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◇すいいつ。

(※各章扉にはこのような筆者の手による
誰得絵が添えられております。
これはお菓子のことをお腹で考える筆者の図。)
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◆スイーツうめえ
甘いもの = 必須要素
――QED、宇宙の真理、もののことわり。
以上、今回のお話終わり。
……
……というわけにもいきませんね。
かくして今回はスイーツの話なのですが、その前に私にとってなぜ甘いものが大切なのか前もって説明せねばなりません。
甘いものが必要なのです。甘いものがなければ生きてはゆけないのです。これは私にとって重要であるとともに頭脳を酷使する翻訳家にとっては不可欠な要素なのです。ずっと(8~10時間くらい)頭を使って作業をしていると、頭が痛くなります。重くなります。しんどくなります。しかしそれでも仕事やら何やらをしなければならないときがあります。そんなときには甘いものを食べたくなるのです。食べると頭の痛みも取れるのです。少し元気になるのです。昔はその回復剤が餃子でした。食べると頭が楽になるのです。しかし仕事をするようになった今、餃子をそうやすやすとは作れません。換気扇を回してコンロをつけてフライパンに油を引いて冷蔵庫から餃子を出してフライパンに載せて表面に焼き色をつけて水を少量入れて蒸し焼きにして水気を飛ばして皿に盛らなければならないのです。そうすると時間がかかって頭まで切り替わってしまって仕事どころではありません。だから私は翻訳をしながら甘いものを食べますチョコを口に入れますバームクーヘンにかぶりつきますケーキをほおばりますゼリーをすくいますお饅頭をかじりますシュークリームを味わいますクッキーをかみ砕きますパイをもぐもぐしますそうするとなぜか出てこなかった訳語がぱっと出てきてすごいふしぎまあなんてすばらしいんでしょうあははいひひうふふえへへおほほ。そうしているうちに以前より好きだったお菓子がもっと好きになり部屋の中で食すだけには飽きたらず、仕事なんてそっちのけでスケジュールを計画的に調整して仕事を早めに切り上げて外のお菓子屋さんに買いに出かけたり食べに行ったりすることになります。なるんです。正直甘いものでも食べないとやってられませんよ。
というわけで言い訳完了(読み飛ばし推奨)さて本題です。
以上の通り私が甘いものを必要とするのは証明されているので、仕事がせっぱ詰まってて外出たくないよとぐずっててもスイーツ食べられるところに行こうなどと言われたら二つ返事でOKします(安い)。
つまるところ、世の女性がスイーツを三大栄養素の上に置くように、オトメンにとってもスイーツはそのような位置づけになるのです。よって、そのために日々働き、日々行動します。
しかしながら、女性とは違って、オトメンが洋菓子店なりカフェなりのスイーツを置いているお店に行くときには、さまざまな困難がいまだつきまとっているのです。
たとえば、私の例を紹介すると、ひとりで行くときはだいたいテイクアウト、複数で行くときはイートイン。そんな感じです。ですからお店のなかで食べるときは、誰かと一緒に行かなければならないわけですね。
同行する人には男性も女性もいるのですが、たとえ異性とケーキを食べに行くときでもそれはデートではありませんっていうかイートインは神聖なものなのでそんな不純なものではないのですとオトメンは声を大にして言いたい! 世の中の女性でオトメンな彼氏が自分以外の女の子とケーキを食べに行ってそれを浮気だとか何とか言って怒っている人がいたらその人は即刻考えを改めるべきです!
オトメンにとっては「ケーキを食べに行く」ことが大事なのであって「女の子と一緒に行く」ことは別に大きなことではないのですよ! その女性はお友だちのひとりです、もしかすると男性のお友だちよりも(趣味や嗜好の点で近く)気安いお友だちかもしれません。なのに、浮気? あ な た は ス イ ー ツ の 大 切 さ を わ か っ て い な い。なのでそこを規制するとオトメンはその不寛容を嫌がって逃げてしまうので注意してくださいねオトメンを彼氏にしているorしたいと思っている方々。
ってゆうかそもそも一緒に食べに行く人は、すでに彼氏持ちの女の子が多いんですけどね。だからその逆も多い。世の中の男性は、彼女がオトメンと一緒にケーキ食べに行ったからといって怒ってはいけないわけですよ。ケーキ目当てでしかないんですから。そこのところをよく理解すべきであります。
だってなかなか男の友だちで一緒にケーキ食べに行ってくれる人なんていないわけじゃないですかだからオトメンにとってケーキ行脚につきあってくれる女の子の友だちはありがたいわけなのですが、そこにもまだまだ無理解と不寛容による障害が多くて、オトメンとスイーツとの関係はまだまだ良好とはいいがたいところがあるのです。(悲しいな。)
それにイートインにひとりで行けという意見には与しがたいです。だって、イートインはそこでスイーツやら恋の話やらのおしゃべりができて、なおかつお互いに食べてるスイーツを交換とかできるのですよ! ちょっと食べてみる? うんみるみる、みたいなやりとりをするためにあるわけじゃないですか。それなのにひとりで座ってても楽しくないです。
そもそもその女の子が彼氏の方が好きなのは、食べに行った先での話でよおく知ってますから。それくらい惚気を聞いてますから。ね。心配ご無用ですよほんと。あと、オトメンが「モテてる」と誤解していらっしゃる男子の皆様、もう本当に全然そんなことないですよ。確かに女の子の友だちは多いですけどね、でもみんな友だちですよ。友だちが多いってことを「モテる」とは言いませんよね。あくまでもオトメンは、女の子にとって「物わかりのいい男友だち」であることが多いのです。
それはそれで少し悩ましいところもありますが、それとこれとは別の話。
(#3 2008/9)
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◆ふっじっやっ
常日頃唱えている「カントリーマアムは和菓子である」説に賛同してくれる人はいません。みんなあれを洋菓子だと言ってはばからないのです。しかしながらわたしはここでふたつの疑問を提示したいと思います。
1.古き良き時代のアメリカの手作りクッキーという定義がよくわからないこと。 2.このもっさりとした食感とほのかなあんこの後味はどう考えても和菓子のそれだということ。
ソフトクッキーにしてももっと何かこう違うものですよね。作ったり食べたりしたことがある人はわかると思いますが。やっぱりカントリーマアムは「カントリーマアム」という食べ物であって他の何ものでもなく、そうするとこれは日本で作られた和菓子だと考えていいのではないかと。
最近はきなこ味とか宇治金時味とかみそ味とかもはや和風であることを隠しもしておらず、そういった事情からも不二家が作っているから洋菓子なのですという思考停止に陥った派閥に易々と与することはできません。
そもそもショートケーキやミルキーだって和菓子ですよ! どう考えても!(Japanese Strawberry Shortcake and Japanese Hard Milk Candy!)
そんなわけでお手伝いのため今でも顔を出しているボランティアサークルでは、カントリーマアムが消費されるお菓子の第一位をぶっちぎりで占めており、新味が出ると誰ということもなくサークルに常備されているお菓子BOXに供給され、みんなして和やかに食しております。略して和食。
個包装に入れたまま電子レンジにかけてどろどろにしてしまったという猛者もいますが、ジャパニーズソフトクッキーを温めてもいいのなら、おまんじゅうだって同じことをしてもいいわけで、特に黒砂糖系のおまんじゅう(あるいは温泉まんじゅう)をちょっと温めても美味しいですよね。わたしはあれをそんなノリだと思っています。
何が言いたいかというとわたしは不二家を偉大なる洋風和菓子屋だと思っています。あと店舗販売の手作りお菓子と袋売りのお手軽なお菓子のどちらも作ってるというのはとってもえらい。どっちも好きなので。
男なのにこんなにお菓子スイーツと口走るのは、おそらく実家が日々お菓子の流通する文化にあったからで、近所の洋菓子屋さんからたびたび新商品のお裾分けなんかいただいたり、家族が何の前触れもなく普通の日に手作りのお菓子を作り出したり、どこからともなくおみやげが頻繁に届いて家族に配給されたり、なぜか季節の果物が食べきれないくらいに常備されていたり、お買い物についていったときには遊び場っぽいとこでなくお菓子屋に放置される子どもたちだったりと、そんな家庭にいたからだと思わないでもありません。とにかくスイーツと本だけは制限しない家庭でした。
スイーツ好きがこじれて、できればtwitterのタイムラインとかもお菓子や果物のアイコンの人だけで埋めてみたいのですが、そんなアイコンをどうやって探していけばいいのか、あるいはそんなリストがすでに存在しているとしてどうやって見つければいいのか、というところでもやもやしています。
放っておいたらプリンとかケーキとかチョコレートがわらわらと流れてくるようにしたいのに。そうなればわたしもたぶんtwitterが気持ちよくなると思うんです。
だってほら、twitterって基本それぞれがそれぞれのエゴむき出しで、そこかしこにどや顔で名言っぽいこととか偏ったこととか変態的なこととかつまらないジョークとかを脊髄反射みたいに言い切って悦に入ってる人なんかがいて、それがリツイートされて勝手に流れ込んでくるような気持ち悪いところじゃないですか(「(キリッ、だっておwwバンバン」を自動的につけてくれないかな)。インターネットが人間の自我を拡張してさらけ出して垂れ流させるなんていうことは、昔から割と言われていることではありますが、これは極まった、と思ったりするのです。(一応褒めてるつもりで、否定しているわけではありません。)
まあでもわたしはそんなツイートの内容とかはどうでもいいので、お菓子ばっかり流れてくればいいな、スイーツが語るのならたぶん割と何でもいいと思うので、そんな感じにタイムラインを染めたいのです。
お菓子が政治の話をしたりエロい話をしたり鬱々とした話をしたりしてもいいんじゃないかな。twitterの本懐であるところの世間話だけを繰り広げる、ゆるゆるふわふわとしたスイーツだけの世界。
ああ、みんなお菓子になればいいのに。わたしはなりませんけど。
(#29 2010/11)
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◆たいやきうどん!
〈たいやきうどん〉……それは私が長年追い求めてきた料理。いつか作って食してみんと、思い始めてかれこれ二十年。〈たいやき〉+〈うどん〉という未知なる領域へと、ついに私はその一歩を踏み出したのです……
お読みの方は一体何のことかと思われるでしょうが、ご想像の通り、そんな料理が実際に存在しているわけではありません。むしろ存在していたらうっすら恐怖すらするのですが、これ、実は私の幼い頃の空耳なのです。
自分世代の幼少期が誰しもそうであったように、やはり私もTVゲーム好きだったですが、小さい頃よくやったソフトのなかに『ぷよぷよ』(あるいは『魔導物語』)というものがありました。ご存じの方には説明の必要はないかと思いますが、この作品の主人公にアルルという少女がいまして、その子が魔法を使うのです。
たとえば〈ふぁいやー〉〈あいすすとーむ〉などなど、このあたりは簡単な英単語なので、子どもながら間違えることもありませんし、だいたいの意味がわかるのですが、ひとつだけどうしてもこうとしか聞こえないものがありまして。
「たいやきうどん!」「たいやきうどん!」
はてさて、何のことやら。辞書をくってみてもあるわけがなく、人に尋ねてみても知らぬと言うばかり。「なにそれ?」と首を傾げられようものなら、当のゲームの音声を聴かせ、「ほら!」「う~ん確かに」と言わしめるものの解決には至らず。
そこで子どもは子どもなりに考えてみるのが常でありましょう。〈たいやきうどん〉とは何であるか。おそらくそれは〈たいやき・うどん〉と区切るべきである、というひとまずの推測をつけていたので(〈たい・やきうどん〉と切らなかったのはその少女の発音による)、どちらも食べ物であるからには、そのふたつが組合わさった料理なのだろうという想像に至るのもうなずけますよね(ね!)。
そう、たいやきが上に乗ったうどんなのだ、それは――こうして、周りの人は知らないがきっと世の中にそういう食べ物があるのだろう、きっと出会ったあかつきには食せるのだろう……と子どものときに思ってはや二十年、もちろんそんなものはありませんでしたよ! どこにも! あるわけないじゃないですか!(すごいアホですよ私!)
とまあ、それで終わればよかったものを、ふと大人になると思い出してしまうわけですよね、何かの拍子に。そういえばそんなのあったな、と。しかも大人なので、一人暮らしの自炊なので料理は自由なわけですよ。ほら、いけない考えがむくむくと、心のなかで育っていくわけで。今なら……できるっ、アルルさん、オレやってみるよっ!てな感じで。(ちなみにその当のアルルはかわいい女の子でした。)
そして幾多の失敗と試行錯誤を乗り越えて(あれとかこれとか、本当にばっよえ~んな味!)、とうとう私とアルルさんの〈たいやきうどん〉は完成に至ったのです! ここでそのレシピを大公開しましょう! 誰ひとりとして得しませんが!
1.まずたいやきを用意します。これは鉄板で焼いたたいやきがベストです。コンビニやスーパーなどではおまんじゅうタイプのたいやきも売ってますが、液体につけるとすぐむにゃむにゃになってしまいますし、粉っぽさも足りないため、何よりおうどんの汁に合いません。冷凍のミニたいやきでも構いませんが、少々耐汁力がありませんので要注意です。
2.大事なのは、うどんに乗せる前にたいやきをオーブンで熱して、外側をかりかり、内側をほかほかにしておくことです。冷たいあんこのなかに熱い汁がしみわたるのは割といろんな意味で拷問です。
3.うどんの麺は、何でもいいです。さぬきでも細麺でもきしめんでもお好きなものを。汁の方は、薄めの合わせみそ味をおすすめします(だししょうゆとあんこはあんまり相性がよくない気が……)。おろしショウガを添えると風味があってなおよいでしょう。面倒な人は市販品で「日清 朝のめざましうどん」というものがあるので、それでもよろしいかと。
4.そしてたいやきの焼き上がりとうどんの出来上がりが同じくらいになるようにすればOK! うどんの上にたいやきを乗せて! これで無難に食べられるはずです!
わあい夢が叶った。というわけで、私ひとりが楽しい〈たいやきうどん〉の話なのですが、twitterで実験報告などをしていると、「森鴎外の饅頭茶漬けを彷彿とさせますね」というつっこみが入ったりも。そういえば確かに何か近しいものが……。翻訳家の甘いもの好きと何か関係があるのかも……と、さらなる妄想に発展しそうなところで今回はお開き。
(ちなみに正しい魔法名は〈ダイ・アキュート〉で、威力が二倍になるというものでした。調理・玩味は自己責任でどうぞ。)

(#30 2010/12)
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◆イタダキマスヨ
よくモノをいただきます。むしろいただきモノによって生かされていると言っても過言ではありません。私の部屋と日常はだいたいがいただきモノか中古で購入したものか借りてきたものか、といった感じで。いただきモノについては、だいたい次のように分類できます。
1.お菓子
2.お茶
3.まめまめしいもの
お菓子については言うまでもありませんが、甘いものの話をいたるところでちょこちょこしゃべっていたら(〈ちょこちょこ〉とは〈たびたび〉を表す方言でチョコレートのことではありません)、ことあるごとに、いやむしろことないごとにいろんなお菓子をいただけるようになりました。洋菓子・和菓子を問わず幅広くいただけるので、仕事場のお菓子ボックスはおもちゃ箱のようにいつもあふれております。とりわけこの時期は増えて、チョコレートのお酒なんかもあったりなんかして、食べきるのにだいたい数ヶ月かかったりします。
たぶんこの時期の私に甘いものをやっておけばこの一年おとなしく言うことを聞いてくれるだろうとか思われてるのでしょうが、まさしくその通りなので何の反論のしようもないというかむしろ喜んでなんでも致しますよ、甘いものくださるのであれば。お菓子をくれる人は私にとってはいい人です間違いなく。学生時代の7年間ずっと同じバイトをやりつづけられたのは、その職場にスイーツタイム(午後3時になるとお菓子がもらえる)があったからにほかならないからでしょう。
そんな感じでいただいたモノを毎日しょこらしょこらと食べるのですが(〈しょこらしょこら〉は〈もぐもぐ〉を表す言葉でチョコレートのことではありません)、お菓子につきものと言えばお茶ですよね。これも日本茶に中国茶に紅茶にフレーバーティーに、はたまたタンポポコーヒーなどなど、いろんなお茶をいただきます。どれもおそらくは海外おみやげとおぼしきもので、いろんな外国語が記されており、そういったタイ語やらヒンディー語やら中国語やらを辞書片手に読んでいくのが息抜きのひとつでもあります。(そういえばお菓子は東欧・北欧の言葉も多いかも。仏伊もあるなあ。)
しかしお茶の葉はいただいてからすぐに使わないため、しばらく経ってから飲んで「!」と思ってもたいていの場合、誰からどういただいたのか忘れてしまっていて、二度と同じものを手に入れられないようになっております。一期一会。お茶との出会いは一度きりなので大切にしましょう、と、ひこにゃんのご主人の子孫もおっしゃっていることですし。
というふうに、いろんなお茶をここあここあと飲みつつ(〈ここあここあ〉は品よく何かを飲むことを表すといいなという妄想でチョコレートのことではありません)、まめまめしく日々を過ごすわけですが、そういった生活に必要な実用的なものもいろいろとゆずっていただいたりするのです。今の仕事場ですと、冷蔵庫とか電子レンジとか仕事机とか本棚とか椅子とかあれとかこれとか。仕事を始めるにあたっての初期投資はいただきモノによってものすごく少なく済んだのでした。
もちろんいただいてばっかりではなくて、お金がないので同じような立派な贈り物はなかなかできないのですが、お住まいが近くの人には手作りのものであったり安くても自分のお気に入りのものであったりを差し上げて、遠くにお住まいの方はなかなかそういう機会もないので、こつこつと頑張っていることなどを示すなどして、いつかは何倍にもご恩をお返しできるといいなあと日々思いつつ生きている次第です。
ぺけぺけ(〈ぺけぺけ〉は当連載頻出の執筆擬音です)、しょこらしょこら、ここあここあ。
いつもありがとうございます。
(#33 2011/3)

Alz