目次
はじめに
はじめに
第1章 社会福祉法人の基礎知識
社会福祉法人とは、
社会福祉法人について
社会福祉法人を設立する
施設整備事業概略
人事と労務管理
決算と予算
社会福祉法人におけるイノベーション
ボランティアと共に
職員会議のあり方
時間と空間の解放
第2章 社会福祉法人のマネジメント論
使命・構想・目標のロードマップ
リーダー資質と成長
リーダーの選出
リーダーに求めるもの
ミッションとリーダーシップ
マーケティング戦略の重要性
プランニングのスタートライン
組織の構成要素
人事は唯一の管理手段
理事会の成すべきこと
卓越性の追求
第3章 児童養護施設考察
児童養護施設現状
保護と養育
子育てと目標
衣食住と生活感
親の役目の伝承
家族援助の実際
人間関係を学ぶ
遊びと対人関係
地域への所属意識
児童福祉のニーズ
第4章 児童養護施設で働くあなたへ
新任職員のあなたへ
主観は危険
ガイドラインの策定
人生のキーポイント
子どもの数だけ
様々な方法
真実はそこにある
施設内虐待の防止
暴力とは
情報開示と提供(QOL的視点を踏まえて)
与えつづける愛
幼児との信頼関係
ノーマライゼーション
後輩の育成
主役を支える名脇役
おわりに
おわりに
付録
児童支援の流れ
自立支援の終結
記録の書き方
保育士(ユニット制の場合)の在り方
ケースワーカーの働き
心理療法担当職員の役目
調理室と法律
調理室と栄養士
行動分析的手法
自己チェックリスト
奥付
奥付

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はじめに

 福祉現場を支えているのは「人」であり、その「人」を育んでいくのは「組織」となり、その組織の根本が社会福祉法人の「理念」と言える。
 「人」「組織」「理念」が点となり、点と点が繋がり線となる。その線が利用者へと繋がり、初めて適切な支援・サービスへと展開していくのである。
 しかし、点と点の間の線が切断されていたら…。それは、職員チームワークの崩壊へと繋がっていく危険性を秘めている。線が太ければ安定した柱となるが、線が細い場合や切断されていたら、築き上げてきたものが崩壊していくのである。
 築き上げてきたものとは何か。それは、歴史であり法人理念の継承であり蓄積された技術のノウハウであり社会福祉事業への志であろう。
 どんなに社会が変化しても時代が移ろおうと絶対的に変化しないのが法人理念である。
 理念を「使命」と置き換えることができるが、その成果が有益でなければ適切な利用者支援へと繋がっていかないのである。では、有益な成果とは如何なる事であろう。それは、職員一人一人の信念との同調である。その時、初めて理念の継承が大いなるパワーへと変換していき堅牢な柱が構築される。この様な現象を表現しているのが「一枚岩」である。
 その為には、まず、理事長・施設長を始めリーダーとなる職責の職員が、信念(心)を込めて理念を伝えることが重要となる。信念のない言葉は、相手に伝わらないばかりか、不信を招く恐れもある。しかし、信念によって構築された言葉は、理解や納得を引き起こし、それが、スムーズな違和感のない利用者支援へと繋がっていくのである。
 例えば会議に於いてディスカッションが成されているだろうか、司会者と報告者の発言で終始しているようでは「一枚岩」とは言えない。職員一人ひとりが利用者のために自信と責任を持って発言できる雰囲気が会議室を充たした時、信念の同調(共通理解)を体感し、より高度な利用者支援、業務遂行へと発展していくのである。
 福祉、全ての根本は「愛」である。従って業務全般の方向性の終着点も「愛」に尽きるのである。この「愛」は古今東西、共通した真理であり、私たちは、自信と責任を持って、愛の理念を継承していくことになる。
 第1章 社会福祉法人の基礎知識は、社会福祉法を要約しながら基礎を学べるようにしている。
 第2章 社会福祉法人のマネジメント論では、ドラッカー理論を基本にしながらも独自の解釈を加え極力平易な文章でマネジメントについて語っている。
 第3章 児童養護施設考察では、児童養護施設の課題点を浮き彫りにしている。
 第4章 児童養護施設で働くあなたへでは、表題通り、働く人への助言を載せている。
 児童養護施設には、様々な要因で環境上、養護を必要とする子どもたちが児童相談所を通して入所してくる。そして、ひとり一人の子どもたちの発達を見守り、心身共に健全な社会人の一人として生きていけるよう養育している。平成23年1月現在、全国579ヶ所に約3万人の子どもたちが生活している。また、約1万5000人の職員がその子どもたちの子育てを24時間365日担っている。
 児童養護施設の子どもたちは、普通の子どもたちである。家庭環境要因や、家族のご不幸で、たまたま、児童養護施設で生活している。この様な事は、日本全国の子どもたち、誰にでも起こりえることである。
 児童養護施設では、同年代同世代の子どもたちと、極力同じような生活環境を提供する。これを専門用語でノーマライゼーションと言うが、このノーマライゼーションの意味を常に考えて、子どもたちの養育を担っている。また、児童養護施設の職員は、可能な限り一般家庭の子どもたちと同じように子育てしようと努力している。
 児童養護施設の業務を進める上で、先に見えるものは、常に子どもたちの笑顔であり、子どもたちの笑顔が見いだせない業務であれば見直す必要がある。その様な信念で業務を進めていくことが重要である。
 われわれは、自分が如何に無知であるかを自覚すべきである。それが強みになるからである。無知だからこそ、素直に疑問が生じ、気づいていない優れた点や、欠点が浮き彫りにされていくのである。
 社会福祉事業の重要な課題の一つして人材育成が挙げられる。ニーズへの迅速かつ的確な対応を可能とする組織、雇用管理及び給与の適正化等、人材育成の推進が挙げられるが、職員との協調体制を構築し、業務改革及び人材育成プログラムを立ち上げていくことが重要である。
 毎日の業務の中で、知識や技能も構築されている。それら組織の中で育まれた能力を十二分に発揮している職員と、繰り返しの業務の中で、いつしか、惰性で業務を進めている職員も、中には存在している。本来は、全職員が組織の財産であり守るべき存在だが、視点を組織の保守に向けるか、利用者に向けるかで、自ずと方向性は、見えてくるのである。
 部署内における同僚間の連携、上司と部下の連携、他部署との情報共有及び連携が、効率的に機能しているか、見極めなければならない。
 部署毎に勤務時間を吟味し、勤務時間の柔軟な運用を行う。また、超過勤務の質を検証。業務での超過勤務か、技能不足での超過勤務かを見極める。超過勤務については、事業所経営にも負担を生じるが、職員が家庭で過ごす時間も減少する。職員の家庭も大切な場所であるとの認識を再確認する。
 業務を可視化する人事評価制度を導入することで職員の仕事に対する責任と成果を明確にしていく。自分たちの業務遂行状況を客観的視点で捉えることは、重要であり、そこから導き出される方向性を職員が模索していくプロセスが大切なのである。
 業務の無駄をなくし、組織の縦割りをやめ、マトリクス型組織など横断的な組織へと変革し、更に業務動線を数値化し、業務効率化に向けて見直すことで職員のやる気を引き出し、能力を発揮しやすい職場にする。
 机上や書類だなの整理により書類を探す時間の短縮を図る。書類を探す時間をコスト的に捉えると、浪費と言わざるを得ない。整理整頓によるコスト削減は、現実的な課題である。
 グループウェアの活用により、情報共有の効率化とスピード化を図る。如何に効率的に、全職員に情報伝達を行うか。そのアイテムとして、最適なのがグループウェアである。
 福祉QC(Quality Control)活動等の手法導入を検討し、職員自らが業務効率化に向けて考えていくシステムを構築する。
 業務を効率化していくことは、事務費のコスト削減に繋がり、それを事業費へと、活用していくことができる。
 組織の見直しとして、まず、人事院が施策として挙げている「人事評価制度」を実施する。それは、一人一人の職員を評価し、その能力に見合った人件費コストであるかを検証する必要があるからである。また、組織は、その各自の能力を最大限に引き出しているか否かも重要な検証項目となる。そこには、シビアな視点が求められ、人事制度の改革は、運用状況によって大きな痛みを伴う場合があるが、その痛みを職員たちと分かち合う覚悟が必要である。
 人材育成の効率的な方法の一つとして、中堅以上の職員を人材育成を担える管理職に育て上げることが挙げられる。新任職員は、業務の基礎知識をたたき込まれるために新任職員研修を受けるが、管理職は、理論詰め込みのOJT研修を受けている程度と言う場合が多々ある。各部署のリーダーを中心に、そのリーダー力を伸ばしていく研修を組み立てる。
 人材育成のその先にあるものは、利用者の笑顔。福祉とは、福祉を利用している利用者が、幸せになれば良いと言う狭い見識ではなく、利用者の家族、利用者を支える福祉従事者、つまりは、利用者を取り巻く全ての人が幸福を感じることが求められるのである。

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