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(21)~(25)

(21)『究極』

あるダンサーのアンさんのファイナルアンサーはダンナさんとのパートナー解消だった。
「これで私たちは究極のダンスパートナーになれるわね」
「アン、もう君の寝ごとも聞かなくて済む」
「そしてあなたの歯ぎしりも聞かなくて済む」
「ダンスを踊る君を愛すよ」
「ダンスを踊るあなたを愛すわ」



(22)『昼夜逆転劇』

日が昇り月が昇り僕の興奮は一気に急上昇。
細胞の隅々まで喜々として血液の早急な流れを歓迎する時。
僕の肉体はどの空間に存在しようとも魂は自由自在に駆け巡る。
何処までも転がる球を追いかけ、天には無数の星が昼夜を分かたず輝き続ける。
日も月も沈まぬ世界で僕の逆転劇は続く。



(23)『パンの行進』

「プ・プ・パ~ン!プ・プ・パ~ン!」
ママにブドウパンを買って来てと頼まれた坊やがオリジナルの行進曲に合わせパン屋に向かった。
「パンくださ~い」
「何のパンが欲しいのかな?」
「う~んと、ぜんぶください!」
「全部は無理だよ」
坊やは回れ右をすると行進して帰ってしまったとさ。



(24)『ダイエット』

昨夜徹夜で作った食パンの着ぐるみを試着してみた。
「うん、美味しそうだわ。耳がこんがりと焼き色に仕上がってる」
鏡に自分の姿を映し、ビンの底にこびり付いていたインスタントコーヒーに熱湯を注ぐよ、香を鼻から存分に吸い込んだ。
ジワジワと滲み出て来る汗。
「きっと痩せるわ」



(25)『雨音に狂う』

夜明け前に聞いた雨音。
時計の針が正午を回って同じシーンが甦る。
同じ音じゃないのに同じ音を聞いている感覚。
薄暗さも合わせて同じだと錯覚を起こす。
どんどんと時間軸がぶれて行く。
慌てて握りしめた軸がバキッと音を立てて折れた。
「もう夜なんだか朝なんだか分からないじゃないの!」


この本の内容は以上です。


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