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11年目

水無月は元気な状態でやってきた。
だから年に一度のワクチン注射も受けさせてきた。
けれど最近は目が腫れ易くて
耳も薬に頼る事が多くなった。
じっと見つめ続ける視線の先には
水無月を過剰に恐れる三毛猫、飛鳥がいる。

団地のゴミ捨て場で保護されたという過去を持つ水無月
奈良県明日香村の山の中で生まれた飛鳥
二匹は人が大好きな猫同志なのに
甘える事が大好きな猫同志なのに
飛鳥と水無月は、初対面のときから犬猿の仲だ。

(* 飛鳥とは過去に出した「二十分の一の猫」で撮影している猫である)

ニオイ

水無月は意外にも神経質なのだ。
例えば、知らない人のニオイは犬より嗅いでいる時間が長い。
来客が猫嫌いでなければ水無月は同席する。
そうして相手が年配の男性であろうが
妙齢の女子であろうが
じっと見つめて、それに応えるような笑顔を向けられると
うなじのニオイまで嗅いで回る……
何か納得して、彼なりに解ろうとしているのだろう。
女の子の悲鳴に身を引く悲しそうな瞳に気付かなければ
彼は無神経で大胆な猫に他ならない。

カメラは嫌い

人懐こくて、傍に居る事が大好きだから撮影は出来るけれど
水無月ほどカメラというものを嫌う猫は少ない。
あまり動く子ではないから撮影し易いのだけれど……
何枚も撮り続けていると
こうして横を向いて、目を閉じてしまう。
彼は世界を閉じてしまう。
水無月は人が大好きで、嫌われる事をしないだけで
本当に猫らしい、自分勝手すぎるところを隠しているだけなのだ。

かぎ尾

若い頃は何かに引っ掛けてしまって
驚くくらいの声をあげて暴れまわった「かぎ尾」
くるくるに渦巻き状になった水無月の尾
窓の外の小鳥や、飛鳥を見つけると
このかぎ尾を「ブンブン」とふるのだ。

この画像は、飛鳥が遊んでいるのを見ているところだ。

たぷん

人は大好きだけど、触られると毛繕いする。
決して自分自身以外のニオイをまとわない。
だけど太りすぎた身体は彼の思うように動けない。
やっと痩せても余った皮膚の皺が邪魔をする。
だから……
水無月はコーミングが大好きだ。
誰かと一緒じゃない、コームを持つ人と1対1になれる時間
だけど仕上がりに撫でると、こうして顔を洗う……


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