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5月28日のおはなし「逢う魔が時に」

 まどのそとには、胸騒ぎがするほどの夕焼けが広がり、
 ねっとり柿色に染まる西空にこれ以上細くできない月が浮かんでいた。
 それはまるで目覚める前に見ていた
 とらえどころのない脳内風景そのままだった。

 おひさしぶりね、というのが最初の挨拶だったろうか。
 あまりに久しぶりだったので本当のことと思えないほどだった。
 電話の音で目を覚まされたぼくはまだ
 夢の続きにいるようで受話器を耳に押し付けた。

 とりとめもなく、いろいろな話をしたのだけれど、
 それでもまだ現実感がなくて相手が君なのかさえも不確かで。
 話の内容は確かに学生の頃の昔話だが、
 それさえ自分の経験だったかあやういような心地さえして。

 しおさいがずっと、背後に聞こえていたような気がした。
 どこからかけているの?と何度も聞こうとして聞きそびれた。
 途切れ途切れの君の声を聞き取るのに精一杯で、
 本当に聞くべきことを聞き逃してしまった。

 いまからあえる?と尋ねたのは果たしてぼくだったか。
 けれども君は話を拾わず、遠い昔の約束を覚えているかと聞いた。
 ぼくが君に詩を贈るという約束。
 一生のうちに一度でいいから君だけのために詩を書くと言う約束。

 ひがしずんだら、と君が言ったような気がした。
 ひがしずんだら、どうするの?尋ねた時にはもう電話は切れていた。
 つーつーという単調に繰り返す音に耳を傾けて、
 ひがしずんだら、の続きを考えていた。

(「ひがしずんだら」ordered by suzumena-san/text by TAKASHINA, Tsunehiro a.k.a.hiro)


新作スタート。お題募集中。

2011年10月1日。
Sudden Fiction Projectの新作発表が始まりました。

1日1篇ペースをめざしていますが、これはどうなるかわかりません。
毎日、その日のお題を見て、いきなり書き始めていきなり書き終わる。
即興的に書くSudden Fictionをこれからお楽しみください。

お題募集中です。
急募!お題」のコメント欄で受け付けています。
どなたでも気軽にご注文ください。初めての人、大歓迎です。

(お題の管理上、TwitterやFacebookでは見逃しがちなので、
 どうか上記コメント欄をご利用ください)

それではこれからしばらく新作のシーズンをお楽しみください。

※発表済みの作品をご覧になりたい方は
 をご活用ください。

奥付



逢う魔が時に[SFP0331]


http://p.booklog.jp/book/37612


著者 : hirotakashina
著者プロフィール:http://p.booklog.jp/users/hirotakashina/profile


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公開中のSudden Fiction Project作品一覧

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運営会社:株式会社paperboy&co.



この本の内容は以上です。


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