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10月24日のお話「狂歌十首」

   ・15歳の誕生日にプレゼントを貰い

 君くれし万年筆の嬉しさよ 手に胸に耳に口に鼻孔に

   あなたが万年筆をくれたことが嬉しくて、
   じっと手に持ったり、胸ポケットにしまったり、
   耳にひっかけたり、口でしゃぶったり、
   鼻の穴に突っ込んだりと喜びが止まらない。


   ・25歳の誕生日に10年前のプレゼントを握りしめ

 君くれし万年筆を枕に寝 青き血の海の中に目覚め

   あなたにもらった万年筆がどうしても嬉しくて
   枕元に握りしめて眠ったら、目が覚めて
   起きたらあたり一面インクが染み渡って
   あたかも青い血の海のようだなあ。


   ・35歳の誕生日に20年前のプレゼントを使いながら

 君くれし万年筆の持ち重り 16tのペン先なれば 

   あなたがくれた万年筆を使っていると 
   時間とともに重さを実感する。 
   (どういうわけか)ペン先の重さが16tもあるので。 


   ・45歳の誕生日にふと詩想がわいた

 ペン先をくちばしに持つ鳥なれば いざ飛びゆかん君眠る町へ

   もしもわたしがペン先をくちばしに持つ鳥だったなら、
   ただちに羽を広げてこの夜空を君の元に飛んでいくだろう。


   ・55歳の誕生日に10年前の短歌への感想を聞いて

 ペン先をくちばしに持つ鳥ならず キモイとかキショイとか言うなたとえ話だ

   だから本当にペン先をくちばしに持つ鳥なわけじゃなくて。
   たとえ話だって言ってるじゃないか。気持ち悪いとか言うなよ。
   字余りになっちゃったじゃないか。


   ・65歳の誕生日に恋敵の存在を知って

 小手先の技冴えるペン先使い浅き輩よ佐々木紫

   ペンを使う同業者の端くれの中でも小手先の技ばかり巧みな
   底の浅いやつだなあ、(恋敵の)佐々木紫は。


   ・75歳の誕生日に万年筆の錆に苛立つ

 ペン先錆びて紙を裂き噂聞き草木むしりて兎に刃先

   君に貰った万年筆のペン先が錆びて紙を切り裂いたところで
   君のイヤな噂を聞き、自棄を起こして草木をむしったり
   兎に刃物を突きつけたりしてもう無茶苦茶なことだなあ。


   ・85歳の誕生日にふと義憤に駆られ

 我は知るまなこ血走る苦きは汁 我また走るペン先走る

   苦汁を飲まされ、怒髪天を衝き目も血走るようなことを
   知ってしまうと、さすがのわたしもかけずり回り、
   想いをペンに託すのである。


   ・95歳の誕生日に少しいいことがあった

 珍しい花見た鳥の声聞いた 楽しき日のふみ踊るペン先

   今日は珍しい花を見た。珍しい鳥の声を聞いた。
   たまに楽しい日があると君に書く手紙のペン先も踊るよ。


   ・105歳の誕生日に

 万年筆くれし君の世を去りて 震える手先踊るペン先

   君が万年筆を贈ってくれたのはいつのことだったろうか。
   その君は既にこの世になく、
   年老いたわたしの手先でペン先も震え踊る。

(「ペン先」ordered by kyouko-san/text by TAKASHINA, Tsunehiro a.k.a.hiro)

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※星5つで、お気に入り度を示すこともできるようですが、面と向かって星をつけるのはひょっとしたら難しいかも知れませんね。すごく気に入ったら星5つつける、くらいの感じでご利用いただければ幸いです。

 現在、連日作品を発表中です。2011年7月1日から2012年6月30日までの366日(2012年はうるう年)に対して、毎日「1日1篇のSFP作品がある」という状態をめざし、全作品を無料で大公開しています。→公開中の作品一覧

 SFP作品は、元作品のクレジットをきちんと表記していただければ、転載や朗読などの上演、劇団の稽古場でのテキスト、舞台化や映像化などにも自由にご活用いただけます。詳しくは「Sudden Fiction Project Guide」というガイドブックにまとめておきました。使用時には、コメント欄で結構ですので一声おかけくださいね。

 ちょっと楽屋話をすると、7月1日にこのプロジェクトを開始して以来、日を追うごとにつくづく思い知らされているのですが、これ、かなり大変なんです(笑)。毎日1篇、作品に手を入れてアップして、告知して、Facebookページなどに整理して……って、始める前に予想していたよりも遥かに手間がかかるんですね。みなさんからのコメント、ツイート(RT)、「いいね!」を励みにがんばっていますので、ぜひご協力お願いいたします。

 読んでくださる方が増えるというのもとても嬉しい元気の素なので、気に入った作品を人に紹介して広めていただけるのも大歓迎です。上記Facebookページも、徐々に充実させてまいりますので、興味のある方はリンク先を訪れて、ページそのものに対して「いいね!」ボタンを押してご参加ください。

 10月からは「1日1篇新作発表」の荒行(笑)を開始し、55作品ばかり書き上げる予定です。「急募!お題 この秋Sudden Fiction Project開催します」のコメント欄を使って、読者のみなさんからのお題を募集中です。自分の出したお題でおはなしがひとつ生まれるのって、ぼくも体験済みですが、かなり楽しいですよ! はじめての方も、どうぞ気軽に遠慮なくご注文ください(お題は頂戴しても、お代は頂戴しないシステムでやっています。ご安心を)。

 こんな調子で、2012年6月30日まで怒濤で突き進みます。他にはあんまりない、オンラインならではの風変わりな私設イベントです。ぜひご一緒に盛り上がってまいりましょう。

奥付



狂歌十首


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著者 : hirotakashina
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