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幸奈は唇を結んで濱尻を見つめた。濱尻は彼女に近づくと、静かに囁いた。

「何か俺、酔っ払ってたみたいで。ここまでやったら弁解の余地はないよね。一生許さないでしょ?」

「そんなことない。変なことされたわけじゃないから。今すぐほどいてくれたら、全部忘れます」

「ホントか?」

「ホント」

濱尻は幸奈の足首をほどいた。

「ありがとう」

「うつ伏せになって」

幸奈は濱尻を信じてうつ伏せになった。あっさり両手首もほどいてくれた。

「ありがとう」

幸奈は手首をさすって深呼吸すると、ダンボールから下りた。

「幸奈」

「ん?」

濱尻はいきなり土下座した。

「ゴメン!」

幸奈は冷たく無視してロッカーへ行き、服を着た。帰り支度をして濱尻を見たが、まだ土下座していた。そのまま素通りして帰ろうと思ったが、ほどいてくれたら許すと約束したことを思い出し、肩を叩いた。

「もういいよ」

二人は一緒に部品管理室を出た。

「二度とこんなことしたらダメだよ」

「わかったよ。幸奈。一発ビンタしてもいいよ」

バン!

「あああ!」

間髪入れずに思いきり叩かれたので、濱尻はびっくりした。しかし幸奈は口を真一文字にして、泣きそうな顔で睨んでいる。濱尻は言葉が出ない。

濱尻のせいで酷い目に遭ってしまった。最悪の事態は避けられたが、心は深く傷ついた。セクハラや性犯罪をやる男の特徴として、女の誇りを全く考えていないという共通点がある。

嫌いな男に哀願するのは屈辱的だ。でも身を守るためには仕方なかった。アニメのスーパーヒロインではないのだ。意地を張ったために取り返しのつかないことをされたら意味がない。


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