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訛り

「おめえ、どこのもんだぁ? 聞かない訛りだべ」「遠いとこから来たっちゃ!」「おらこの訛り知ってる。ちなみに恋人のことは何て呼ぶけ?」「ダーリンだっちゃv」「ほら間違いねーべ!」「ちげぇ、おめーの想像はちげ! 二次元は実体化しねえ!」「下着はトラ柄だべ!」ビリビリッ「スタンガン…ガク」

生前葬

黒服の群れの前で喪主が台に上る。「皆様、わたくしの葬儀にご参列頂き、有難うございます」「なんだ、今流行の生前葬か」「生前葬ではございません」梁に通した縄がスルスルと降りてくる。「ではさようなら」手際のいい介添人が故人を棺桶に収める。「皆様、ご焼香をお願いします」

幻肢痛

切り落としたはずの頭の幻視痛が収まらない。そもそも幻視痛を感じているはずの頭はもうないのだから、幻視痛自体が幻覚に違いない。切り落としたはずの頭の幻視痛という幻覚に悩まされている自分は頭を持っている道理だ。そう、痛みから逃れる方法は一つ。頭を切り落とすしかない。

パクリ論争

現実「いい加減お前ら俺のことパクるのやめろ」恋愛もの「現実が甘くないのが悪い」歴史もの「失敬な史実よりリアルだ」ミステリ「現実の殺人犯はトリックより山に埋める」FT「物理法則が違うのでパクリではない」SF「未来のことだから、むしろお前がパクリ」

やってくる

レンガ造りの家々が並ぶ通りをバタバタと雨戸の閉ざす音が通りぬけ、木立の梢から追い立てられるように鳥たちが飛び立つ。残された枯葉はただはらはらと舞い落ち、地面をさらう風が吹き溜まりへと誘う。コートをかき合わせた人々は、足音だけを残して足早に去る。冬がやってくる。

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