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楽園のリンゴ

あこがれ


 夢見る隙に 去っていく

 後ろ姿だけで あとはみんなまぼろし

 ぼくの心の内にあるもの


 それがあこがれ



彼の死


 彼の目は虹色に輝いていた。

 彼の世界は七色に染まり、いつだって綺麗だった。

 彼は幸せなまま死んだ。

 周囲の人々には、彼が血だまりの中で死んだようにしか見えなかった。



さよなら地球

 

 地球の海がなくなりかけたとき 

 生きものみんな涙を流した 

 ただ彼らはとっくの昔に宇宙に避難していたので 

 その涙は地球には届かなかった  

 代わりに狭苦しい宇宙船の中に 

 涙の海が生まれた 

 そこで彼らはみんな 

 新しい生命としてやり直すことにした



楽園のリンゴ


 坊や いつも私を見上げている

 お腹を空かせて 青白い顔で

 真っ赤に熟れた 私を


 坊や そんなに私が欲しいなら

 蜜でたっぷりした身体を携えて

 この樹から 堕ちてあげる



 さぁ お食べ

 あなたは私を持ち上げて 口元へ

 けれど そばを通った女の子が泣き出して


 あなたは私をその子へやってしまった



 その子のお母さんは 私をジャムにしたわ

 長く食べられるように って

 熱い炎で コトコト煮詰められて

 想うのは あなたのことばかり



 でも 今朝 知ったわ

 あなた 飢え死んじゃったって

 瓶の中で 聞かされたの



 ねぇ 坊や

 私 あなたのために 何ができたかしら

 いずれ すぐそばへ 行く身だけれど

 今も考えているの



隠しごと

 

 大事なものは目に見えないように 大事な言葉は口にできない 

 口にしたとたん ぼくのものでなくなるから 



狂った愛


 きみの泣きじゃくる顔が好き

 ぼくのために傷つく姿が好き


 だからぼくはいくら傷ついても平気

 その分だけきみはぼくに縛られるから

 傷つけば傷つくほど ぼくはきみからは見捨てられない

 二人は離れられっこないんだ



無償の愛について


 真っ白お月さま 触れたらミルクの雫が零れるよ

 地球に降り注いで 夜の闇を和らげてくれるよ

 だってお月さまは 地球に恋をしているもの


歴史


 上下左右徹底的に閉ざされた密室で、

 みんなが地面に押しつけられていたとき

 彼はあの天井をぶち破って、

 空を飛ぶことを考えていた



正義

 

 みんなが正義と言う文字を書くと、

 後世の人々は解読することができなかった



きりぎりす

 

 ありの大人がきりぎりすを嫌っても、

 ありの子供たちは彼の歌を忘れなかった



ニュートンとリンゴ

 

 リンゴが木から落ちる理屈をニュートンが説明しても、

 リンゴが甘いことに変わりはなかった



ペンギン

 

 ペンギンが空を飛べなくても、

 特に問題はなかった

 空を飛びたいペンギンなどいなかったからだ

 そんなのは、ただの空想だ!



空と星とひと

 

 空の向こうには星がある

 星は過去の輝きをまとう

 人は現在の姿でそれを見つめる

 過去と現在と未来

 時間は本当に存在するのか?



再び、彼

 

 そして彼は跳んだ

 人々は固唾を呑んで見守った

 彼のあとに虹が浮かぶ

 それは、永遠と名づけられた


Me

Morning


 まどろむ



Noon

 

 目覚める


 

Evening

 

 迷う


 

Night

 

 無我


 

Real

 

 期限まで


 

Fantasy

 

 


 

Question

 

 どれがぼく?


 

ANSWER




奥付



これまでのことばたち


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著者 : むらさきあおい
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