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「飽くなき探求をする恋愛至上主義の我々は、同士だと直ぐに分かるように合言葉を決めようではないか!?」

「合言葉とはさすがアラモード・ミラクル様、愛に掛けてのことですね」

「ふっ、まぁ無意識の産物ですがね。チョコロール・ケーキ君」
「さぁ、ココにお集まりの恋愛至上主義の皆さん!甘い香りが漂っているこの会場に同席していることの軌跡を残そうではないですか!?」
「スィート・スィート・スィート」

「スィート・スィート・スィート」
「……スィート? すいーと? すいー? って酸っぱいじゃないとね?」
「……今、酸っぱいとおっしゃったのは何方です?」
「あ、あたしですが……」

「貴女のお名前は?」

「あたしは塩豆大福ったい!」
「塩?」

「そうたい。 甘~い大福の中に塩味の効いたうまか豆が入っとるたい」
「……そ、そうですか。 では何故酸っぱいと?」
「いや~スィートち言うたら、すいーと?と訊いとるかと思ったとですよ」
「……」

「いや~酢ぃーと?と勘違いしたとばい。ははは」
「は……は、は、は。 ……え~では、スィートの唱和もイイカンジに響いたところで、我々の恋愛至上主義的ニュアンスのたっぷり含んだラブリーな言葉を探しましょう。 何方かグーなアイデアをお持ちの方?」

「お餅? はいはい!あたしはお餅なんですよ。まぁ、大福というくらいですから、そのまんまお餅ったいね~あはははは」

「……勿論、大福はお餅なのは分かってますよ。大福さん」

「あ、塩豆大福です」

「あ~はいはい、塩豆大福さんでしたね。……では皆さん何か案はありますか?」

「餡? 私は小豆です。でも練りったいね~やっぱり塩豆の食感が大事やけんがね~」

「……あん?…… 皆さん! わたくしアラモード・ミラクルは閃きました」

「おー!さすがアラモード・ミラクル様! して合言葉は?」

「アン! そしてトワネット!」
「おー! アンと言えば、トワネットですね!?」
「そうです!」
「して、そのココロは?」
「マリー」
「おー! Marry me! のマリーですね!?」

「ふ~ん、最後は結婚しよう? 恋愛至上主義じゃなかとですねぇ~ そんでもアンと言えばトワネットは良かたい」

「アンと言えば?」

「トワネット!」
かくて合言葉を言い合った恋愛至上主義の同士たちは一組二組とペアと作り、徐々に仲間が減ってゆき、最後は代表のアラモード・ミラクル氏だけが残ってしまったらしい。

そして情の深い塩豆大福さんがアラモード・ミラクル氏の最期を看取ったとか、看取ってはないとか言う風の噂が、甘い金木犀の香りと共に漂ってきたのは春ではなく秋だった。
因みにトワネットは永遠ネットの意味があり、何処までも絡み合う縁を意味する、実は逃れるに逃れられない縁の網が、宇宙に広がっていることを果たして何人の人が知っているだろうか?
アラモード・ミラクル氏はそのことに気付いていたのだろうか?

今となっては謎のままである。 了


この本の内容は以上です。


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