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さくらねこにはおとうさんもおかあさんも友達もいません。

ひとりぼっちのさくらねこはひとりぼっちで旅を続けていました。

 

途中、お水を飲みに小さな泉に立ち寄りました。

泉には、おしゃべりがとても好きな

魔法使いのかえるの青蛙(せいあ)が住んでいました。

 

 

 

 

 

 

 

 


青蛙は尋ねました。

「どうして、旅をしてるんだい?」

さくらねこはこたえました。

「あてはないのですが。。。

幸いというものを探しています。

聞いた話では、すごくよいものらしいのです。」

 「幸いか。。。おれは、これこのとおり足が一本ない。

魔物と契約したんだ。足一本と引き変えに。

それでむずかしい魔法をかけることができたのさ。

青蛙は、ひとりで嬉しそうにしゃべり、喉をクルクル鳴らしました。

「それがあなたの幸いなんですね。

さくらねこも笑ってこたえました。

「そうさ。あれでよかったんだ。足一本ですんだんだから。

ねえねえどう思う?そう思わないかい?」

青蛙のおしゃべりはいっこうにとまりません。

青蛙はさくらねこを泉にずっと引き留めようとしました。

でも、さくらねこは丁寧にお礼を言って立ち去りました。

 

 

 

 

 


しばらく行くと野原に出ました。

歩いているとイヌタデが話しかけて来ました。

「どこへ行くの?」

「あてはありません。」

「あてもないのに行くの?」

「はい。幸いというものを探していますから。」

「幸い?。。幸い?。。それは何?」

「わからないから、探しているんです。」

「森になら知っている人がいるかもしれないわね。」

「ありがとう。行ってみます」

さくらねこは、イヌタデにお礼を言って野原を去りました。


さくらねこが森につくと中からゆっくり森の番人たちが出て来ました。

森の番人は大きな目を持つ黒い四つ足の魔物です。

大きな角がまえ鬼、小さな角はうしろ鬼と呼ばれていました。

森に入るためには

この番人たちの許しをえないと入ることができません。

 

 

 


「どこへ行く?」

まえ鬼が、大きな低い声で聞きました。

「はい。幸いを探しております。」

さくらねこはこたえました。

「幸い。。。?」

森の番人たちは顔を見あわせました。

「それは食べ物かしら?」

うしろ鬼が聞きました。

「さあ?私にもそれは解りません。

どこに行けばそれがあるのかも解りません。」

まえ鬼とうしろ鬼は、しばらくひそひそと話しこんでしまいました。

少しして番人たちはさくらねこにこう告げました。

「私たちにも解らないものは仕方がない。

この森の奥に賢者が住んでいる。行って聞いてみるといい。

普段ならお前のようなやつはぺろりと食べてしまうんだが。。。

仕方がない。。。特別に通ってよし。」

さくらねこは森の番人たちにお礼を言って森の中を進んで行きました。



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