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11月4日のおはなし「異文化コミュニケーション」

 だまされちゃあ、いけないよ。

 事実は単純なんだ。いま目の前で見ているとおり。君がいま東京にいるとして、そこで立っている状態がこれよ。ほらね。ここに人形を立てるよ。ここ、東京。わかる? そして飛行機に乗ってぐるっと、リオ・デ・ジャネイロに着くとこの通り。リオの人を立たせてみよう。ね。どう、わかるかい? ほらほらよく見て。東京の人と、リオの人を良く見比べて。何に気がつく? え? 両方とも磁石がついている? ナウンナウン。ついてないよ、磁石なんて。何を言っているの? あ。地球儀にくっついているからか。違うんだ。これ、磁石じゃなくて粘着テープなんだ。でも待った。そういうことじゃないんだ。どうやって地球儀にくっついているかとかそういうことを聞いているんじゃないんだ。

 ほら、よくご覧よ。気づくだろう。一目瞭然。小学生にだってわかる。えっ? どうしたの。どうして泣くの。小学生時代の話はしたくない? どうして? 家が貧しくて小学校にちゃんと通えなかった? おいおい泣くなよ。ごめんごめん。悪かったってば。でもそういうことじゃないんだ。小学校に行ったとか行かなかったとかそういうことと関係なく、子どもにだってわかるよって話だ。ほらほらクイズだと思ってよく見て。クイズなんだから機嫌直してボニータ。ね。楽しい楽しいクイズなんだから。

 ビンゴ! その通り。ちょうど真っ逆様になっている!

 だろ? すぐわかっただろ? え? そんなこと最初の最初にわかってたって? ブラボー! 君のことだ、きっとそうじゃないかと思っていたよ。さすがだぜボニティーノ。その通り。ちょうど真っ逆様。お互いが足をくっつけ合って立っているような関係だ。そう、そもそもぼくたちはこういう関係で生まれているんだよ。このことはよく覚えておかなくてはいけない。

 重力がどうしたとか、遠心力と求心力がどうしたとか言って、真っ逆さまでも落っこちないって話、聞いたことない? ないの? ないんだ。言うんだよ、そういう風に。逆さまに見えるけど大丈夫だとかさ。でもそういう話にだまされちゃいけないんだ。ぼくらはそもそも真っ逆様に生まれ育っているんだ。だからお互いのことを理解し合うのがとても大変なんだ。それでどうすればいいと思う? 何がって? 決まってるだろう? ぼくたちがお互いに理解し合うためにさ! こうやって真っ逆様の価値観を持ったぼくたちがお互いによーく分かり合うためにさ!

 わからない? わからないことないよ。ほら東京にいる君、その人形をよく見て。君、夜になったらどうする? え? 踊りに行く? ああ。ああ、そうだねそうだねゴージャスだ。エスプレンディード! それから疲れたらどうする? うん。ベッドにはいる。だろ? 横になる。ほら。寝る。ね? 見て見て。リオのぼくも横になる。寝る。ほらね、わかる? ほらね。おなじ。一緒。君とぼく、一緒。もう逆さまじゃない。おんなじになる。わかるかい?

 そう。だからぼくたちが分かりあうためには一緒に横になること、大事。ね? 一緒に寝る。ね? ナウンナウン。ただ寝そべってどうするの。違うよ、小学生じゃないんだから。オー。泣かないで。ごめんごめん。シントムイート。もう小学生の話はしないから。だから分かりあおう。ぼくたち、立ってちゃわかりあえないこと、これでもわかるでしょう? 立ったままだと逆さまだから君を泣かせてしまう。ね? え? 何? 立ったままならシックスティ・ナインできるだろうって? そっちの方がすごいって? オー。オー。そういうね、難しいことを考えずに、最初は基本形から分かり合いましょう。

 オーケー? 何? ブラジルの人たちはどうして落っこちてしまわないのかわからないって? わかりました。ぼくたちお互いに分かり合えたらそのこと説明しましょう。ほら横になって。

(「ブラジル」ordered by ariestom-san/text by TAKASHINA, Tsunehiro a.k.a.hiro)

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 読んでくださる方が増えるというのもとても嬉しい元気の素なので、気に入った作品を人に紹介して広めていただけるのも大歓迎です。上記Facebookページも、徐々に充実させてまいりますので、興味のある方はリンク先を訪れて、ページそのものに対して「いいね!」ボタンを押してご参加ください。


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奥付



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著者 : hirotakashina
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