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1日目



俺はペンギンのペンゾー。
ドーブツしかいない寒い島に住んでいる。

いつも俺達の群れの側で
俺達を研究観察していたオオタハカセが
先日亡くなった。



ハカセはこの島に住んだ唯一のニンゲンで
15年の滞在の間に
俺達ペンギンの言葉をニンゲン語に翻訳する装置を作った
とてもすごい人だった。


ハカセは、その装置をいろんなニンゲンに紹介して
俺達が住みやすい世界を作ると約束してくれていたが
その約束を果たせないまま逝ってしまった。

93歳だった。

俺達ペンギンからしたら
信じられないぐらい長生きだ。
でももっともっと生きててほしかった。


ハカセは死ぬ直前に、一番仲良しだった俺と
群れの中で一番頭のいいペンサクを家に呼び


翻訳装置の使い方を教えてくれた。



とにかく
しゃべるとニンゲン語に翻訳されて
「字」というものになって出てくるとか
なんかそんなかんじ。

この装置に毎日
「今日あったことや、思ったこと」を話しかけるようにと
俺とペンサクは、ハカセに頼まれた。

ペンサクはハカセから、装置のいじり方や記録の仕方や
「しゃしん」のやり方を細かく教えられ
数日でそれをマスターした。

さすがだ。

ハカセも、とても感激していた。
感激している最中に突然倒れて死んだ。
すごくすごく悲しかった。


そしてハカセの死後
ハカセに言われたとおりにこうして俺は
翻訳装置に向かって話しかけている。
あとはペンサクが記録装置をいじって記録してくれる予定だ。

ちなみに俺も「しゃしん」をやってみた。



…なんでこんなボケボケ…?


俺はもう「しゃしん」はやらない。
しゃべることに専念する。

で、これホントにニンゲン語に翻訳されてんのか?
読めないからわかんないじゃん。

2日目



おお
すごいじゃん。
ちゃんとできてるじゃん「しゃしん」。
さすがペンサク。
でもあんまりかっこよくないなぁ。
今日はかっこいい顔した時に「しゃしん」やってよ。


じゃあ、えーと、今日のできごと。
しゃべります。

特になし。
おわり。



で、毎日これ続けるのってなんか意味あんの?
あとでニンゲンが見るのか?
それとも俺達が寝てる間にニンゲンが来て
見てたりするのか?
そんなわけないか。


まぁ、どうでもいいや。
オオタハカセに頼まれたことだから毎日続けよう。



3日目

今日は、かっこいい顔した時の俺の「しゃしん」を
女の子達に見せてやった。

俺だって来年は4歳、結婚する歳だ。
今からモテておかないとな。



「しゃしん」の評判はよかったが
それでモテたのは俺じゃなくて
ペンサクだった。

まぁ、わかるよ。
装置いじれるし「しゃしん」やれるし。
俺もスゲーって思うし。

でもなんかさー
なんつーかさー
俺も「すごーい」って言われたいっていうかさー。

何かしなくちゃなぁ。


4日目

決めた。



俺は世界初の「空を飛ぶペンギン」になってやる。

モテるぞ絶対。

5日目

今日から飛ぶ特訓だ。

やり方はわかってる。
飛んでる鳥を見てたらすぐわかっちゃったよ。

翼をすごく早くバタつかせればいいんだ。











死んだかと思った。


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