閉じる


<<最初から読む

15 / 39ページ

14日目

ゆうべは眠れなかった。

なんか
胸が一晩中キューッてして
苦しかったんだ。

どうしちゃったんだろ俺。

病気かもしれない。
今日はおとなしく寝ておくよ。



ちょっと爪アトもね…
思ったより痛いっていうか…

15日目(前編)

ようやくアニキが起きたから
「紹介したいアザラシがいる」っつって
ウェッデルちゃんのとこに連れていった。


俺はウェッデルちゃんの顔を
なかなかマトモに見ることができなかったよ。
なんかドキドキしちゃってさ。

まぁ、それはいいや。


で、アニキに
ウェッデルちゃんの生い立ちや夢を話して
イイトコ島に連れてってやってくれないか、って頼んでみた。

アニキに頼みごとするのはちょっと勇気がいったよ。
だってホラ、こわそうだし。



アニキは言った。

「イイトコ島水族館には今、フワフワの子アザラシがいて
そいつがアイドルだ。
多分あんたの弟か妹だろ。
あんたのママも子アザラシの人気には勝てなくて
アザラシショーから引退したぐらいだ。
今あんたが帰っても」




い、いくらそれが事実でも
直球すぎるぜアニキ!(涙)

こういう時って
なんて言ってウェッデルちゃんをなぐさめたらいいんだ?
俺はそれがわかんなくて、ちょっと黙っちゃったよ。

情けないなぁ俺…(涙

そうだ!せめて話を変えよう!
と思って俺は
アニキに自分の夢を語って
飛ぶためにはどうしたらいいか聞いてみた。

アニキは言った。

「ペンギンなんだから




…ミもフタもないよアニキ…(涙

15日目(後編)

アニキはハラがへったと言って
1人で餌を取りに行ってしまった。



いや、こんな時に俺が凹んでてどうする!
俺があきらめたら
ウェッデルちゃんも頑張れなくなるって
この前言われたばっかじゃないか!
俺が前向きになって
ウェッデルちゃんを元気づけなくちゃ!

そう思って
俺は夢中で叫んだ。



飛ぶ!
飛ぶったら飛ぶ!
アニキには申し訳ないけど
絶対に飛んでみせる!
ウェッデルちゃんの目の前で!



ウェッデルちゃんは
びっくりしたような顔で俺を見た。

そのあと
「うん、そうだよね。私も頑張る!」
って目を細めた。


ウェッデルちゃんが
ちょっと元気になってくれたのを見届けてから
バイバイした。




帰り道、俺は思った。
ウェッデルちゃんに、こう言ってあげたらよかったんだ。

「フワフワの赤ちゃんもたしかにかわいいけど
ウェッデルちゃんのほうがずっとずっとかわいいから
きっとアイドルになれるさ!」って。

一番いい言葉って
一番いいタイミングで思いつかないで
絶対あとで思いつくんだ。
あとで思いついたってどうしようもないのになぁ。

まぁ、思いついたところで
目を見て言えるセリフじゃないけど。
スラッと言えるヤツいたら尊敬するよ。
弟子入りしたいぐらいだよ。


なんか今日は凹みぎみな話になっちゃったなぁ。
こんな話ニンゲン語に翻訳しなくていいよペンサク。








しなくていいって言ってんじゃん!

16日目

ウェッデルちゃんは本当に元気になったのかな。



なんかさ
「私も頑張る」って言ってたけど
今考えればアレって
カラ元気だったようにも思えるし。

どうなんだろう。
心配だな。



17日目

心配だったから
ウェッデルちゃんのとこに行ってみた。



やっぱりなんか元気ないみたい。
どうにか元気づけなくちゃ。

そうだ!
手品を見せてあげるよ!
昔オオタハカセに見せてあげたら
すごく喜んでくれたんだ!

じゃあ見ててねウェッデルちゃん。
いくよ?




ウェッデルちゃんは苦い笑顔で拍手をしてくれた。

あんまり元気でなかったみたい。
てか、ちょっと引いてるような気もする。

今度はもっといっぱい出せるように頑張らなくちゃ。





え?なに?ペンサク。
違うって何が?


読者登録

ゴハチさんの更新情報・新作情報をメールで受取りますか?(読者登録について