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影の統括者

今日は奴が早起きしたため興奮剤を注入して焦らせなくても済んだな。全く奴と来たらアラームが鳴る前から起きる準備をしてやってるというのに「あと十分…」などと呟きながらいつもぎりぎりにならないと起きないんだよな。まったく…。まあ、でも今日はちゃんと起きたし天気も良いし…。こういう日は本当に気持ちが良い。雨が降ると足を滑らす事があるから絶えず注意をしていなければならないし身体のバランスをとるのも一苦労だ。玄関からちょうど11歩で階段っといつも通りで階段を3段下りて…。いつもここだけシンコペになっちまうな。ま、天気が良いから気持ちが良いので良しとしよう。ああ、この髪をかき上げる動作はこの3日間で5回目だな。髪が伸びてちょっとうざったいが、この動作は行動パターンに記録しておこう。俺としてはもうちょっとスマートにやれるようにしていきたいな…。

貴方の心は表の顔ですが、実際に身体を動かしているのはほとんどが自動制御室です。では、この自動制御室は本能とは無関係でしょうか?ここにも重要な本能が絡んでいます。自動制御室もいろいろな本能や経験による影響を受けていますが、ここでも相反する本能、経験により判断をする必要があるのです。貴方が表の顔”心”であれば、彼はもう一人の自分なのです。しかし、彼の場合は他の本能と違って心に対して感情による要求をすることをあまりしません。なので普通にしているとその存在自体に気がつかないのです。

ただし、彼の存在が少しだけ表に出る事があります。何でもない日常のいつも通りの行動をしていてふと不安がよぎる事って有りませんか?なぜか判らないけど胸騒ぎがすることって無いですか?彼は貴方の気づいていない危険を貴方に教えようとしているのです。脳天気な貴方に"注意しろよ!”と警告を発しているのです。彼は貴方以上に貴方の行動や周囲の状況を把握しています。それが出来なければ普通に歩く事さえ困難になってしまいます。

彼は絶えず先回りをして貴方の身体の準備を行っています。人間の身体は休んでいるときと行動しているときでは代謝その他の状況が違います。貴方がまだ具体的に考えていないうちから行動の準備を行い始めるのです。貴方が会社帰りにいつもパチンコによっていると、彼は会社が終わった時点でパチンコで勝ったときのために快感物質の準備を始めます。そして貴方をその気にさせていつも通りの行動に誘い込むのです。そして、当たってもいないのにリーチが掛かるだけで貴方を興奮させます。リーチが掛かり、"来るかな?来るかな?”などと思っているだけで当たった時の為に準備をするので病み付きになってしまうのです。ただ、ここでも彼はパターンにこだわります。ただ当たれば良いのではないのです。出来るだけ何時ものパターンで当たる方が彼は準備がしやすいので、その分貴方も興奮しやすくなると言うわけです。これは、他の習慣も同じです。酒を飲むときもセックスをするときもある程度は何時ものパターンの方が彼は準備をしやすいのです。そしていったんそのパターンになると何時もと同じように興奮を求める事になり、それを振り切る事が難しくなります。

彼は貴方の行動を逐一チェックし、同じ行動を何度か繰り返すとそれを行動パターンとして記録していきます。そして、一度記録された行動パターンは彼によってよりリズミカルに、よりスムーズに行えるようにバージョンアップされていくのです。スポーツをするときでも彼は大活躍です。スポーツ選手が練習をするのはある意味彼に行動パターンを記憶させ、より精度の高い動作を可能とするためです。貴方の運動能力は彼の能力次第と言う事です。

また、芸術も彼の分野です。彼は正確なリズムが好きです。何事もスムーズに行う事が一番と考えており、そのためにはリズムが絶対に必要だからです。そして、そのリズムが人間の世界に音楽をもたらしました。音楽は人間の行動のリズムに重なるのです。
では、美の世界はどうでしょうか?美男、美女をパソコンで作ろうと思ったらどうすればいいと思いますか?意外と簡単です。数百人、数千人の顔を混ぜ合わせにしてしまえばいいのです。パソコンのソフトで何人もの顔を合わせていくとただ単に標準的な顔になります。これが世間一般で言う美男美女の顔になるのです。別に特別な顔が美男美女ではないのです。そう考えるとたとえば木村拓哉氏の顔などはよく見ると特徴のない顔をしているように見えます。要するに一番平均的で均整のとれている顔が美男美女と呼ばれている顔なのです。これも彼の仕業です。彼は安定した調和が大好きなのです。大自然の風景や田園風景などを見て美しいと感じるのも調和のとれた風景と感じるからなのです。美術の基本がここにあります。

もちろん彼は動物の精神の中にもいます。と言うよりも動物の方が彼の活躍を必要としているといった方が良いですか。狩りをするにも捕食者から身を守るにも彼は大活躍です。しかし、では人間には必要なくなっているのかというともちろんそうではありません。彼も人間を人間らしくしている本能の一部なのです。


宗教の小部屋

あなたは神様を信じますか?

こう聞かれたらどう答えますか?日本人の多くは「神様?いるわけ無いでしょ」と答えるでしょう。ではもう一つ質問をします。

あなたはオカルト映画が好きですか?

これには何割かの人が「はい」と答えるでしょう。では実際に皆さんはこういったオカルトに対してどう考えているのでしょうか。映画の中で神様やゾンビが出てきても「それは映画の話でしょ?」とあなたは答えるかもしれません。しかし、映画を見ているときにはあなたの中で必ずシミュレーションソフトが追体験を行っています。そして、この”追体験”と現実が違うことであるのを知っているのは”心”の方です。本能やシミュレーションソフトにとって映画の中の出来事は現実なのです。だからこそ"怖い”と思ったり”面白い"と思ったりすることが出来るのです。貴方の心の中では未知なる者や絶対の力を持った者が実在しているのです。そういう意味では、神は人の精神の中に実在しているとも言えます。
そして、宗教はすべての文明で発生しています。これは、宗教が単なる文化ではなく人間の本能に基づいた物である事を示しています。そう、宗教はすべての人の中に根付いているのです。私はこのことを脳の機能の一つとして”宗教の小部屋”が存在するためであると考えています。
"宗教の小部屋”は人類が科学で否定してしまった多くの文化をその中に残しています。神や悪魔、お化けや妖怪などもその中に含まれます。「そんなのもは存在しない」と言ってしまうのは簡単です。しかし長い歴史の中で育てた文化をそんなに簡単に手放して良い物でしょうか?いや、それ以前に科学は万能ではありません。産業革命以降、科学技術はものすごいスピードで発達してきていますし、それはこれからもしばらく続くのでしょう。でも、人類が科学によって宇宙のすべてを知ることは不可能です。万物の法則のすべてを人類が理解する事は無いのです。しかし、すでに人類はその発生の時からどんなに科学や文明が発達したとしても未知なる物が無くならない事、そして未知なる物に逆らうな、と言うことを本能の中に織り込んでいるのです。


"宗教の小部屋”は他の本能と違い生まれた時点では中に何も入っていません。"宗教の小部屋”は空の状態で人間は生まれてくるのです。そして周りの人からの影響で"宗教の小部屋”は徐々に満たされていきます。他の本能に由来する行動が経験や知識を元にして個人ごとに形成されていくに対して”宗教の小部屋”の中身は集団の中の考え方がその集団の中のルールとしてそのまま入ってしまいます。ですから名前は"宗教の小部屋”でも中身は道徳や倫理、仲間内の独自のルールなども含まれています。そして、"宗教の小部屋”の怖いところは判断の余地が他の物に比べて非常に少ない事です。宗教の小部屋は本能の部屋のなかにあります。本能の部屋の中で唯一生まれた時点では白紙の小部屋です。そしてそこに入ったものは、他の記憶や行動パターンと違い本能として働くのです。理由、内容にかかわらずに"守らなければならないルール”"恐怖の対象””絶対者”として存在しているのです。その存在は人の心や考え方に大きな影響を与えています。ですから”宗教の小部屋”を正しく理解し、その中身についてよく知る必要があるのです。

貴方が普通の人であれば、「人の物を盗んではいけない」とか、「人様に迷惑をかける事は避けなければいけない」と考えるのは当たり前の事です。では、なぜそう考えるのですか?いろいろな人がいろいろな説明をするでしょう。でも、それがなぜかを説明する事は出来ません。好きな物がなぜ好きかをほとんどの人は本当の意味では説明できないのと同じです。その"好き"というイメージの素になっている経験のほとんどは思い出せないからです。それと同じで道徳や倫理観と言った物はなぜそうしなければいけないかを説明できないのです。それは、"宗教の小部屋”に入り込んでいる集団のルールだからです。「この考え方は良い考え方だから取り入れよう」と思っているわけではないのです。それは、自分にとって権威のある存在、たとえば親に頼るしかない幼児の頃の両親であったり、尊敬する誰かであったり…。そして自分が含まれている”集団”、家族や学校、職場、等々もこの集団への帰属意識が高ければ自分にとっての権威ある存在になり得ます。そういった自分にとっての”権威”からは自分にとって意味が判らないルールや考え方をすり込まれてしまうのです。これが"宗教の小部屋”に入り込んだ"守らなければならないルール”や”未知の存在”であり、神や悪魔などもそこに入り込んだ考え方の一つです。これは、良い意味での企業風土や校風を作り出す事も出来ますが、法律違反となる業務を違反と知りながら行ってしまったり新興宗教に利用される人が出てきたり、と言った面もあるのです。ですから"宗教の小部屋”の中に何をいれるかは、社会全体の問題と考えて良いと思います。

今現在の宗教はそのほとんどが数世紀、あるいは数十世紀前に基本が作られています。しかし産業革命以後は社会や科学技術、人々の考えなどが大きく変わっていますので今現在の人が広く信仰するには無理があります。その結果、"神”を信じないと言う人が増えてきているのです。でも、貴方の精神の奥に神はいるのです。貴方の事を生まれたときからずっと見守っている神がいるのです。神や、未知なる物はすでに貴方の心の奥に存在しています。その未知なる物が貴方の中で暴れ出さないように、逆に貴方の力になるようにするためには宗教が必要です。"宗教の小部屋”の中にはいっている物に関しては、善悪の判断がきかないのですからその中に秩序を作る宗教は絶対に必要なのです。そのためには今の世の中で通用する新しい宗教が必要でしょう。"宗教"という言葉自体も変えた方が良いかもしれません。ただし、作るだけでは意味がありません。"宗教の小部屋”は、自分にとっての権威者からすり込まれる物だからです。カリスマ的な存在が必要でしょう。また、宗教は悪意と怠惰を人間の心から遠ざける役目を果たすべきであると考えています。この要素がなければ貴方の中の”神”の力を貴方の力に変える事ができないからです。


ここまで読んで貴方はどう感じたでしょうか?貴方にとっての本能とは親友であり同時に悪友であり、また神様であり悪魔でもあるのです。ある人は本能を押さえつける事に熱心なあまり自分の幸せとは何かも判らなくなりくなり、またある人は本能と悪友としてのみ付き合ったために自分の人生を損なってしまう…。自分の本能について熟知して上手に付き合う必要があるのです。人間は今まで思われていた以上にその行動に本能の影響を受けています。いや、実際には本能の働きがなければ何もできないといっても言い過ぎではありません。しかし、うっかりすると本能のやりたい放題-あなたが本能を代弁するだけの存在になってしまう可能性があります。本能は心の側でしっかりコントロールしなければならないのです。貴方の本能が何をしたいかは自分自身の感情によって知ることが出来ます。それを感情のままに行動するのではなく、感情によって自分の本能が何をしたいかを知った上で判断を行い、コントロールするのです。本能とは上手に付き合えばいいのです。4章では本能とのつきあい方を中心に話を進めたいと思います。

マイナスイメージ

人間は動物と違うと考えている人は多いと思います。しかし基本的には何も変わりません。身体の構造から脳の中身までほとんど動物と一緒なのです。それでも動物とは違うと思うのは、人間には心があるからだと考えられてきました。人間の心は高尚な物である。または神聖な物だと言うのです。しかし心に関しても動物との違いはそれほど大きな物ではないと言う事を判っていただけたでしょうか?貴方の心はペットとして飼っている犬や猫とそれほど大きな違いはないのです。それでも人間は他の動物と違うと言いたいのであれば、あなたは自分の精神を他の動物がまねできない高い水準の物にしていかなければなりません。そのためには貴方と貴方が属するグループの理想像を作り上げ、それに向かって少しずつでも近づけていく努力が必要です。
貴方の中には不満や不安がありませんか?不満や不安と言ったマイナスイメージの感情は何処かに本能の満足を阻害する原因があります。不満は積もり積もれば国家を転覆させるほどの大きなパワーを発揮する事もあるほどの破壊力があります。しかし、不満は貴方を変えてくれる原動力にもなります。ただこの不満を爆発させるのではありません。それではただ単に荒廃を招くだけです。現状を壊してしまうのではなく貴方の中に理想の世界を作り上げる原動力に変えるのです。世の中には大器晩成型の人がいますが、このタイプの人は不満を原動力にして精神の中に高い理想像を作り上げ、それに向かって上り詰めた人が多いのです。貴方もそうなれるのです。すべての人が現状に必ず不満や不安を持っています。この不満や不安の原因を突き止め、それに対する理想を作り上げましょう。不満が大きければ大きいほどそれに対する理想像は大きく立派な物となります。不満が大きいと本能は怠惰への道を歩もうとするでしょう。それに屈してはいけないのです。大きな不満はそれだけ貴方を大きな器に作り替えてくれるのですから。
もちろんプラスイメージが悪いわけではありません。いや、むしろプラスイメージはやる気に繋がりその人の脳を活性化します。いろいろな事に興味を持ち、実際に挑戦することは貴方の書庫に新たな棚を作り出し、過去の記憶にまで新しいリンクを張り巡らしてくれるのです。

記憶

何かを記憶しなければならない時は一夜漬けで丸暗記、と言う人って多いですよね。でも丸暗記が一番自分の身につかない方法です。私も試験の前日に一夜漬けをやっていましたが、一夜漬けの内容ははっきり言って全く覚えていません。これは当たり前の事です。学校の先生がこんな事をやらせるのは教育の専門家として失格とさえ思います。ま、一夜漬けをしろとは言ってませんでしたが…。
では、どうすれば良いのでしょうか?脳は繰り返し覚えようとすれば簡単に覚えてくれます。ただ、覚えた内容を引き出す事が出来ないのです。丸暗記ばかりやっていると貴方の脳の中はリンクの消えた離れ小島のような記憶ばかりになってしまいます。記憶を引き出すには新しく強いリンクを張るようにすれば良いのです。単語をただの単語として丸暗記するのではなく、イメージを伴って覚えればいいのです。たとえば私の場合、必要があって何かを勉強しなければならない時は、かわいい女の子を集めてその内容を教えています。頭の中で…。最初は参考資料を見ながらで良いのです。そして一通り説明し終えたらお気に入りの娘に質問させるのです。それに答えられればその部分はほぼ合格と言う事です。実際の身近な子でも良いですしアイドルでもかまわないでしょう。ただ、出来る限り細かい動作などもリアルに思い浮かべる事が出来る人を対象にした方が効果的です。イメージはただの記憶のリンクよりもずっと強くて消えにくいのです。そして、教える事をイメージするという事は脳のシミュレーションソフトを使うと言う事です。このことは単に書庫の中に記憶をしまおうとするよりもあちこちにリンクを張る事になります。そしてここはあの子に教えたとこだな、などと思い浮かべれば教えた内容が頭に浮かんでくる様になるのです。
また、楽しく勉強を行うことで集中力も高まります。興味の薄い勉強を行っていると眠くなるだけです。それを無理して勉強しても精神的に辛いだけで効率は上がりません。イメージを伴った勉強に変えることで集中力を高める事が出来るのです。そしてある一定のラインまで到達することが出来れば余計なイメージを使わなくても面白く感じるようになります。これは勉強だけでなくスポーツやゲーム等でも同じ事です。基礎がしっかりして応用が利くようになれば面白くなるのです。そうやっていろいろなことに挑戦していくと、新しく行うことでも応用力が付き易くなってきます。同時にそれまで気がつかなかった事や想像していなかった事を思いついたりする事が出来るようになるのです。何より楽しく勉強することを覚えることが大事です。教育の専門家である先生方、もうちょっと勉強の楽しみ方も考えた方が良いのではないでしょうか?


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