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6日目



ふん。まぁいいや。
飛べたからってモテるとは限らないしな。

ヒマだから「しゃしん」してみた。



またボケた。
ちっ

7日目

突然お客さんが来た。



顔見知りじゃないな。
誰だろう。
アザラシだってこと以外は何もわからない。

「こんにちは!
私、ウェッデルっていいます!
よろしくね!」


ウェッデルちゃんはメスのアザラシで
オレより大きいけど
まだ大人じゃないんだそうだ。

ウェッデルちゃんは
飛びたがってるペンギンがいるというウワサを聞いて
「なんて夢のあるペンギンさん!」と思い
会ってみたくなって
西の海岸からはるばるここへ
やって来たらしい。

「私も夢があるんだけど
誰に話しても無理無理!って言われて
いっつも悲しい思いをしててね。
でも、あなたとなら
無理な夢を追う者同士
話が合うんじゃないかな、って思って
会いに来てみたのっ!」

え?
俺の他にも
無謀な夢にチャレンジしてるヤツがいたんだ!
なんだか心強いなぁ。
仲良くなれそうかも。

で、キミの夢ってなに?




なにそれ。

8日目

昨日は、あのあと
なんだかけっこう話が盛り上がっちゃって
気がついたら日が落ちてて
ウェッデルちゃんを
うちに泊めてあげることにした。

俺もウェッデルちゃんも
話し疲れてバク睡だった。


ウェッデルちゃんが言ってた「アイドル」ってのは
つまり「水族館の人気者」のことだった。

その話は、長くなるから
また明日にするよ。

ついさっき、俺はウェッデルちゃんを見送った。
ウェッデルちゃんは
元気いっぱいに泳いで帰った。


子供の頃、母さんに
「相手の姿が見えなくなるまで見送るのが礼儀よ」と
しつけられたけど
ウェッデルちゃんの頭はちょっと大きくて
いつまでたっても見えていた。

ちょっと困った。

9日目

ウェッデルちゃんの話をまとめると
こんなかんじだ。

ここから、太陽が沈む方角にまっすぐ進むと
「イイトコ島」という
ニンゲンが暮らしている島がある。


ウェッデルちゃんは、実は
そこの水族館で生まれたんだそうだ。

生後一年にも満たない頃
島が大洪水に襲われ
ウェッデルちゃんは流されて海に出てしまい
気付いたらここに着いてたらしい。

漂着した海岸に
たまたま同種のアザラシが大勢いて
拾われたのはラッキーだった。

で。
ウェッデルちゃんのママは
たくさんの芸ができるアザラシで
イイトコ島水族館のアイドルだったらしい。


生まれた時からママの活躍ぶりを見ていたウェッデルちゃんは
自分も大人になったらママのように芸をして
たくさんのニンゲンに拍手されるアイドルになろうと
心に決めていたらしい。

なのに、運命のイタズラでウェッデルちゃんは今
ニンゲンが一人もいない野生の世界にいる。

ウェッデルちゃんは
いつか必ず水族館に戻ってアイドルになるんだ!という
夢をいだいている。

が、周りのアザラシに話しても相手にされないらしい。



ウェッデルちゃんの話をそこまで聞いてから
俺達は眠った。

起きてから俺は
ウェッデルちゃんの話についていろいろ考えた。
その話はまた明日。


ちなみに俺も子供の頃はフワフワでかわいかったよ。
群れの中で一番かわいいって大評判だったんだ。
なっ?ペンサク!





なっ?(怒)

10日目

だいたいさ
アイドル云々以前に
イイトコ島に戻ること自体が不可能だよな。
遠すぎてワタリドリさんぐらいしか行けないもんな。

でも俺は考えた。


赤ちゃんアザラシが
遠い遠いイイトコ島水族館から流されて
無事にここに辿り着いたという
とんでもないラッキーについて。
(大抵は他の動物に食べられるか
力尽きて死ぬよね。)
ウェッデルちゃんはもしかしたら
超ラッキーな女の子なのかもしれない。

辿り着いたとこが
たまたま同種の仲間のたまり場だったってのが
その証拠のような気がする。

だとしたら、夢の実現もあながち
無謀とは言えないような気がしてきた。

うん。俺はそう思うよ。

ま、俺の「飛ぶ」っていう夢のほうが
実現すんの早いと思うけどね。
だって俺
鳥だもん。




なんだよ!
この前はたまたま失敗しただけだよ!
こんな写真載せんなよペンサク!


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