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沢蟹まけると意志の力

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「今から二百年前のことじゃ」
 村のはずれで老婆が叫んだ。一人として知る者のない齢によって擦れた声を欠けもしない歯並みの奥から迸らせ、目にも恐ろしげなざんばら髪を振り乱し、杖をも振り回すこの老婆の言葉によれば二百年前、身なりのよい若侍が村を訪れ、このように言ったのである。
「たっての頼みがあってこの村に参った。礼ははずむゆえなにとぞ聞き入れてもらいたい」
 その若侍は集まった村人に身分を明かし、将軍家に献上すべき重要な荷が人足どもの不手際によって川に落ちてしまった、最前まで引き上げの努力を繰り返していたが荷は重く人足どもに力はなく、どうにも手に負えそうにない、そこで力自慢の若い衆を十人ほど貸してもらえまいか、そのように言って深々と頭を下げるので村の者たちも断りようはなく、力自慢の一言に早々と腕をまくり出す者も一人や二人ではなかったことから頼みを聞き入れることにして、十人の若者を差し出した。若者たちは侍に率いられて川に赴き、そこで冷たい水に入るとひどくかさばる大きな荷を苦労して引き上げた。そして約束どおりに褒美を受け取り、やれうれしい、やれめでたい、さあ早速にも村に帰るかと腰を上げると侍がそれを押し止めてこのように言ったのである。
「苦労であった。さぞや疲れたことであろう、湯の用意をさせたのでゆっくり浸かってから帰るがよい」
 若者たちは侍のこの親切な申し出にたいそう喜び、案内されるとためらいもなく着ていたものを脱ぎ捨ててざんぶりと湯に浸かった。
「いや、こいつはいい湯じゃ」
 若者の一人が言うと、残りの者も次々にうなずき、
「いや、ほんにいい湯じゃ、まったくいい湯じゃ」
「じゃが」と老婆が言った。「これが無事では済まなんだ」
 それから老婆は臭い立つ野壷を指差し、このように叫んだのである。
「狸に化かされておったのじゃ」
 帰りが遅いのをいぶかった村の者たちが探しに来ると、十人の若者は野壷にひしめいて鼻歌を歌っていた。頬を叩かれて若者たちはあっと驚き、あわてて確かめると褒美にもらった金子は残らず木の葉に変わっていた。ついで川まで駆け戻ると川原には大きな木の切り株がごろりと横たわり、重い思いをして引き上げたのはさてはこれであったかと歯軋りをして悔しがった。
「なんの、昔話のもんかい」と老婆が歯を剥き出して叫んだ。
「あれはわしが尋常小学校に上がった頃のことじゃ」
 つまりこの老婆が尋常小学校に上がった頃、口ひげを生やした役人が一人、村にやってきたのである。この役人は村人を集めてこのように言った。
「村民各位に告ぐ。今現在、英国政府から派遣された使節団が日英両国の親善を目的に来日中であり、同使節団はこの目的をより成功裏に達成するため、本夕、当地に入ることとなっておる。これはこの村の若者十名と、力比べをするためである」
 役人の説明によればこの力比べは綱引きによっておこなわれ、英国使節団から選び出された十名が村の若者十名と競い合う。そこで村では腕に覚えのある若者十名を遅滞なく選び出し、村はずれの丘まで差し向けること。綱引きはこの丘を挟んでおこなわれ、相手側は丘の影となって隠されるので村の者が英国人たちを見ることはない。これは異人を見慣れぬ者たちが無用の不安を感じたりしないようにという、お国のありがたい取り計らいである。なお言うまでもなくこれは日英の親善を目的とするものであるから、あからさまに闘争心を燃やす必要などまったくないが、負ければこれまた言うまでもなく日本男児の恥となる。
 これは一大事だと村では早速十人の若者を選び出し、選び出された若者たちは暮れ方の陽の赤い光を浴びて尻をはしょり、勇躍丘へと駆け出した。そこに待ち構えていた役人がここじゃ、ここじゃと叫ぶので、近づいてみると一本の綱が丘の向こうまで延びている。なるほどこれかと指図も待たずに握り締めると役人も早、それ引けえと叫び、瞬く間に日英綱引き合戦が始まった。ところが英人どもはなかなかにしぶとく、それ引けやれ引けと頑張ってみても手応えがない。おのれとばかり力を込めて掌を擦り剥き、汗を流して湯気を立て、はらわたもねじ切るような勢いで一斉にぐいと引くと、これにはさすがに手応えがあった。綱がいきなり軽くなり、引かれるままにずるずると動いた。いや、これは引き倒しだとそろって万歳を三唱し、お国のためにまた三唱して残る力を使い果すと、どれもがその場に座り込んで足を投げ出し、息を求めて肩を揺すった。そこへ役人が現われてこのように言った。
「苦労であった。さぞや疲れたことであろう、湯の用意をさせたのでゆっくり浸かってから帰るがよい」
 若者たちは役人のこの親切な申し出にたいそう喜び、案内されるとためらいもなく着ていたものを脱ぎ捨ててざんぶりと湯に浸かった。
「いや、こいつはいい湯じゃ」
 若者の一人が言うと、残りの者も次々にうなずき、
「いや、ほんにいい湯じゃ、まったくいい湯じゃ」
「じゃが」と老婆が言った。「これが無事では済まなんだ」
 それから老婆は臭い立つ野壷を指差し、このように叫んだのである。
「狸に化かされておったのじゃ」
 帰りが遅いのをいぶかった村の者たちが探しに来ると、十人の若者は野壷にひしめいて鼻歌を歌っていた。頬を叩かれてあっと驚き、あわてて戻って丘に登ると向こう側には大きな木の切り株がごろりと横になっている。苦労して引き倒したのはさてはこれであったかと歯軋りをして悔しがった。
「なんの、やられっぱなしってことがあるかい」と老婆が叫んだ。
 つまり野壷に落とされた若者たちは怒り狂って復讐を誓い、隊伍を組むとふんぷんたる臭いをなお引きずりながら野を駆けめぐって砂を蹴り、川を渡って飛沫を散らし、ありとあらゆる場所に狸の姿を探し求めたのである。そしていくらの間もなくとある薮の奥深くから巣穴とおぼしきものを見つけ出した。
「それっ、燻し出しじゃ」
 若者の一人が叫ぶとたちまちのうちに柴が集められ、穴の前にうずたかく積まれて火が放たれた。扇げば煙は穴の奥へと吸い込まれ、殺気立つ若者たちは今かいまかと息を飲む。すると穴からは似たような年格好の若者が一人現われ、吹き上がる煙に目を瞬きながらこのように言った。
「いや、どうもここにはおらんようじゃ」
「ならばほかにおるはずじゃ、探せ探せ」
 一人の叫びに残りの者も思い切りよくいきり立ち、おのれとおのれと呪いの言葉を吐き散らしながら四つんばいとなって薮を掻き分け、耳を澄まして鼻を動かし、目を開いて探しまわるとまたしても怪しい穴が見つかった。今度こそ燻し出してくれようということで意見は一致し、再び柴を焚いて涙を流していると穴からはまた一人別の若者が現われ、このように言ったのである。
「いや、ここにもおらんようじゃ」
「ならばきっとほかにおるのじゃ、探せ探せ」
 それから若者たちは飽くなき復讐心に支えられて次から次へと不審な穴を探し出し、そのひとつひとつを順に燻すと煙の奥からは必ず若者が一人ずつ現われて探索の員数を増やしていった。そして一行が指折り数えてかれこれ二十人にもなろうかという頃、誰ともわからない一人が口を開いてこのように言ったのである。
「そろそろ陽も暮れてきた。どうやら狸は里帰りのようじゃ。仕返しはまた別の日にすることにして、湯にでも浸かってから帰るのはどうじゃろうか」
 疲れ果てた若者たちはどれもこの意見に賛成し、誰ともわからない一人に案内されるとためらいなく着ていたものを脱ぎ捨ててにざんぶりと湯に浸かった。
「いや、こいつはいい湯じゃ」
 若者の一人が言うと、残りの者も次々にうなずき、
「いや、ほんにいい湯じゃ、まったくいい湯じゃ」
「じゃが」と老婆が言った。「これが無事では済まなんだ」
 それから老婆は臭い立つ野壷を指差し、このように叫んだのである。
「狸に化かされておったのじゃ」
 帰りが遅いのをいぶかった村の者たちが探しに来ると、十人の若者は野壷にひしめいて鼻歌を歌っていた。頬を叩かれてあっと驚き、手に手に松明を灯して昼の間に探した穴を調べてみるとそのどれにも狸の糞が転がっている。さてはあいつら、どれも狸であったかと歯軋りをして悔しがった。
「これでしまいってことがあるかい」と老婆が叫んだ。
「あれは新田の大吉が満州に渡った頃のことじゃ」
 つまり新田の大吉が満州に渡った頃、腰からサーベルを下げた一人の陸軍大佐が村に現われ、村人を集めてこのように言ったのである。
「現在我が同胞は軍民を問わず、支那満州において防共挺身国体護持の精神によって苦闘を広げ、各所で進撃を続けておる。国共合作なにするものぞ、仮にも日本国民であるならば今次状況を報国の機会と捉えて粉骨砕身、一身を投げ出してお国のために尽くすべきである。いかなる例外も、あっては、ならない。本日本官がこの村にあるも、村民各位に忠烈であるを期待したからにほかならない。すなわち本官は与えられた権限によってこの村より十名の青年男子を徴用し、これを本官任務遂行の手足とするものである。村長はただちに十名の選出をおこない、本官の出立に際してこれを同行させること、以上、申し伝える」
 すると村長がおずおずと前に進み出てこのように言った。
「お話は承知致しましたが、ひとつだけおたずねしたいことがございます。その任務とやらでございますが、それが済みましたら、村の者は無事にお返しいただけるんでございましょうか」
「無事にとは何事か」と大佐が叫んだ。「支那満州においては立派な若者が腕と言わず脚と言わず、二本、三本と束にしてお国のために捧げておるのだ。いや腕や脚を捧げるのならば指の十本や二十本も当たり前、そればかりではない、頭も胴体もお国ために捧げておるのだ、中には腸を一尺二尺と端から切るようにして捧げる者もおるのだぞ。それを無事にとは」
 陸軍大佐が言葉半ばにしてぶるぶると震え始めると、村長はあわてて付け加えてこのように言った。
「いえ、そのようなことではございません。腕の二本や三本はどうでもよろしいのでございます。ただその任務が済みましたところで、よもや村の者に湯を勧められるのではないかと、そのように危惧しておりましたのでございます。なにしろ田舎のことでございまして、湯に浸かるなどと申しますと、もう皆恐ろしくていても立ってもいられないような次第でございます」
「このお国の一大事に」と大佐が声を絞り出した。「わざわざこの村までやってきて、なぜ貴様らを風呂に入れてやらねばならんのだ。薄汚いアカどもならばいざ知らず、仮にも帝国軍人がなぜそのようなことをする、貴様ら日本国民の自覚はあるのか」
 村長をはじめ村の者たちは大佐の罵声を浴びて平身低頭し、そうしながらも小声を交わしてどうやらこれは本物らしいとの結論に達した。そこで陸軍大佐に酒などを差し上げている間に十名の若者が選び出され、この者たちは大佐の命令によって全員が目隠しを施された。大佐は密命を帯びており、その密命は軍事機密に関わるものだからというのがその説明である。そして目隠しをされた十人の若者は大佐の号令一下、村を出発した。一列縦隊で足並みをそろえ、先頭の者は歩調を整える大佐の声を頼りに道をたどり、続く者は後の者が前の者の肩に手を乗せてひと繋がりとなり、そうしてしばらく進むと大佐が全隊止まれと命令を発した。さらに大佐は右向け右と命令し、若者たちがそのようにすると鼻孔の奥を探るまでもなく異様な臭気が顔を覆った。
 ここで老婆は臭い立つ野壷を指差し、このように叫んだのである。
「狸に化かされておったのじゃ」
 老婆の話によれば、陸軍大佐は一列に並んだ若者たちをお国のためじゃ、お国のためじゃと言いながら片端から野壷に突き落としたのである。壮烈な若者たちは忠勇無双であらんとしてただひたすらに奮励し、この困難を耐え忍んだ。しかしながらしみる目をどうにか開き、遁走する大佐の尻に揺れる尻尾を認めると国を思う気持ちも怒りに消えて、おのれおのれと歯軋りをして悔しがった。
「そればかりか、狐もおったのじゃ」と老婆が叫んだ。
 その話すところによれば一帯には狐が出没することもあって、夜間に松明を持って走り回ると人家に火を放ったという。燃え上がる家を背にしてこだまする狐の声はなによりも恐ろしく、老婆の記憶によれば、それは次のようであった。
「燃えろ燃えろ、あはははははははははは」
 さて老婆がこのように欠けもしない歯並みの奥から言葉も泡も飛ばして村の歴史を綴っていると、その傍らには森の下生えを踏み分けて鳥打ち帽の男が現われ、腰の手拭いで顔の汗を拭うと左右をゆっくりと見回した。そして大きくうなずくと両手を腰に当てて高々と笑い、それからこのように言ったのである。
「どうやら見たところ、この土地は俺の目論見に相応しいようだ。四方は山に囲まれて外に通じる道は少なく、その細い道を通って村を訪れる者はなお少ない。まわりの山はほとんど手つかずのまま残されていて、山菜採りの老人が登ることを除けばただわずかばかりの狐狸を育むばかり、ハイキングコースはもちろんのこと国定野鳥観察の森も見当らない。村はと言えば人口は少なく、おそらく三百九十九人を越えることはなく、無謀な野心を抱く者はすでにこの土地を後にした。残った住民はみなおとなしく、しかもどれものんびりとして、ゴルフ場や下請け部品工場、あるいはスペイン村を作ろうなどとはかけらほどにも考えない。しかしそれでも向上しようという気持ちはどこかにあって、このままではいけない、なんとか村を興さなければとなんとなく考えている。それならば早速にもこの俺が村を興してやることにしよう。まずあたりの土地を一反残らず買い占め、森も田畑も潰して宅地にすることにしよう。またあそこに見えるあの山々も、残らず切り崩して見晴らしのよい高台に変えることにしよう。舗装された立派な道も必要だ、家を買いにやって来た連中が足を挫いたり靴を汚して悪印象を抱いたりしないように。そうだ、道には水銀灯を並べることにしよう、真新しく、冷たい光を放つあの街灯を。銀行も必要だろう、融資の窓口ははっきりと目に見えた方がいいだろうからな。幼稚園、学校、滑り台を置いた児童公園、それにささやかな商店街も必要だ、美容院に洋食屋、蕎麦屋に寿司屋、雑誌ばかりの小さな本屋に形ばかりの喫茶店、瀟洒な店を並べて三十秒で通り抜けられるような。連中が気にするのはまずその辺に違いない。そしてなによりもまず鉄道が必要だ。東京近郊の住宅地という以上は、都心とこことを結ぶ鉄道がなければどうしようもない。俺はここまで鉄道を敷くことにしよう。それに上水道も必要だ、誰だって水くらいは飲むだろうからな。だが下水のことは、いずれまたそのうちに考えるとしよう。なに、そんなことにまで気のつく奴が、こんなところで家など買おうとするものか。いや、我ながらに素晴らしい計画だ。自然破壊だなんだと非難したがるやつもきっといるが、なに、この国の人間にとって必要なものは自然ではない、自然を削って作った紙の町だ。需要があるのだから供給してやろうというわけだ。いやしかし、それにしても急がねば。商売敵もきっとこの土地を狙っているに違いない。そこで俺はこの計画を慎重を極めて極秘に進め、誰かが気づいた時にはもうすっかり住宅地ができあがっている、そのようにしなければならないだろう。町の建設は決して簡単ではないし、こちらの予算も潤沢ではない。その上に急ぐというのは困難の上に困難を重ねるようなものだが、しかしやらなければならないのだ。そしてやり遂げるためにはまず始めなければならないのだ。できる、必ずできる、そう思わなければなにもできない、そうだ、この俺が、この手で日本の未来を築くのだ」
 ここで男は再び哄笑を放ち、それから傍らに立つ老婆に気づいてこのように言った。
「なんということだ、どうやら計画を聞かれてしまったようだ。婆さん、計画を聞かれた以上は気の毒だが死んでもらうぞ」
 そして首を傾げてあたりを見回し、野壷を目に止めるとこのように言った。
「あれがよかろう、あの中に叩き込んでやることしよう。気がつかなければ気にもしないで済んでいたが、一度気がつけば死にそうな臭いだ、いやこれはたまらん。ここに落ちれば確実に死ぬに違いない」
 言うや否や男は身を屈めて小柄な老婆を鷲掴みにし、老婆は抗いながら叫んでこのように言った。
「やはりか、狸めが」
 しかし男は耳を貸さずに思いついた計画を先に進め、婆あ死にやがれと叫んで老婆を野壷に叩き込んだ。もがく老婆を見下ろして男は非情にせせら笑い、こらえきれずに三度目の哄笑を放つと長靴の底で埃を蹴立てて森の中へと走り去った。一方、老婆はやっとの思いで這い上がり、うずくまると咳き込みながら顔を拭い、涙を流して節々の痛みを訴えた。そこへ二匹の沢蟹が現われ、このように言った。
「お婆さん、お婆さん、大丈夫ですか。なんという悪い狸でしょう。わたしたちは物陰から一部始終を見ていました。あのような狸を放っておくわけにはまいりません。わたしたちが退治致しましょう」
 義憤に燃え立つ二匹の沢蟹は男の足跡を追って森に分け入り、はさみを動かし目を動かし、復讐の相手を求めてせわしく足を動かした。巨木を回り、根を乗り越えて昼なお暗い森をひた走り、怪しい足音を聞いて目玉を傾け、とある薮へと身をくぐらせた。並んで藪から抜け出るとすぐ眼の前には男が一人、こちらに背を向けて立っている。見上げればその頭に目印の鳥打ち帽はなく、代わりにあるのは野球帽か。沢蟹の一方が男に向かってこのように言った。
「失礼ですが、このあたりで鳥打ち帽の男を見かけませんでしたか」
 男はさっと振り返ってにんまりと笑い、白い歯並みを見せたかと思うと驚く間もない早業で頭の帽子を取り替えた。そしてこのように言ったのである。
「俺だ」
 罠にかかった沢蟹は舌打ちをして下がろうとするが、これは川原で暮らす小動物であってそもそも人間の敵ではない。無情の足によってものの見事に踏み潰された。男は蟹の骸をその足によって踏み躙り、腰に手を当てて四度目の哄笑を放った。それから身を翻して森の奥へと分け入った。木立が途切れて草の蒸す空き地が現われ、そこでは十台のブルドーザーが鋼鉄の顎をきらめかせて男の合図を待ち受けていた。進めと叫ぶ男の合図で天をにらむ十本の排気筒から黒煙が上がり、機械の音が森を震わせ、鳥は絶叫を残して森から逃れた。ブルドーザーが前へと進んで土を盛り上げ、立ち並ぶ木々を押し倒し、薮を覆して木の葉を散らした。
 森は切り開かれてまず道となり、ついで平坦な野となった。
 道は堀り起こされて管を敷かれ、塞がれてまた道となった。
 田畑もまた掘り起こされて区画に分かたれ、ついで分譲住宅地となった。
 家々は壊されて店となり、店は並んで商店街となった。
 鉄道が敷かれた。
 駅が生まれた。
 村は町となり、銀行が看板を出して営業を始めた。
 しかしながら野壷はただ蓋を与えられ、そのまま残された。下水施設がなかったためである。
 公園ができた。
 水銀灯が並んだ。
 家が建った。
 また家が建った。
 その隣にも家が建った。
 ああ、堂々の邸宅街。
 東京近郊の誕生である。



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