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電子書籍発刊にあたって

 『千穂ちゃん、ごめん!』は、執筆活動第1作目の作品で、読みづらい点があるかとも思います。

 2・3作目として、フィクション作品『槿の花が咲くまで』『真実』を書き上げました。 

 フィクション作品については、無料の電子書籍として躊躇なく公開させてもらったのですが、『千穂ちゃん、ごめん!』については、警察内部に隠された真実を書き上げたノンフィクション作品であることから、ネット上の電子書籍として、公開していいものかどうか迷いに迷いました……。

 自らの迷いを払拭するために、関心のある方のみが読んでいただける有料書籍として公開させてもらったもので、ご了承のほどお願いいたします。

                                  --西村 虎男--

   この作品で受賞しました。                                                                                       

 

 

 

 


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電子書籍発刊を報道

地元の『北國新聞』に記事として掲載されました。


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怒りの声

(追記)

「千穂ちゃん、ごめん!」の作品を読んだ方から、筆者のブログに、次のような書き込みがありました。

 ━━原文のまま、搭載━━

 こんにちは。
「千穂ちゃんごめん!」を読ませていただきました。
すべて読み終えるのに時間が必要でした。

当時の事を思い出しながらでつらかったです。

僕は友人として、警察が許せないですね。

警察の威信を守る為に犯人検挙するのかと思えば、
警察個人、いや幹部個人の保身とプライドを守る為に
間違った捜査をしていたなんて、遺族だけではなく、
友人・知人も許すことが出来ないでしょう。

当時、なかなか泣けなかったことを思い出します。
でも、今改めて彼女の死への悲しみ、警察への怒りで
涙が出そうです。

今年で20年。
取り調べを受けたこと。
テレビカメラの入った異様な葬儀。
何を取っても一生忘れられないものになってしまいました。

今でも心残りは、葬儀の後、彼女の顔を見れなかった事です。
見れなかったというより、見るのが怖かったというのが正直な
気持ちです。

 ━━筆者のブログへ書き込まれた文章を、本章に追記したのは、「このようなことが二度とあってはならない」との、筆者の強い願いからです……


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刑事警察を憂いて

 組織にいた者として、真実を語る責任がある……!

――警察を退職するときに筆者は決心した。

 

 1992年10月1日、スイミングクラブに勤務する20歳の女性コーチが、勤め先の駐車場に止められた本人所有の車の中で、遺体となって発見された殺人事件があった。

 北陸の経済の中心都市と言われている、石川県金沢市の南部方面と隣接する松任市を舞台に捜査は展開されたが、15年の歳月を経て、事件は迷宮と言われる暗闇の中に入ってしまった。

 その間に松任市も、2005年2月1日、付近の町村と合併して白山市となった。

だれもがすぐに解決出来ると思った事件を、県警は2007年9月30日の公訴時効成立とともにお宮入りさせ、ミステリアスな事件として歴史に刻み込んでしまったのである。

 公訴時効とは、検察官が裁判所に起訴状を提出して刑事事件についての刑の適用を求める手続きが、時間の経過によって出来なくなる期間であり、殺人の罪については時効が15年となっていた。

 つまり、発生から15年経過すれば、犯人は処罰されることがなくなり、必然的に捜査も出来なくなる。

 

 2010年4月27日、改正刑事訴訟法の施行によって、殺人罪などの時効が廃止され時効はなくなった。

 お宮入りとは、祭りの神楽が神社へ入って祭りが終わってしまうことを、事件捜査に例えて言っている隠語である。

 この事件は、全国的に増加傾向にある未解決殺人事件の1つに過ぎないかも知れないが、警察の都合のみを優先し、被害者不在の捜査が行われた、典型的事例とも言うべき事件であった。

 被害者と遺族の無念を晴らせないまま時効を迎えた殺人事件は、本当に解決が難しい事件であったのだろうか?

 そうは思わない……

 

――警察が、事件検挙を難しくしているだけだ!

 長年刑事警察に身を置いた私は、警察組織が伝承と称して引き継いで行こうとしている、悪しき伝統を継承させてはならないとの強い思いを持って、被害者の無念を胸に、刑事警察の問題点を指摘する決心をした。

 

 高校卒業後の1968年4月石川県警察官を拝命し、最初に配置されたのは、北陸の加賀温泉郷と言われる《片山津温泉》《山代温泉》《山中温泉》の3温泉を管轄する大聖寺警察署であった。

 大聖寺警察署片山津警部派出所に温泉巡査として配置され、1カ月後に被災世帯が百有余世帯に上る《片山津温泉大火》と呼ばれる災害現場をまのあたりに見て、警察官としての洗礼を受けることになった。

 派出所については、今は交番と呼ばれている。

 派出所勤務2年後に刑事として推薦され、温泉場の刑事としてデビューした。

 その後33年間、刑事を天職として、県内において発生する事件と向き合い、人間社会の裏表を見て来た。

 不謹慎な言葉ととらえられるかも知れないが、刑事としての私は、事件に恵まれ人の倍以上の現場を経験させてもらった。

 

 刑事警察に身を置く晩年に直腸がんを患い、余命を計算しながら仕事に打ち込んだ時期もあった。

 病室で己の命と向き合っているとき、《自分は、刑事警察改革のために生かされている》との強い思いを持つようになった。

 しかし、階級社会である警察組織は、1人の警察官の力ではどうにかなるものでないことを、弥が上にも知らされた。

――他でもない、刑事の敵は内にあった……

 

 私は、県内最大の繁華街と言われ、歌にも歌われている金沢市の片町・香林坊を管轄する、金沢中警察署香林坊交番所長を最後に警察社会から去ることになった。

 警察の仕事で、地域住民と接する機会が一番多いのが交番勤務になる。

 香林坊交番では、住民との接点を出来るだけ多く持ちたいとの思いを持って、積極的に街の人との交流に務めた。

 地域の方々と語らう中で、2007年9月30日の時効とともに迷宮入りになった、スイミングクラブ女性コーチ殺人事件に関して、事実無根の噂話しが、人々の心の奥底深くに残されたまま1人歩きしていることを知った。

 

 女性コーチ殺人事件については、発生当初捜査一課特捜係長として捜査本部に加わり、10年後に捜査一課特捜班長として、刑事最後の仕事との思いを持って、私が取り組んだ事件だ。

 事件発生初期段階で、捜査指揮を執る幹部が、「あの男が犯人に間違いない、あの男に関する情報を何でもいいから取ってこい……」と、捜査員に指示していた言葉が噂のもとになって、地域住民の記憶に残されていた。

 事件は15年の歳月を経て迷宮入りとなり、真実が明らかにされないまま、警察の一方的終結宣言がされている。

 警察は、事実無根の噂を地域社会に広めたまま、その責任を取ることもなく、事件を迷宮入りさせて噂だけを残してしまっていた。

 

 人々の心の中に残されている噂については、発生から10年後に、徹底した「尻洗い捜査」を実施した私だけが、消し去ることが出来るものであった。

 定年退職後の第2の人生を考えたとき、噂に目を瞑ったまま、真実を墓場まで持って行くべきか、隠されている真実を公表すべきか……

 正直なところ悩んだ。

 警察組織内に潜んでいる隠された真実を、一個人として公表するには、それなりの覚悟を必要とする。

 刑事警察を愛し、どこのだれよりも刑事警察の将来を憂いているが故に、家族の理解を得て、事件捜査の裏に隠された真実を、形あるものとして公表する決心をした。

 組織に身を置いた者の責任として……

 

 警察官には、地方公務員法第34条に規定する守秘義務があり、その義務は退職後も死ぬまで課せられた義務であることは承知している。

 刑事の仕事を通じて体験したことが、職務上知り得た秘密にあたると指摘する者がいるかも知れない。

 事実、私の決意を聞いた同僚で、「文書として公表するには、組織の許可がいる」と忠告する者もいた。

 しかし、職務上知り得た秘密にあたると言っていることが、警察組織の怠慢なり、組織の発展を阻害している内容だとしたらどうだろうか?

 警察組織が自らの組織を守ることだけを考えて、職務上知り得た秘密であると言っていることについては、公益に反することであり法律で保護されるべき秘密ではない…… と私は理解している。

――私の考えは間違っているのだろうか?

 

 事件背景などの公表については、被害者遺族の了解を得ており、登場人物についても、個人の権利などを侵害することのないように最大の配慮をしているつもりである。

 上梓した内容は、47ある都道府県警察の、定員規模37番目に該当する自治体の刑事警察のことである。

 規模の大小に関係なく、警察組織は全国どこであっても同じであり、身近に存在する刑事警察を叱咤激励するための参考にしていただければ幸いである……


試し読みはここまでです。続きは購入後にお読みいただけます。

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販売価格398円(税込)

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