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1

真夜中冒険譚
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 序



零と一が揺蕩う闇の中、白い衣を纏った女が、ひとり。
片手は胸の前へ突き出し、触れる数字より何かを感じているのか、時々笑っている。
「この世界に来てから、毎日が面白くてならんわい」


「お言葉ですが、オサキ様」
零と一を押しのけながら、女の周りを照らす柔らかい光が、ひとつ。
陽のような、柔らかい色の光から声が漏れる。
「この場所は、我らが在るべき場所とは違います故、お戯れも程々に…」
「タマはまだそのような事を言っておるのか」
呆れた声でオサキと呼ばれた女は息をつく。その小さな吐息で、くるりと身体が後転する。
「既に何十、何百と話した事じゃ。今は言い合う気もせんわ」
「ですが、オサキ様」
「うるさい」
きっと眼を吊り上げ光を見遣り、オサキは足元の零を蹴った。
身体は元の場所より遙か上へ飛翔し周囲の零と一は雫の落ちた水面のように波打つ。
零と一が揺蕩う闇の中、白い衣を纏った女が、ひとり。
片手は胸の前へ突き出し、触れる数字より何かを感じているのか、時々笑っている。
「この世界に来てから、毎日が面白くてならんわい」


「お言葉ですが、オサキ様」
零と一を押しのけながら、女の周りを照らす柔らかい光が、ひとつ。
陽のような、柔らかい色の光から声が漏れる。
「この場所は、我らが在るべき場所とは違います故、お戯れも程々に…」
「タマはまだそのような事を言っておるのか」
呆れた声でオサキと呼ばれた女は息をつく。その小さな吐息で、くるりと身体が後転する。
「既に何十、何百と話した事じゃ。今は言い合う気もせんわ」
「ですが、オサキ様」
「うるさい」
きっと眼を吊り上げ光を見遣り、オサキは足元の零を蹴った。
身体は元の場所より遙か上へ飛翔し周囲の零と一は雫の落ちた水面のように波打つ。

2

「お、お待ちくださいっ」
「タマの指図は受けぬ」
後をついてこようと、数字を避けながら光は上昇する。見下ろす女には露骨に嫌そうな表情が浮かんでいた。
が、不意に口の両端が上がる。


「説教もいい加減、聞き飽きた。それに、タマは此処の良さを全く分かっておらぬ。
 ……一度、私から離れ溺れて来ると良い」
「絶対に!絶対に嫌でございます!」
「指図は受けぬと言ったであろう」

先程とは打って変わった艶のある笑みで、光に対して手をかざす。
「オサキ様…っお止めくださ……」
最後まで言う間もない。女の手に触れた数字が震え、光に向かって飛んでいく。
光と数字が接触した瞬間、光は光でなくなり、数字も数字ではなくなる。

闇と数字が崩れていき石造りの建物へ変わる。、光の在った場所には少女が立ち尽くす。
「オサキ様!」
少女は焦りを隠そうともせず声を張り上げる。
しかし、応える者は居ない。

ここまで。

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以降は、キリが良いところまで書き上げたら公開予定です。
お付き合いくださり、ありがとうございました。
続きを公開した折には、よろしくおねがいします。

この本の内容は以上です。


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