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表扉



えほんのアリス


ルイス・キャロル さく

おおくぼ ゆう やく



1
最終更新日 : 2011-10-08 13:50:48

1 しろウサギ

 むかしむかし アリスという おんなのこが いてね、 とっても へんてこな ゆめを みたんだ。
 いったい どんな ゆめだったか、 ききたい?
 さあて、 これが はじめの ばめん。 しろウサギが すぐそばを おおあわてで はしっていくところ、 アリスと すれちがいざま あしを とめて ポケットの とけいを とりだしてね。
 そんなの おもしろくないって? よく みてごらんよ、 ウサギが とけいを ポケットに いれて もちあるいてるんだよ? そりゃあ ウサギだって とけいを もつなら ポケットに いれるってもんさ。 くちに いれたって もちはこべないしね ―― それに はしりまわるんなら、 てが たりなくなるし。
 あと おめめが あかくない?(しろウサギって みんな おめめが あかいと おもうんだけど。) みみも あかい、 きている うわぎは すてきな ちゃいろ、 それにほら ポケットから あかい ハンカチが のぞいてる。 ほかにも あおの ネクタイやら きいろの チョッキとか、 ほんとに とっても おしゃれで。
「やんぬるかな!」と ウサギさん。「ちこくで おじゃる!」 いったい どこへ ちこくしそうなのかな?
 うん、 それはね ごぜんさまの ところなんだ。(もうちょっとしたら だいどころにいる そのひとの えが でてくるからね。) ごぜんさまはね いつも いらいらしてる おばさまのこと。 ウサギさんは またせたりしたら ひどく しかられるって おもってね。 かわいそうに これでもかってくらい びくびく。(どんなに ぶるぶるしてたか わかる? ちょっと ほんを ゆすってごらん、 みぎひだりに。 ほら、 ぶるぶるしてる。) だってね ウサギさん ばつとして くびを ちょんぎられるかもしれないんだよ。 ハートの クイーンが いつも やることなんだけど、 はらを たてたら ちょきん(さしえは また あとでね)。 といっても そのひと いつも ちょんぎれって いいつけるだけで、 そうなると おもいこんでるんだけど じつは だあれも そんなこと しない。
 はてさて、 しろウサギが はしりぬけていったんだけど、 アリスは そのさきが きになってね。 だから ついてったんだ。 で、 はしって はしっていると いきなり ウサギあなに おっこちちゃって。
 ずっと ずーっと おちつづけてね。 ぴゅ――うう――うう、 このまま せかいを まっすぐ つきぬけて、 うらがわに でちゃうんじゃないかって アリスは そんな きがしてきて!
 ふかい ふかい いどみたいなのに おみずは ぜんぜん なくって。 こんなところへ ほんとに おちちゃったら どんなひとだって きっと しんじゃう。 でもほら ゆめのなかだから おちたって けがひとつ ない。 だって おちてると おもってるあいだも ほんとは よこになって なんのこともなく ぐっすり ねむってるだけなんだから!
 それでも いつかは あなのそこに たどりつくわけで、 アリスは うずたかく つまれた おちばと えだのうえへ どすん。 けがひとつ なく ぴょんと おきあがると また ウサギのあとを おいかけたんだ。
 こうして アリスの へんてこな ゆめが はじまったってわけ。 こんど しろウサギを みかけたらね、 アリスちゃんみたく へんてこな ゆめを みてみたら いいんじゃないかな。

2
最終更新日 : 2011-11-20 18:25:08

2 アリス おっきくなりすぎ

 というわけで アリスは ウサギあなを おっこちたあと じめんのなかを えんえん はしってたんだけど、 きがついたら いきなり おおきな ひろまに いてね、 まわりに ぐるりと ドアが いっぱい。
 ところが どのドアも かぎが かかってて。 てことは かわいそうに アリスは ひろまから でられない。 だから なんだか かなしくなってきてね。
 それでも しばらくしてから テーブルのそばに いって。 ぜんぶ ガラスで できていて さんぼんあし(さしえでは 2ほんが はっきり、 のこりの 1ぽんが ちらっと みえてるよね、 わかる?)、 で そのテーブルのうえに ちっちゃな かぎが あった! ひろまを ぐるりと まわって、 これで ドアが どれか あかないか ためしてみたんだけど。
 かわいそうな アリス! そのかぎ どのドアも ひらけなくって。 でも さいごに やってきた ちっちゃな ドア、 するともう うれしいのなんの、 かぎが ぴったり あったんだ!
 そのちーっちゃな ドアを あけて、 しゃがみこんで なかを のぞきこんだんだけど、 なにが みえたと おもう? もう とーっても すてきな おにわで! そこに いきたくって いきたくって! なのに ドアが ちっちゃすぎるんだ。 からだを おしこんでも とてもむりで。 きみが ねずみの すあなに はいれないのと おんなじこと!
 かわいそうに アリスちゃんは しっかり とじまりして、 かぎを テーブルに もどしてね。 すると さっきまで なかったものが あるってことに きがついて(もういちど さしえを みてね)、 これ いったい なんだと おもう? こびんだよね、 ラベルが ついていて そこには 「ノンデ」の もじ。
 そんなわけで くちを つけてみる。 すると とっても おいしくて、 あらためて いっきのみ。 そのあと もう へんてこなことに なってさ! おもっても みないことだよ。 ふふ、 じつはね。 アリスが ちいさく ちいさくなっていって、 さいごには ちっちゃな おにんぎょうさんくらいの おおきさに なったんだ!
 そこで ひとりごと。「あら このおおきさなら ちいさな あのドアも うまく とおりぬけられてよ!」ってことで はしりだす。 でもね たどりついた ドアは あかないわけで、 かぎは テーブルのうえ、 しかも これじゃあ とどかない! どうして しっかり とじまりなんか しちゃったんだろうね!
 はてさて、 そこで また みつけたのが ちっちゃな パンケーキ。 こんどは こげあとが 「タベテ」って ことばに なってて。 なので さっそく たべて ぜんぶ のみこんだ。 そのあと どうなったと おもう? うん、 おもいも よらないこと! ふふふ、 じつはね。
 アリスは おっきく おっきーくなっていってね。 せなんか もとよりも たかくって! こどもよりも おっきく! おとなよりも おっきく! ぐんぐん にょきにょきと! えを みてごらん、 こんなに のびちゃってさ!
 いったい どっちがいいと おもう? ネコちゃんくらいの おおきさの ちっちゃな アリスと、 てんじょうに あたまを ぶつけっぱなしの おっきな アリス。

3
最終更新日 : 2011-09-17 18:08:58

3 なみだまり

 もしかして アリスが たのしんでるとか おもってる? ちいさい パンケーキを たべて きづいたら とんでもなく おっきくなってたからって。 そりゃあ なんなく ガラステーブルから かぎを ひろえるし、 ちっちゃな ドアも あけられるけど。
 うん そりゃあ できるとも。 でもね、 とおれないのに ドアを あけて どうなるって いうの? ひどいってもんじゃないよ、 かわいそうに! あたまを ゆかちかくまで ひくくすれば、 かためで なんとか のぞけるくらいなんだ! でも できるのは それだけ。 こう おおきくなってしまうと、 すわりこんで、 むねが さけそうなくらい おおごえで なくのも むりない はなしさ。
 えーん えーん ないて。 そのうち なみだが ひろまの まんまんなかに こぼれていって、 かわが ながれるみたいに なって。 あっというまに おおきな なみだまりが できて、 ひろまの はんぶんが ひたっちゃった。
 もう どうしようもないとこだったんだけど、 そこへなんと たまたま しろウサギが ごぜんさまのもとへ むかうところ このひろまを とおりがかったんだ。 めいっぱい めかしこんでて、 かたてには しろの かわてぶくろ ひとくみ、 もう かたてには ちいさな おうぎ。 ぶつぶつ ひとりごとを いっててね、「あいや、 ごぜんさま、 ごぜんさま! おまたせして かんかんだなんて いやでおじゃる!」
 なのにさ アリスに めもくれずで。 そこで くちを あけて 「もし、 よろしくって ――」 なんていうと てんじょうから こえが してるみたいで。 なにせ あたまが たかーいところに あったからね。 すると ウサギは ものすっごく おびえて。 てぶくろと おうぎを とりおとして、 ぜんそくりょくで にげてった。
 そこで ほんっと へんてこなことに なって。 アリスが おうぎを とりあげて じぶんで あおぎだしたんだ。 すると ごらんあれ、 みるみる ちいさくなって、 1ぷんも したら ネズミくらいの おっきさに!
 ここで さしえを みてね。 つぎに おこったこと もう わかるよね? ほんとに うみみたい、 ね? でも まちがいなく これは さっきの なみだの いけ ―― ぜんぶ アリスのなみだで できたものなんだ!
 そういうわけで アリスは いけに ぼちゃん。 ネズミも ぼちゃん。 いろんなのが いっしょになって およいでる。
 このえの およいでる アリス、 かわいくなあい? みなもの したあたり、 アリスの あおい くつした みえるよね?
 でも このネズミ どうして こんなに あわてて およいで アリスから はなれようとするのか。 はて そのわけは、 アリスが イヌネコについて はなしだしたからなんだ。 ネズミは いつだって イヌネコの はなしなんか いやだからね!
 きみが じぶんの なみだで できた いけを およいでるとして、 そこで だれかが おべんきょうとか おくすりのことを はなしだしたら、 やっぱり めいっぱい およいで どこか いっちゃいたくならない?

4
最終更新日 : 2011-09-19 22:29:20

4 どーどーめぐり

 アリスと ネズミが なみだの いけから あがると、 やっぱり ずぶぬれで。 たくさんいた へんてこ いきものたちも おんなじで、 みんな いっしょに おっこちててね。 そこにいたのは ドードー(まんまえに いる おおきな とりで、 つえに よっかかってるね)、 それと アヒルに インコ(アヒルの まうしろで あたまごしに みてる やつね)、 あと こどもワシ(インコの ひだりがわに いる やつ)とか そのほか いろいろ。
 さてところで そのみんなだけど どうやって からだを かわかしたものか さっぱり わからなくって。 けれども ドードーが ―― あたまの いい とりだから ―― どーどーめぐりを するのが よろしい なんて いってね。 いったい なんのことだと おもう?
 わからない? だったら きみは まだまだ こどもだね! じゃあ よおく きいてね、 すぐに ちゃんと わかるから!
 まずは はしる コースを つくること。 そのかたちは まるなんだけど とりあえず ちゃんと まるになって ひとつに つながってれば なんでもいい。
 とにかく やるひとは コースの あちこちに たって、 くっつきすぎなければ なんでもよくて。
 しかも 「いちについて よーいどん!」なんて かけごえも いらなくて、 みんな すきなときに はしりだせばいいし、 すきなときに やめていい。
 そこにいた いきもの、 アリスと みんなは ぐるぐる はしりっぱなしで それを かわききるまで つづけたんだ。 で、 さいごに ドードーが みんなの かちって いって、 みんな ごほうびが もらえることに!
 もちろん アリスが ごほうびを あげる やく。 とはいえ あげるほどのものも なくってね、 たまたま ポケットに ドライフルーツが あったもんだから、 ひとりひとつずつ みんなに わけた。 すると アリスのぶんの ごほうびが たりなくって!
 そこで どうなったと おもう? あと アリスが もってたのは、 おさいほうの ゆびぬきだけ。 ほら さしえを みて、 どうなったか わかるよね。
「こっちへ かしなされ。」って ドードーが いった。
 で、 ドードーは ゆびぬきを うけとって、 また アリスに かえして、 こんなことば。「みごとな このゆびぬきを われらより おうけとりくだされ!」 というわけで そのばの いきものが ぱちぱち わーわー。
 こんな へんてこな おくりものって ある? かんがえてもみてよ、 おたんじょうびプレゼントを くれるってひとが、 きみの おもちゃばこのところへ いって、 そこの きれいな おにんぎょうを とりだして 「はい、 いいこだから このすてきな おたんじょうびプレゼントを あげよう!」なんて いうのと、 まだ もってない あたらしいものを くれるのと、 どっちが いい?

5
最終更新日 : 2011-09-17 18:08:58


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