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出会い

2000年生まれの彼とは、1本の電話から出合うこととなった。
「知人が里親探しをしている仔猫を
その人が旅行の間だけ預かっているから
迎えてあげて欲しい」という内容だった。
電話では断りきれず、まだ数ヶ月前に2匹目の猫を迎えたばかりで
迎える事になるとは塵ほども思わずに会いに行ったのだ。

そのときの彼は、まだまだ小さくて
離乳食も済んでいい頃だと思う大きさなのに
ミルクを持ってくると自分の前足で器用に哺乳瓶を持って
仰向けで飲むという仕草を見せてくれた。
彼には同胎子と思われる子がいたが
この愛嬌のある仕草に3時間ばかり考えて連れ帰ってきた。


名前

生まれ月を想像して『水無月』と名付けた。
名前負けしているなんて声は聞きなれているけれど
水無月は、たぶん……気にしているはずだ。
その大きさから(一番重かったときは11kgだった)
誰ともなく「にゃじら」なんて愛称を付けられているけれど
水無月は「にゃじら」と呼ばれると視線を外す。


チャトラ

チャトラというのは雄のことが多い。
三毛やサビほどの確率ではないというだけで
チャトラには雄が多く生まれる。
その例に漏れず、水無月は雄だから
だから多くの猫と暮らすには彼は気を使うのだろう。
来客があると犬よりも先に出迎えるのが水無月だ。
番犬ならぬ番猫……しかし懐いてしまうため追い払う事はない。

嫌わないで

水無月は人に嫌われる事を極度に恐れる。
他の猫の相手をしていると背中を向けて傍に居る。
肩に乗るときも、軽く前足を置いて気付くまで待っている。
「乗るの?」
その一言が欲しくて水無月は待っている。
決して爪を立てずに体重に反比例して軽いジャンプで乗り切る。
声をかけると期待と不安の入り混じった顔を向ける。
猫の表情は解りにくいというけれど
水無月は解り易い方だと思う……むろん犬ほどではないけれども。

不動の三番目

水無月は愛嬌のある仕草と人懐こさで
実は神経質で、臆病者なのだと知る人は少ない。
猫に派閥や序列はないという人も居るけれども
完全室内飼育で20匹近く存在したら序列くらいは生まれる。
数が少なかった頃は古参の猫と雄同志で
じゃれあう事が多かったのに
序列など感じさせないほど水無月は2番目に居たのに
非常識な雄猫の行動が嫌いで
その白い大きな猫が嫌いで…………
水無月は3番目になった。
滅多にじゃれあうこともなくなって
彼の背中を見る日が増えていった。



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