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03/29/17 マージナルオペレーションの欺瞞

「マージナルオペレーション。」芝村裕吏原作のラノベ、もしくは漫画である。

 

児童傭兵とその指揮官の活躍を描いたもので、ストーリーや戦闘シーンは面白いのだが、ひとつ、致命的な欠陥がある。「そんなに子どもに戦争やらせるのがイヤなら、さっさと傭兵やめろやw」

 

指揮官(主人公)は子どもを死地に追いやることを悩み続け、ある結論を出すのだが、それが「傭兵会社」を設立し、ストリートチルドレン(舞台はフィリピン)を雇用して戦争を引き受ける、というもの。

 

ここまで読んだとき、そこには呆気にとられた自分がいた。いやあ、子どもを本当に思うんだったら、そこは「傭兵をやめさせて、更生の道を歩ませる」一択だろう。まるで高校の先生が不良の学生を集めて、開き直って暴力団を結成するようなものだ。

 

一応、主人公は「自分には戦争以外才能がない」などと弁解するが、子どもを指揮して思い通りに動かす才能があるなら、児童合唱団なり雑技団なり、傭兵以外のビジネスに進出しても成功するだろう。要は「戦争が好きなだけなんじゃないの?」とさえ疑いたくなる。またこの点が影響して、全ての心理描写が薄っぺらくなっている。

 

まあそれだったらそれで、道徳心の欠如した人物を主人公にすればよい訳なのだし、実際、そうしたアンチヒーローものは少なくない(「羊たちの沈黙」とか)。しかしそうしなかったのは、恐らく、日本人主人公を「善人」にしたかったからなのだろう。本当は子どもが好きなんだけど、止むを得ない理由で傭兵ビジネスに従事する。日本人は、平気で子どもを傭兵にする毛唐どもとは違うんだぜ。そんな印象を植え付けたかったのだろう。

 

実際、作中では至る所で「日本人性善説」あるいは「外国人性悪説」が散りばめられている。日本政府は平和と秩序を重んじる温厚な女性として描かれているのに対し、多国籍企業の傭兵会社は子どもを使い捨てにする強面の男性として、中国はタイに侵略しようとしている軍事国家として描かれている。

 

もちろん自国や自国民を持ち上げるのはどの国でも多少はある傾向だが、それは自国を相対化する冷静なまなざしがないと、簡単に暴走する。実際、最近の日本社会では、中国、朝鮮半島は反日と、アメリカはすぐに武力に訴える野蛮人、ロシアはプーチンと周辺諸国を非難し、自国は「凛とした正義の国」という夢物語に耽るようになってきている。危ういことだ。

 

主人公は、色々悩んだ挙句、傭兵ビジネスを正当化するに至る。つまり、「ストリートチルドレンを救うことができる以上、傭兵は必要悪」というロジックだが、そのロジックを盾に、次々に子どもに殺人を犯させる。それは主人公が非難する、敵役の持つ正義(ビジネスの手段として子供を使う)と、どれほどの違いがあるのだろうか。

 

 


03/28/17 森友スキャンダルの本質

大阪の森友学園が大問題となっている。問題は未だ解明にはほど遠いが、大きく分けて

 

1.国有地の「0円」払下げ

2.甘すぎる学校認可

3.首相夫人、政治家の関与

4.思想教育

 

の3点に集約されてきた。

1.については、9億円の国有地が1億円に値下げされ、かつ敷地内に埋没していた産業廃棄物を処理するために1億円が支給されたことから、実質「0円」で森友側に渡ったことが判明。

 

当初は「ゴミ処理費分を値下げするのは当然」「陳情者の苦情を忖度して便宜を図るのは当たり前」と擁護してきた保守論客らもいたが、「たかがゴミ処理に9億もかかるはずがない」「陳情すれば値下げするのが当たり前なら、誰もが陳情に押し寄せる」と反論され、擁護の声はなりを潜めている。

 

2.また敷地内の産業廃棄物、自己資金の少なさ、入学希望者の少なさ、幼稚園での思想教育などなど、様々な問題があり、通常は小学校建設の認可が下りるはずもないのが、あっさり許可された不自然さを、身内の自民党議員からも批判されている。

 

役所と付き合いのある人なら誰でも分かると思うが、日本の役所は極めて形式的かつ事なかれ主義で、ハンコの押し方一つで却下する組織である。そのようなお堅い組織が、このような抜け穴だらけの学校を認可する。その背後には強い政治力が働いていることは、マトモな判断力をもつ人なら推測可能だろう。

 

3.従ってその背後に政治家や首相夫人の影響があったと考えられる。特に首相夫人は百万円の寄付を渡したとされ、幼稚園行事に参加するなど、密接なお付き合いをしていたことが明らかになっている。また籠池氏は維新も関与していたと暴露。維新は火消しに躍起になっているが、小学校は大阪に建設されており、大阪で最も強い権限をもつ維新が不関与だったとは考えづらい状況である。

 

一方、自民は「役人の勝手な忖度」として関与を否定する戦術を通しているが、9億円の値引きが発覚した場合、担当役人は良くて解雇、悪ければ収監であり、そこまでのリスクを冒してまで自ら忖度するとも考えづらい。やはり政治家再度の強力な働きかけがあったとみるのが自然だろう。

 

4.このように日本では1~3が盛んに報道、討論されているが、海外では、「問題の本質はそこにはなく、『思想教育』にある」と看破している報道が少なくない。

 

これについても保守畑から「宗教学校でも思想教育は行われているのだから、森友だけを批判するのはおかしい」「思想教育がダメなら道徳教育もダメなのか」という擁護論が噴出している。しかしそれは「糞も味噌も発音(と外観)が似ているから同じだ」、とする類の詭弁である。宗教教育や道徳教育と、森友教育は決定的な違いがある。

 

宗教学校や道徳教育で行われている「思想教育」は、平和と愛に満ちたな世界に向けて、子どもを導くのが目的である。もしそれが戦乱と憎悪に満ちた世界に向けての教育なら、それは「カルト教育」と呼ばれるだろう。そして幼稚園で行われている森友教育も、その「カルト教育」なのである。

 

森友幼稚園で行わている教育勅語、アベ応援は、「愛国教育への回帰」を示しており、在日コリアンや中国人へのヘイト言動は、鬼畜米英的な「排外主義への憧憬」を表現している。その行きつく先は、戦争と憎悪であることは、歴史が証明する通りである。

 

5.結局、森友問題の本質は何かと言えば、それは「政官民が一体となった、偏狭な愛国主義教育の試み」であろう。もし森友問題がこれほどの大事になっていなかったら、小学校は無事に開校し、そこで排他的でエキセントリックな愛国教育ななされたことだろう。

 

そしてそれをマスコミが批判したとしても、一旦開校してある以上、「子どもの教育の継続性を守る」などという口実をつけて、そのまま開校を続け、やがて中学、高校、大学が開校されるだろう。何、心配はご無用。その時になれば、国有地が実質「0円」で払い下げられるだろうし、審査基準も不思議と緩和されるからだ。

 

一旦前例が出来てしまえば、それがじわじわと公教育にも拡大されていく。そして気がづけば、日本の子どもたちは小学校で銃剣術を学ぶようになっている訳である。「考えすぎ」と嗤う向きもあるだろうが、銃剣術を必修化させようとしている参議院議員(佐藤正久氏)も実在しているのである。

 

その先にあるのは徴兵制、そして「自衛」という名の侵略戦争である。諸外国はその危険性に気づき、指摘しているが、日本社会は反応が鈍い。そこにこの国の危うさがある。

 


01/26/17 APAホテルの闇

アパホテルが客室に「南京虐殺はなかった」とするウヨ宣伝本を置いていることが、アメリカ人によってSNSに投稿され、世界的に批判を浴びている。

 

まあアパがウヨなのは業界では有名な話だし(極右の田母神氏の論文に賞を与えたのも、このホテルだ)、何を今更という感もあるが、海外の人からすれば、その辺の話は疎くて当然だろう。

 

早速、中国政府はアパを批判。中国の旅行会社、予約サイトからはアパが削除され、アメリカなどでも華人社会を中心にアパを排斥する動きが広まっている。これに対し、アパ側は言論の自由を盾に、頑なに宣伝本の撤去を拒否している。

 

このような動きについては、日本ではアパを支持・批判する2つの意見が見られる。支持者はさらに、

・南京虐殺がなかったのは事実だから支持するという意見と、

・事実かどうかは不明だが、中国が日本企業の経営に口出しするのはおこがましいという意見に分かれる。

 

一方、批判側には、

・南京虐殺があったのは事実だから、そのような本を置くのはおかしいという意見と、

・事実かどうかは不明だが、客を不愉快にさせる行為はおもてなしの精神に反するという意見がある。

 

それに対して、世界(中国・華人社会・欧米)では、

a. 南京虐殺はホロコーストに準じる歴史的事実であり、それを支持するホテルは人道にもとる。

b. そもそも多種多様な民族国民が利用するホテルは中立であるべきだ。

という意見がほとんどである。

 

日本でもかつてはaの意見が主流であったが、90年代より右傾化が進み、今では少数意見になっている。しかしそのような歴史観は世界と相いれず、東京オリンピックに向けて大炎上しかねない問題である。

 

bについても、日本では言及する声がほとんどないが、これも大きな問題である。なぜならホテルは準公共設備であり、特定の人の民族・国民が利用できないのは差別につながるからだ。

 

アパは中国は批判しても中国人客は受け付けるとしているが、実際にはアパに宿泊する中国人はほとんどいないだろう。

 

これはアメリカに「パアホテル」があり、「原爆投下は正しい行いであった」とする宣伝本が置かれているとしたら、そこに宿泊したがる日本人がいないのと同じである。あるいはこれをイスラム教批判本に置き換えて読み解いてもいいだろう。いずれも実質上の排斥行為になる。

 

そのようなホテルが東京オリンピック時に続出したとしたら、外国人は来日が困難になり、オリンピックは失敗に終わりかねない。この問題はそのような重大なインパクトを持つことを、日本は認識した方が良いだろう。


01/24/17 レトロ広告の世界(京屋洋服店)

fmyちゃんの昭和レトロなブログに掲載されている「京屋洋服店」のレトロ広告。

 

印刷のデザイン・色調からすると1940~50年代、

旧漢字が使われていることから1940~50年代(新旧切り替えは1949年開始)、

文字も向きが左から右に統一されていることから1947年~(読売・毎日・朝日新聞が現行表記に統一されたのは1946~47年)

取り扱い商品のオーバー、背広類が、庶民が気軽に買える品物となったのは、高度成長期以降のこと。1950年の冬背広は約7万円。現在の価格では20万ほどもする代物であった。「御一報次第係員参上」なわけである。50年代後半になると十数万円に下がり、已然高価なものの、5か月月賦を組むほどのものでなくなる。

これらを総合すると、この広告は1940年代末~50年代初頭と推測できる。

 

「寺町通松原下る東側」は現在も残る地名だが、洋服店は見当たらず、住宅地が連なっている。「京屋洋服店」は彦根市に存在するが、この広告の店との関連は不明だ。

 

扱い商品は21世紀現在でも見かけるもの。目新しいのは「トッパ」ぐらいか。

「トッパ」は「突破」ではなく、「topper(トッパー)」のこと。その名の通り、上に羽織る女性用のコートのことである。

 


01/24/17 トランプ狂騒曲

トランプ氏がアメリカ第45代大統領に就任した。

新大統領は「150万人が就任式に参加した」と豪語したが、多くのメディアは100万以下、甚だしくは20万しかいなかった、と報じている。

 

日本でも基地反対運動や安保デモで見られるように、参加人数を多く・少なく見せようという政治的駆け引きは盛んであるが、大統領自ら人数に言及するのは異例であり、氏の批判者への攻撃的な態度が垣間見える。

 

正確な人数は分からないが、オバマ氏の就任式と比べてみると、明らかに人数は少ない。実際、トランプ氏の支持率は4割前後と伝えられており、戦後最も不人気な大統領の一人とは言えそうだ。

 

参加者を詳細に見てみると、その多くが労働者階級の白人男性。普段は選挙に行かない、この集団の票をかき集めたことが、トランプ当選の原動力とされる。

 

就任前後の動きから、氏の経済・外交姿勢も次第に鮮明になってきた。

 

経済面から言えば、「保護主義」「公共投資」への傾斜が強い。すでにTPP、NAFTAからの離脱・再協議を表明し、今後は米国優位の二か国協議を進める模様である。また国境税の新設などが進められる予定でもある。これら一連の政策は議会の承認を得る必要があるが、議会も同じく共和党が握っているため、承認は得られる可能性が高い。

 

その結果、米国内に一定水準、輸出産業が戻ると政権は予測しているが、相手国も対抗措置を取るのは必至であるから、必ずしも米国の雇用が増加するとは言えない。むしろ長期的には世界経済は縮小均衡に向かい、アメリカ自身も痛手を受けるだろう。ラストベルトの雇用は戻るかもしれないが、サンベルトや両岸の雇用は減るだろうし、海外の安価な品物が入手できなくなれば、インフレは昂進するだろう。

 

また大規模なインフラ、軍事投資を行うとしているが、その財源は「タックスヘイブンに逃避している企業への課税」という不確実なものであり、大規模減税と相まって巨額の財政赤字が発生するだろう(実際、トランプ氏がお手本とするレーガン時代がそうであった)。

 

このようにトランポノミクスはアメリカに利するとは言い切れず、展望も描きにくく、アベノミクスのように有耶無耶になり、挫折する公算が大きい。

 

外交について言えば、氏の方針はぶれず、一貫している。即ち「親露反中」である。これは彼の支持基盤である白人男性労働者階級の「白人第一主義」と重なっている。彼らは中東ではイスラエル支持であり、アジアでは中国に批判的だが、トランプ氏の発言もそれをなぞっている。プーチンは白人だから受入れ、中国は非白人だから排斥するわけである。

 

(もっともロシアの大統領選挙への妨害工作が明るみに出ても、ロシア擁護を続ける氏の親露姿勢には度を超したものがあり、何か弱みを握られているような気がしないでもない。CNNはロシアでの氏の変態行為が当局に撮影され、ユスられているのだと報じている。真偽は不明だが、そう言われても不思議ではないほどのキャラではある)

 

氏が反中なのは、潜在的にアメリカの覇権を脅かしているのは、ロシアよりも中国というのが、この階級の共通認識だからである。その引き金となったのが、一つにはAIIB、もう一つは中国空母の太平洋進出だ。

 

前者はアメリカの経済・外交的覇権、後者は軍事的覇権を直接脅かすものであり、それに比べればロシアのクリミア併合やシリア介入は取る足らない行為と、トランプ政権は認識していると思われる。

 

一旦敵と認識すれば、昨日の敵とも手を結ぶ「プラグマティズム外交」は、アメリカのお家芸だ。日独に対抗するためには、「資本主義の敵」と罵ったソ連と手を結び、そのソ連と敵対するや、戦火を交えた日独中と同盟を組む。今回も中国という「敵」に向き合うための同盟工作の一環、というニュアンスが読み取れる。

 

実際、トランプ氏はこれまでアメリカ政権が維持してきた「一つの中国」という外交原則を「守る必要はない」と公言しており、台湾の蔡総統とも電話会談している。名指しで中国を「為替操作国」とも非難しており、米中関係が冷え込むのは避けられない模様だ。

 

対中包囲網を築くには、日本を味方につける必要がある。政治外交的意味合いだけでなく、沖縄などの日本の軍事拠点が利用できない、もしくは中国に渡れば、西太平洋におけるアメリカの軍事覇権は消滅するからだ。

 

その一方で、氏は「日本には貿易障壁がある」などと日本を批判しており、外交において経済的スタンスを優先する姿勢を見せている。これは軍事外交とは矛盾するものであり、政権内でも意見が統一されていない。

 



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