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8/18/11

一向に円高が止まらないが、不思議なのは、日銀に円を防衛する意思が見られない点だ。

日本と並んで記録的な通貨高が進むスイスでは、利下げ+量的緩和に踏み切った。日銀でも量的緩和を行いはしたものの、その規模は「大海の一滴」にしか過ぎず、歯止めにさえなっていない。

通貨高の三大要因とは国家財政、金利、通貨供給量だと言われる。日本の財政は大赤字、金利はほぼゼロと、基本的には円安に触れるはずなのだが、通貨供給量が少なく、これが円高の要因になっている。

したがって諭吉をどんどん刷って(まあ本当には増刷するのではないが)、円の価値を薄めれば円安になるはずなのだが、日銀はなぜかこの量的緩和に及び腰なのだ。

理由としては
1)白川総裁をはじめ、日本の学界では量的緩和に対して批判的な人が多い。日本の経済学は実体経済を重視し、金融経済を「マネーゲーム」として嫌悪する傾向が強いが、その影響を日銀も受けている。

2)日銀の存在意義は「インフレ対策」なので、インフレにつながる量的緩和はしたくない。インフレになると金融機関が保有する債券なども目減りするので、殊更やりたくない。

3)所詮は官僚なので、正直、円高対策などどうでもいい。苦労して対策を講じたところで給料が増えるわけでもなし。。。

など、色々あるようだけど、どれが正解かな。全部か。

8/17/11

東京電力の伝記使用量のピークは90%前後と、どうにか節電で乗り越えられそうな勢いだ。これでまた電力会社の「原発なしには大停電」という説が覆された形で、反原発派は勢いづいているようだ。

原発が安全かどうかという議論については、既にケリがついたように見える。大地震の活動期に入ったとされる日本に原発を置くリスクもさることながら、ミサイルをぶちこまれでもしたら、という有事リスクも無視できない。日本のような災害・有事に脆弱な国では、一箇所に重要設備をまとめるより、網の目のように配電設備を張り巡らすスマートグリッドの方が好ましいだろう。

もっとも産業への影響については、議論は終わっていない。スマートグリッドが有望な技術だとしても、それが実現するまでには長い時間がかかる。それまでの日本の産業競争力は原発抜きにして維持できるのか。この点については同じ工業国でありながら原発廃止に舵を切ったドイツが引き合いにされるが、ドイツが周辺国から電力を輸入できるのに対し、それが不可能な日本では議論の立脚点が異なる。

結局、安全を選ぶのか、経済を選ぶのかは、日本国民が決めることだが、世論調査などを見ると反原発派の方が多いようだ。

ただ現段階では民主も自民も親原発で政治に受け皿がない。欧米では「緑の党」が反原発の市民運動の担い手となったが、日本では環境問題のみならず、全般に市民運動が低調で、それが政治の停滞をも招いている。実際、明白に反原発を打ち出している首相の支持率が低迷する、というのは欧米では考えにくい事態だ。

8/16/11

8月が来るたびに・・・NHK特集。今年も「どうしてあの戦争は避けられなかったのか」「戦争の拡大を避けられなかったのか」がテーマ。

70年も前のことを、いまだに総括できてない日本というのもノンキな国だなあ、と思う。最早そのノンキさは通じない国際事情になっているのだが・・・

日本の敗戦の根本理由は「文民統制」が破綻し、軍部の独走をコントロールできなかったこと。なぜそうなったかというと、民主主義が根付いてなかったからだが、民主主義が根付かなかったのは、明治の元勲らは民主的な英米より、君主独裁的なプロイセンを日本のモデルとしたから。

ではなぜ君主独裁を選んだかと言えば、それはやはり江戸幕府260年間にわたる将軍独裁が、明治人の底面にあったからだろう。

そして中世的な君主独裁が民主制に切り替わるには、日本だけでなくどの国もかなりの流血を経ている。そうしてみると、日本の敗戦というのは歴史的必然なように思えるが、細部を見ていくと、満州で手を引くとか、インドシナ出兵を手控えるとか、幾つものターニングポイントはあったのも事実である。

その辺りをことごとく踏み外したのは、一重に日本の指導部の戦略眼のなさだろう。日本陸海軍創設より半世紀以上を経て軍は官僚化し、思考が硬直化。対するアメリカは柔軟な発想、柔軟な運用を行い、やがて日本を圧倒する・・・・

詳細は戦争の世紀シリーズ、「戦争の世紀~近代日本~」および、「戦争の世紀~第二次世界大戦~」よりどうぞ!


8/15/11

先週末に「花言葉」と「鏡の国のアリス」を出版。

「鏡」のほうは、「不思議」を終えてすぐにかかろうと思ったものの、モチベーションが続かずにほったらかしに。「不思議」に比べると、駄洒落や論理パズルが多くてファンタジーっぽさに欠ける、というのも手が出なかった理由のひとつ。

アリスはヴィクトリア朝に書かれたものだが、当時の風習というのは結構、現在に影響を与えている。「花言葉」もその一つ。

日本だと短歌でメッセージをやりあうのが雅とされたが、当時は花でそれをやるのがエレガントとされた。その火付け役となったのがケイト・グリナウェイの「花言葉」。爆発的に売れて、海賊版まで横行したという。

スイカ・・「あなたはデブです」などという花言葉(?)まであって、訳してみるとおもしろい。本当はそれぞれの花の写真まで載せる予定だったけども、さすがに力尽き。

05/15/17 2020年・憲法改正

憲法の日に、アベ首相が2020年を目指して憲法改正を行うと述べたことから、各界で波紋が広がっている。

 

護憲派は元より、改憲派の間でも批判が少なくない。というのも首相の改憲案は自民党のものとは全く異なり、9条が温存されているからである。

 

これはいきなり9条が削除もしくは改変されてしまうと、国民に受け入れられない、との計算からだろう。また高校教育の無償化も改憲案には盛り込まれているが、これは本来法律で処理する問題であり、敢えて入れることによって、国民の批判を躱そうとの狙いも透けて見える。

 

このように反対意見が噴出しているところから、恐らく3年後の改憲は難しいと思われるが、もう少し長いスパンで見ると、改憲は実行される可能性は低くない。

 

というのは世論調査によれば、北朝鮮がミサイルをぶっ放した途端、一気に改憲派が増えたからである。そう、改憲したければ北朝鮮を刺激して、ミサイルなり核実験なりをさせれば良いのである。その度に日本では先制攻撃論や核武装論が高まり、その足かせになる憲法を改正しようという動きが活発化するわけである。

 

その動きは今や防波堤を越えつつある。

 

従ってもはや問題は改憲・護憲ではなく、「日本人はどのような憲法を選ぶか」になって来ている。実際、アメリカや中国、韓国など近隣諸国では、日本の再武装説が真しやかに囁かれている。

 

戦後70年間、日本がとってきた平和主義は何だったのか、と思われる方も多いかもしれないが、日本の平和主義など、誰もがまともに受け取っていなかった証でもある。

 

その背後には、日本は戦後、ドイツほどには戦争への徹底した謝罪と反省を行ってこなかったことや、タイムスパン観の違いがある。日本人は5年10年のスパンで世界を見るが、海外、特に中国や韓国では50年100年のスパンで見ているからである。彼らにとっては、まだ特攻隊や倭寇のイメージが抜けていないのだ。日本人が持っている「モンゴル=世界征服者」的な感覚に近いだろうか。

 

中国に北朝鮮に圧力を掛けさせるさい、トランプが習近平に「このまま北朝鮮が暴走すると、日本は核武装しますよ」、と「脅した」とも言われている。事実かどうかは不明だが、少なくともこの話が真実と受け取られるだけの、日本への不信感を米中は共有していると、多くの人が信じているとは言えるだろう。

 

そのような中で、日本が改憲、軍備増強に踏み込み、北朝鮮を先制攻撃した暁には、中国との軍拡競争が激化するのは間違いない。人口で勝てない日本は徴兵制を復活し、核武装に踏み切る。そして奇襲攻撃でイニシアチブを取ろうとして、第二次日中戦争を始める。

 

それを止めようにも、自民一党独裁が100年近く続いた日本では、与党を牽制できるだけの野党勢力が存在しない。戦況は秘密保護法で国民には知らされず、Noを言う人は共謀法で処罰される。やがて戦争は核戦争に発展。日中双方ともに3~4千万の死者が発生し、日本は消滅の危機を迎える・・・

 

妄想と思われるかもしれないが、核戦争の下りはアメリカ政府によるシミュレーションである。実際、戦前日本はほぼそのような自滅コースをたどったことも忘れてはならない。富国強兵を実現した日本は中国に攻め込み、アメリカから非難されると奇襲攻撃をかけて太平洋戦争を始め、核攻撃を受けて降伏した。改憲派の人々は、そのような可能性を直視すべきだろう。

 

     ☆

 

とは言え、自分も現状態がベストとは考えていない。日本を取り巻く情勢は年々金箔の度を増しているからである。自衛に限れば軍隊の保持を許すべきだろう、との意見も理解できる。

 

しかし、自民一党独裁の下、強権主義やヘイトクライムが増大しつつある日本においては、迂闊に憲法を改正すると、行きつくところー先制核戦争ーまで行ってしまう可能性が少なくない。

 

なぜなら、改憲派の人々に話を聞くと、大体は中国やコリアンへの蔑視とコンプレックスが強く、侵略されるという被害者意識や、思い知らせてやれという「懲罰意識」が見え隠れする人が多いからだ。簡単に言えば、森友学園のような人々だ。そのような人が憲法をいじって始める戦争の結末は、おして知るべきでろう。

 

そのようなカタストロフィを避けるためには、現行憲法下で防衛力を高めるのが現実的だ。よしんば憲法が改正されても、軽々に暴走しないような歯止めを幾重にも掛けるべきである。

 

50年後、「ここに日本という国がありました」と慰霊碑に刻まれないためにも。


この本の内容は以上です。


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