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 長男は色白のランド。 次男は白黒のハンプ。 三男は焦げ茶のデュロ。 外見はかなり違っていましたが、性格もかなり違っていました。 そして余り仲良くありませんでした。
 ある日、隣村の真っ黒のバークが立派な家を建てて、可愛いお嫁さんを貰ったという噂を聞いて、三匹はアイツが可愛いお嫁さんを貰ったのなら、自分たちも可愛いお嫁さんを貰ってやるぞ!と思い、早速それぞれが家を建てることになりました。 三匹は仲の悪いきょうだいなので同じ家を建てることを嫌がり、あみだくじでそれぞれが建てる家の素材を決めることになりました。 ところが仲が悪いので、あみだくじを引く順番をどうやって決めるかでもめていました。 そこへいことの桃色のヨークがやって来て提案しました。
「ボクとジャンケンをして、何回目で勝ったかで決めないか?」
 三匹は、それはナイスアイデアだとヨークを褒め、早速じゃんけんを始めましたが、全員がチョキを出して延々とアイコが続いたので日が暮れてしまい、結局その日は順番を決められませんでした。
 翌朝、ヨークが新しい提案をしました。
「ボクと駆けっこをして何回勝ったかで決めないか?」
 三匹は、それもナイスアイデアだとヨークを褒め、早速駆けっこを始めました。 ところがヨークは三匹の誰と駆けっこをしても負けてしまったので、やっぱり順番を決められませんでした。 仕方がないので駆けっこで決めるのは止めて、三度ヨークの提案でカルタ取りをして決めることにしました。 三匹は、ヨークのことを何て素晴らしいアイデアブタなんだと言って褒めまくりました。 三匹が仲良しに見えるのはそんな時だけです。 ヨークはそんな三匹を見て、本当は仲が良いのだと勘違いしてしまいました。 
 さて、ヨークが読み手になって三匹のカルタ取りが始まりました。
「ブタもおだてりゃ山に登る」
「ブー!」
 さすが長男です。 ランドが一番に取りました。
「ブタの目にダンヤモンドの涙」
「ブー!」
 次はお決まりのように、次男のハンプが取りました。
「ブタの耳にお経三昧」 
「ブー!」
 やっと三男のデュロが取れました。 これで互角となった三匹。 ヨークの提案で先に三枚取ったものが一番ということになりました。 そして二枚取ったら二番です。 カルタ取りが再開されました。
「ブタの子はどこまで行ってもブタ」
「ブー!」
 次男のハンプが取りました。 これで次男は二枚です。
「ブタが世界の中心で鳴き喚く」
「ブー!」
 なんと次男のハンプが連続して三枚目を取りました。 これで次男のハンプが一番にあみだくじを引く権利を得ました。 残るは長男のランドと三男デュロの一騎打ちです。 長男のランドの目がキラリと光りました。 すると三男のデュロの目がメラメラと燃え始めました。 こうなったら弟だろうと負けてはいられません。 読み手のバークにも緊張が走りました。 
「では、読みますよ!」
「ブー!」
 二匹の息もピッタリの返事です。 読み手のバークは今までになくゆっくりと読みました。
「……ブタもやれば出来る!」
「ブーーー!」
 気合の入った声が同時に響き二匹の手が同時に札に触れました。 さぁ、どっちの勝利でしょうか? 一瞬の沈黙の後、読み手のバークが告げました。
「……デュ、デュロ! デュロが札を触っている手の面積が若干広いと見なし、デュロ!」
「ブーーーーー!」
 三男のデュロが勝利の雄たけびを上げました。 でも、一番は次男のハンプです。 結局、ハンプが一番にあみだくじを引き、二番目にデュロ。 そして残りが長男のランドとなりました。
 あみだくじの結果、長男のランドは藁(わら)、次男のハンプは木、三男のデュロはレンガを、それぞれが家を建てる材料にすることになりました。 ところが三匹とも希望していた材料に当たらなかったので不満で一杯です。 でも当然ヨークの作ったあみだくじに不正は無く、引く順番も正々堂々とカルタで闘った結果だったので、不満を口には出しませんでした。
 さて、一番初めに家が建ったのは長男ランドの藁作りの家です。 噂を聞きつけた村の娘たちが早速家を見に来ました。 藁の家はフカフカでとても住み心地が良さそうです。 沢山の娘たちがわれもわれもとランドの家の押しかけました。 ところが余りにも沢山の娘たちが一度に家の中に入ったので、藁の家はあっという間に壊れてしまいました。
「ブ~~~、なんてこったい!」
 長男ランドはガックリとうな垂れました。 
 丁度その頃、次男ハンプの木の家が完成しました。 藁の家から藁まみれになって出てきた村の娘たちは、ハンプのしっかりとして木の家に目を輝かせ、今度は外から慎重に触ったり叩いたりして壊れないか調べています。 ところが皆でいっせいに木の板壁を叩いたので、バリッと割れて壁に大きな穴が空いてしまいました。 すると突然のスコールに見舞われ、家の中はびしょ濡れになってしまいました。 そうなるともう娘たちは家の中まで入る気がしません。 
「ブ~~~、なんてこったい!」
 次男のハンプもガックリとうな垂れました。
 丁度その頃、三男のデュロのレンガの家がやっと完成しました。 時間が掛かっただけあって藁の家よりも木板の家よりもしっかりとしてそうです。 村の娘たちは二度も悲惨な目にあったのでもう帰ろうと思っていましたが、デュロのレンガ作りの家があまりにも立派に見えたので、もう一度だけ試しに覗いてみることにしました。
 すると大勢が家の中に入っても壊れる気配はありません。 さっきのスコールの影響もなさそうです。 少し肌触りが固くて冷たいと思いましたが、娘たちはこの家なら壊れる心配も雨に濡れる心配も無いだろうと思って、ほぼ全員が三男デュロのお嫁さん候補になることにしました。
 この結果に長男のランドと次男のハンプはちょっと悔しい気持ちでしたが、弟デュロの幸を祝福してあげようと話し合って、二匹で三男の家を訪ねました。
「デュロ、おめでとう! これで可愛いお嫁さんが来るね。 オレたちも楽しみにしてるブー」
 初めて三匹が仲良くなれた瞬間でした。 
 ところが三匹が握手を交わした直後です。 なんと家がグラグラと揺れ始めました。
「ブー! な・な・なんだ!」
 それはこの村はじまって以来の大地震でした。
「ブー! 家の中に居たら危ないぞ! 全員、外に出るんだブー!」
 さすが長男です。 ハンプが二人に指示をしました。
「で・でも…… おれが一生懸命作った家なのに…… おれ、もうこうなったら家と一緒に心中するブー!」
 デュロが家に未練を残して脱出しようとしません。 しかし二匹の兄は叫びました。
「ブタやろーーー! おれたちは三匹揃ってのきょうだいじゃないか! 三匹一緒じゃないとケンカをしてもつまらないじゃないかブーーー!!」
「に・にいさん……」
 次の瞬間、天井からレンガが落ちて来ました。 と同時に二匹は弟デュロの手を引っ張り間一髪でレンガを避け、家を脱出しました。 そして三匹がブ~~~と一息ついた途端、揺れは最大になりアッと言う間にデュロのレンガの家はガラガラと崩れてしまいました。 
 壊れた家の前で命拾いをした三匹のきょうだいブタがしっかりと抱き合っています。
「よかった…… 三匹揃っていてよかった……」 
 それ以来、三匹はすっかり仲の良いきょうだいブタになりました。 そしていとこのヨークの紹介で、それぞれが一番可愛いと思うお嫁さんを貰って、藁と木とレンガを全部使って建てた家で幸せに暮らしました。 見かけも性格も違っているだけあって、三匹の女の子の好みが全く違っていたのが、何よりも幸いでした。 めでたし、めでたしだブー。 (^@@^)v  了

番外編

 三匹のきょうだいブタのいとこで、彼らに可愛いお嫁さんを紹介したヨークには姉がいる。 姉もヨークに似て桃色だが僅かに白い斑点がある。 その斑点模様がとっても色っぽく見えて、ヨークの姉はモテモテだった。 モテモテの姉とよく一緒に出歩いていたヨークは、姉の恋人だと勘違いされて、姉に恋心を抱く沢山のブタ仲間からいじめに遭っていた。 もちろん姉のいないところでだ。 
 ある日、姉とショッピングを愉しんでいると、いつもヨークをいじめているグループの一匹に遭遇した。 そいつはいじめグループのボスで、この日は何故か姉が一緒に居るにも係わらずヨークに難癖をつけてきた。
「よぉよぉー! そこの軟弱な桃色さんよー いろっぺぇお嬢様には全く似つかわしくねぇなぁー あん? やっぱお嬢様にはオレサマのような真っ黒に日焼けした逞しい男でなくっちゃーなっ!ブフン」
 ヨークは面倒な奴に出会ったなと思い、姉と一緒にその場からトンずらしようとクルリと背中を向けた。 ところが背中を向けたヨークのシッポが余りにクルクル丸まっていたので、真っ黒ブタは何だかバカにされたような気がしてヨークの首根っこを後から掴んだ。
「おい、桃色! そんなクルクルしたシッポを向けやがって、オレサマをバカにしてるのかっ!? ブフン」
「え? バカにしてるなんて…… ブタのシッポはみんなクルクルじゃないですか!?ブー」
「なんだとー!? オレサマのシッポを見てみろ! ピーンとしてるぜ! これがホンモノのシッポてーもんだ! よく覚えとけ! この桃色ブタやろうがっ!ブフフン」
 そんな二匹の遣り取りに、それまでグッと笑いを堪えていたのか、ヨークの姉が突然噴出した。
「ブブブーーーッ! ブァッカじゃないのぉ、あんた! ブハハハハハ・ブハハハハハ・ブハハハハハ」
『ね・ねぇさん、ヤバイよ! そんなに笑って……』
 いつまでも笑い続ける姉に、ヨークは真っ黒ブタが本気で怒るんじゃないかとハラハラしていたが、真っ黒ブタのピンとなっているシッポが余りに短いので、ついつい姉に釣られて笑ってしまった。
「ブッ、ブブブ…… ブハハハハハ」
 予想外にも二匹して大笑いされてしまった真っ黒ブタは、急に自分のシッポが恥ずかしくなってきた。 おまけに憧れていたお嬢様の前で恥をかかされたので、シッポはションボリ、真っ黒の顔も赤黒くなり、ついでに耳も垂れてしまい、今にも泣き出しそうな顔になった。 ところが真っ黒ブタのその意外な反応にヨークの姉がドキッとなった。
『え? ……あんた泣いてんの?』
 ヨークの姉は超姉御肌の母性本能激辛キムチブタだった。
「ゴメンよ…… あんたを泣かせるつもりで笑ったんじゃないんだよ。 真っ黒だけどあんた結構いい顔してるんだね。 それにこの逞しい身体…… あたしをシンデレラ抱っこできるかい?」
 するとヨークの姉の言葉に、まるで催眠術にかかったように真っ黒ブタが答えた。
「はい! お嬢様! シンデレラ抱っこ出来るであります!」
 瞬時に忠実なしもべとなった真っ黒ブタは、軽々とヨークの姉を抱き上げた。 その後、真っ黒ブタはヨークの姉の為にそれはそれは立派な家を建て、二匹は結婚したのだった。 
 その彼が正に、三匹のきょうだいブタが噂を聞いた隣村のバークだった。 バークが事実上義理の兄になったヨークは、その後いじめに遭うこともなく、持ち前のルックスとハートの優しさで、今度は彼がモテモテになった。 そのお陰で三匹のきょうだいブタにも可愛いお嫁さんを紹介してあげられたという訳だった。 でも、肝心のヨークが結婚したという噂はまだ聞かない。 了

この本の内容は以上です。


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