は攻守交替、一文字がボックスへと入ります。

心なしか緊張しているようす。

カルロス、体を軽くゆすりながら一文字の後ろについてかまえます。

指は人差し指に片方の中指をそえたトライアングルスタイル」

「このスタイルは安定感がありますよね」

「いま審判が白い旗をあげ、ブザーがなった。

カルロスはまだ打たない」

「じらしますね」

「一方の一文字、力を入れている様子はありません。

ちょっとこれは無防備すぎやしませんか」

「いや、彼はねらって・・・」

「おおっとカルロス動いた、

一文字は・・・

なんと、打ち込まれる寸前にカルロスの指を尻ではさみこんだ」

「彼得意の真剣尻刃取りですね。いやー、見事に止めました」

「まったくひやひやさせます一文字菊之助。

カルロス首をかしげて納得のいかない様子、しぶしぶといった様子で攻守を交代します。

さて、一文字指を組みかえましたねぇ、まるで忍者が術をとなえるような構えです」

「人差し指一本の一文字流ですね。

相当指の筋肉に自信がないとできませんよ」

「さぁブザーが鳴って、カルロスまたもや腰を振ります。

おっと一文字、目を閉じてしまったぞ

5、4、さ、決まったー

一文字の人差し指が

カルロスの尻に突き立ったー

カルロスは、こらえる、こらえる、

こらえるが、ダメだー

今がっくりとひざをつく。

一文字菊之助、決勝進出だー」

「心眼ですね、心の目です。さすが一文字君。さすがです」

「さぁ、スローのVТRをみてみましょう。

高速で動くカルロスの腰を・・・

ここです。

ねらいすましたように一突きにしました。

藤田さん、先ほど心眼とおっしゃいましたが・・・」

「彼の集中力のなせる技ですね、国内の試合でもカルロスのようにかわそうとする選手はいますが、

尻の気配、バランス、動きのパターンそのすべてを感じ取って、あわせていく

並の選手にはできない芸当です」

「なるほど、若くして彼はそれほどのセンスを持ち合わせていると」

「そういうことですね」

「さて、ここで日本カンチョー協会から皆様にお願いがございます。

カンチョーはたいへん危険な格闘技です。

訓練を受けていない方がいきなり行うと痔や打撲傷など思わぬ怪我をする、

または相手に怪我を負わせてしまう

こういったおそれがあります。

くれぐれも軽はずみにまねをしないようお願い申し上げます」

「お願いします」

「さて、準決勝第2試合の準備がいま整った模様です。

おっとスティーブ、なにやら審判から注意を受けていますね、

どうやらルドルフに対して挑発行為を行っていたようですね」

「カンチョーは紳士のスポーツですからね、紳士的に臨んで欲しいですね」

「さぁ気を取り直して先攻を決めるおっとルドルフ自らボックスへと、

これは、自分は後攻でいいとアピールしています」

「王者の貫禄ですね」

「挑発にのってやるぞ。と、

新人の攻撃など受けきって見せるぞ。と、

ひとつ平手で活を入れ、自信たっぷりに腰を突き出しました。

審判が白い旗をあげました。

どうやらコイントス無しでのルドルフの後攻を認めるようです。

スティーブ肩を回しながら、

ゆっくりとルドルフの後ろにまわります。

さぁスティーブかまえた。

型は、中指と人差し指をすべて使ったマグナム」

「スティーブ選手は指が太いので力が分散しそうですね」

「白旗が揚がって、いまブザーが、

なったと同時にスティーブ選手突き上げた

すごい咆哮、

すごい雄たけびが会場内に響きます。

ルドルフ選手は、

しっかりと受け止めた。

さすが皇帝、

さすが「鋼のアヌスを持つ男」」

「スティーブ選手の体重の乗ったあの一撃を難なく受け止めるルドルフ選手。

さすがです、いや実に見事です」

「攻守を交代して、いまスティーブ選手がボックスに入ります。

こうしてみますとすごいお尻ですね」

「彼はいままでこの肉の壁で攻撃を防ぎきっています。

ルドルフなら打ち破れると思いますが」

「さぁ皇帝ルドルフ後ろについた。

構えは人差し指2本のストロングスタイル。

体は低く構えます」

「彼はこの世界に入るまでは

ドイツ陸上会屈指のスプリンターでした。

あの低い姿勢から瞬発力を生かした一撃を叩き込めば

スティーブの肉の壁を打ち破ることができるかもしれませんね」

「さぁ審判が白旗を揚げて、ブザーが鳴った。

ルドルフ体を沈めて

いま打った。

が、なんとスティーブ微動だにしない

どうやらルドルフの手は手首まで尻の肉にかくれているようだが」

「とどいてないみたいですね」

「まさにメタボリックイージス。

分厚い肉の壁が鉄壁の盾となって、肛門に指を寄せ付けない。

さぁ攻守の交代、

ルドルフほっぺたを叩いて気持ちを切り替え

いま、ボックスにつきました。

そして右肩をぐるぐると回して

スティーブ不思議な格好で構えましたね。これは、野球のピッチャーのようだ」

「めずらしいフォームですね」

「さぁ審判のそれでいいのかという合図に

スティーブがうなづいて、いま白旗が揚がります。

ブザーが鳴って、ああっとスティーブ。

まるでソフトボールを投げるように、

遠心力を加えてこぶしをルドルフに叩き込む。

しかしこぶしを叩き込むのは、

いや、刺さっている。

スティーブの親指がルドルフの肛門に。

場内には割れんばかりのルドルフコール。

しかしルドルフ、その顔が次第に青ざめ、

いまドクターが駆け寄ります。

ドクターが手を振る。

なんとドクターストップ。

なんと言う番狂わせ、

決勝に進出したのはアメリカの新人

メタボリックイージス、スティーブ=マクミランだ」

「親指による攻撃と言うのは

カンチョー史上初めてではないでしょうか。はじめてみました」

「放送席、放送席」

「はい試合会場の田中さん」

「えー、ルドルフ選手の容体ですが、

一時的に気を失っただけ、命に別状は無い模様です。

いま立ち上がって、ああっとだいぶひざにきているようですね

担架で運ばれていきます」

「そうですか」

「それと勝ったスティーブ選手ですが

先ほどのアンダースローのような攻撃はバンカーバスターと呼んでくれ

この調子で優勝はオレがいただく

とのコメントをいただきました。以上です」

「わかりました。ありがとうございます。

さて、大本命のルドルフ選手が消え、

決勝に残ったのがいずれも今大会初参加の

一文字とスティーブ。

波乱含みの展開になってまいりましたがいかがですか藤田さん」

「そうですね、何がおきるかわからないそれがカンチョーですから。

とはいえ、スティーブ選手のあの肉の壁を一文字選手がどう打ち破るか。

一文字選手が60キロ、スティーブ選手が180キロ、

体重差で3倍ですからね、ちょっとやそっとでは

ううん、むずかしいかもしれませんね」

「ううん、一文字選手の健闘が望まれます。

さて、決勝戦の準備がととのったようですね。

会場アナウンスの選手紹介に

割れんばかりの拍手が鳴り響きます。

続きまして国歌斉唱、

まずは雄雄しくアメリカ国歌「星条旗」が

続きまして厳かに「君が代」が流れます。

さぁ両者、再度レフェリーからのボディーチェックを受けます。

そして運命のコイントス。

先攻は・・・

一文字小さくガッツポーズ」

「なんとか一撃で決めれればいいですが」

「スティーブがボックスにつきます。

不敵な笑みを浮かべております。

一文字、とんとんと体をゆすりながら、

スティーブの後ろに回りこみます。

が、一度はずして、

体を低くして、これは、

イメージをしっかりと固めている様子」

「あの肉の壁を目の前にしたら、しっかりとイメージを固めていかないと」

「さあ納得がいったか一文字、再びスティーブの後ろへと立ちます。

会場からは大きな歓声と一文字コール。

一文字、体を大きく沈ませて構えます。

指は・・・

組まずに手のひらを合わせただけ。

これは・・・」

「一点突破の一文字流がいいかとは思うんですが」

「さぁ、審判が白旗を揚げ、

いま運命のブザーが・・・

なった。

動いた。

体ごといった。

スティーブは、

こらえきれずにひざをついた。

勝ったー。

優勝は一文字。

若干17歳が世界の・・・

おや、審判が赤の旗を・・・

これは・・・

いま審判団が集まって協議をしています」

「特に問題点は見られませんでしたがね」

「いったいどういうことでしょう。

あ、いま審判長がマイクを持ちました」

「え、ただいまの一文字選手の攻撃ですが、

審判団の協議の結果、ホールドと判定されました。

一文字選手には一回休みのペナルティが与えられます」

「審判長の言葉に会場全体がどよめいております。

一文字選手、納得のいかない様子で審判に詰め寄ります。

あ、ただいま先ほどのVTRが届きました。

スローでごらんいただきましょう。

一文字、閉じた手のひらを

スティーブのお尻に差し込み、

指先を開いて尻たぶを押し開き親指を突き立てました」

「これホールドとりますかぁ」

「ホールドというのは相手の選手の体を固定して

カンチョーを打つという反則ですが・・・

一文字選手折れました。いまボックスへと向かいます。

一方のスティーブ選手、顔を真っ赤にしています」

「ずいぶんカリカリきてるようですね」

「右の肩をぶんぶんとまわしてバンカーバスターの構えをとりました。

審判の白旗が揚がり、いまブザーが、

なった。

いったー。

吹っ飛んだー。

判定は。

スリップダウン。

一文字とっさに直撃をかわして

左の尻で受けました。

しかし一文字、その左のしりが真っ赤にはれている」

「痛そうですねー折れてないといいんですが」

「一文字なんとか立ち上がります。

つらそうにボックスへと向かいます」

「それでもかわしたからこれですみましたが

まともに受けたらただじゃすみませんよ」

「一文字ボックスを前に手で赤くはれた尻をさすります。

そこへ早くボックスへつくようにとスティーブがせかします。

一文字ボックスへと入りました」

「大丈夫です一文字。目は死んでません

がんばれ一文字」

「さぁスティーブまたもバンカーバスターの構え。

審判が白旗を揚げて、ブザーが鳴る。

余裕のスティーブ右腕を高く掲げ

いったー。

いや時間差。

一文字は。

必死にひざに爪を立ててこらえている。

必死に食いしばる奥歯。

目尻には涙が浮かぶ。

レフェリーのカウント。

3、4、5、6、7、8、9、10。

耐え切ったー。

一文字、スティーブのバンカーバスターを見事に耐え切りました。

ボックスをはずした一文字。

いまがっくりとひざを付き、両手をついて肩で荒い息」

「いやーよく耐え切りました」

「さぁただいまのVTRが届きました

スローで見てみましょう。

スティーブが一度腕を回し、

それをかわすように一文字腰を動かします。

それにあわせてもう一度スティーブ狙いすませて親指をあわせていきます」

「意外と技巧派ですね、スティーブ

しかし一文字君は今回は耐えましたがもう一度あれをもらったらただじゃすみませんよ」

「スティーブはボックスについて早く来いと言わんばかりに尻をたたいて挑発します。

一文字なんとか立ち上がるがううん、若干ふらつきますね」

「がんばれ一文字」

「場内は一文字コール一色です。

その声援をいっぱいに受けて一文字、スティーブの後ろへと回りこみます。

低く構える一文字。

指先は、

右手と左手をずらした段違いマグナム。

さぁ審判が白旗を揚げた。

ブザーが鳴って、

一文字動いた。

スティーブ息をのむ。

内股になって

肩から崩れた。

審判は

白い旗

これは、決まったー

優勝は一文字。

第3回世界カンチョー選手権を制したのは

若干17歳。

若きサムライ。一文字菊之助だー」

「やりました、やってくれました」

「VTRが届きました。

これは、スムーズに指が飲み込まれていきましたが」

「汗ですね、スティーブ選手の汗です。

汗が潤滑油の働きをして無防備に指を導く体勢を作ったのではないでしょうか。

普通は拭くんですけどね。

スティーブ選手の慢心が呼んだ敗北ですね」

「なるほど、

さて、残念ながらお時間となりました。藤田さん今日はありがとうございました」

「こちらこそ、ありがとうございます」

「それでは次回、第4回スペインバルセロナ大会でまたお会いしましょう。

さようなら」         

 おわり


この本の内容は以上です。


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