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27日目



「私ペンゾー君に言いたいことがあるのに。
いつになったら出てきてくれるのかな。
ペンサク君、ペンゾー君を外に出すいい方法ない?
どうにか外に出してくれると嬉しいんだけど…」















ころす気かーーーーーっ


28日目

俺はウェッデルちゃんに
「飛べなくてゴメン」と謝った。


でもウェッデルちゃんは


「私、ペンゾー君がおもいきって飛んだの見て
すっごい感動したもの!
ペンゾー君がこんなに頑張ってるんだから
私も落ち込んでる場合じゃない!って
すごく元気が出たの!」
って、ちょっと興奮しながら言った。

そして、ありがとう、って言って
涙をいっぱいこぼした。

なんだか俺も涙が出て来てとまんなくなって
二人でいっぱい泣いた。


ウェッデルちゃんは言った。

「アニキさんは私の夢を『無理』って言ったけど
でもそんなの、やってみなきゃわかんないじゃない?
未来のことなんて誰にもわかんないもんね。
だから私、まだあきらめないことにしたの。
とにかく
なんとかしてイイトコ島に戻って
夢に向かって頑張ってみたいの!」

この前まであんなに落ち込んでたウェッデルちゃんとは
別人(別アザラシ?)みたいだった。


俺も飛んだ(落ちた?)甲斐があったよ。
かっこ悪かったけど。

なんだか俺の方が救われた気分になって
俺もウェッデルちゃんに「ありがとう」って言った。

大泣きしてたから、ちゃんと言えてたかわかんないけど。


ウェッデルちゃんを見送ってから俺は
ウェッデルちゃんが水族館の
アイドルになったとこを想像してみた。



う〜ん、いいね〜。ウェッデルちゃん輝いてるよ〜。
ああ、俺も見てみたいなぁ。
俺はイイトコ島には行けないけど。


・・・・・・あれ?ちょっと待てよ?
ウェッデルちゃんがイイトコ島に帰るってことは

もう会えないってこと?




ええーーーーーーーっ?


29日目

ウェッデルちゃんの夢
叶ってほしい。
でも叶ってほしくない。
でも叶ってほしい。
でもやっぱり…

うう〜〜〜〜〜



ウェッデルちゃんの夢が叶ったら
俺はちゃんと喜んであげられるのかな。

うん、そりゃ喜ぶよ。
だって嬉しいもんな。

でもお別れなんて…

いや、でも夢が叶うのは嬉しいよ!

でもお別れなんて…

ああーーーーもうっ!
頭の中がぐちゃぐちゃだよ!
夕飯どころじゃないよ!



こ、好物は仕方ないじゃないかっ!

30日目(前編)

アニキが来た。


もういいっすよ、その話は(涙


アニキの用事はグチだった。

昨日、アニキのとこにウェッデルちゃんが来て
「イイトコ島に連れてって」と
何度も何度も頼んだんだそうだ。

アニキは
イイトコ島まで飛ぶ気がないからって
断ったらしいんだけど
ウェッデルちゃんは
「OKしてくれるまで毎日頼みに来る」
って言ってたんだって。


そ、そんなこと言われても無理っすよアニキ!
てか、なんでそんなに
イイトコ島に行くのがイヤなんすか?



・・・・・はぁ・・・(汗)

でも、そういえばアニキは今、休養中だもんな。
これからまた長い渡りの旅に出るために体を休めてるのに
遠い遠いイイトコ島まで
アザラシ乗っけて飛んじゃったら
また休養しなきゃならなくなって
その分また渡りに出るのが遅くなっちゃうもんな。


「なんとかしろ」と言うアニキに
俺はあいまいな返事をしながら
とりあえず、アニキが帰るのを見送った。


俺だって、ウェッデルちゃんに
イイトコ島に帰ってほしくなんかないよ。
でも・・・・

あ〜、このまま
ウェッデルちゃんがイイトコ島に行く方法が
見つからないままで
ずっと何年も過ぎちゃえばいいのに…


って
そんなふうに思ってちゃダメじゃん!
なに考えてんだよ俺!
俺のバカっ!(涙)



その時だった。
ウェッデルちゃんが血相変えてうちに飛び込んできて
叫んだ。

「ペンゾー君!大変!」



ええっ!?

30日目(後編)

ふふ船!?
イイトコ島行きの船が来てるのっ!?
なななにそれ!!!!


ウェッデルちゃんは興奮しながら言った。

「そこの海岸に船が来てるの!
さっきそばに行ってみたらイイトコ島の匂いがしたの!
絶対にイイトコ島から来たのよ!
あの船に乗ることができたら」


「ああ、どうしよう!
どうやったら乗せてもらえるのかしら!」

とりあえず、海岸に行ってみることにした。

ウェッデルちゃんは
「早く行かないと船が帰っちゃうかも!」って言って
すっごく頑張って走った。
そりゃそうだよね。
だってここにイイトコ島の船が来るなんて
そんな奇蹟、もう一生無いかもしれないし。

俺も一緒に、必死で走ったよ。
でも必死で走りながら、心のどっかで
「船がもう帰っちゃってたらいいのに」って
うっすら思ってたんだ。

すごいやな奴だなぁ俺って…(涙)





ああ…あるね……(凹)

でもニンゲンが乗ってない。
どっかに行ってるんだな、きっと。

ウェッデルちゃんが
「ニンゲンが戻ってくるまで、ここで待ってる」
って言った。
俺は「うん、そうしよう」って言うつもりだったのに
口から出た言葉は逆だった。



「今日は誰も戻ってこないよ!俺にはわかるんだ!
知らないと思うけど
ペンギンって予知能力があるんだよ!」

自分でもビックリするような
とんでもないデタラメが口から出て来た。
なんだよ予知能力って(涙)

そんなにウェッデルちゃんを船に乗せたくないのかな俺。
最低だよホント(涙)


でもウェッデルちゃんは


あああ…他人を疑うことを知らない
こんないいコをだまそうとするなんて…
俺ってほんと…(涙)


それからちょっと困った顔をしながら
ウェッデルちゃんは言った。
「ペンゾー君のこと信用してないわけじゃないんだけど
でも私、ここで待ちたいんだ」

そりゃそうだよな。
待ちたいに決まってる。

俺は何も言えなくなって
ウェッデルちゃんと一緒にニンゲンを待つことにした。
ニンゲンをビックリさせないように
岩場に隠れながら。



だめだなぁ俺。
ウェッデルちゃんの夢を邪魔するよーなこと言って。
邪魔する気なんてないのに。
ないはずなのに。

俺、自分のことキライになりそうだよ…



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