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空と大地の間を這う群青色の蛇を、ある男が地の果てに赴いて殺したという。境界を縛りあげていた蛇が死に、境を失った世界が果てしなく引き伸ばされていく。雲が流れ落ち、続いて青が抜けていくと、ただただ黒い虚空だけが残った。次の朝の訪れと共に、大地は焼き尽くされるだろう。

尻尾

「タツヤ! 人前で尻尾を両足の間に挟む癖やめなさい。みっともない。手でいじるのもダメよ。ちずる、歩くときは尻尾をあげて軽く左右に振るように、そう、引きずらないで! ジュンイチ、知らない人に尻尾振っちゃいけないって何度言ったらわかるの、もう!」

ラプンツェル1

ラプンツェル、ラプンツェル、お前の髪をさげとくれ。と呼びかけると、塔の窓からそれぞれ五本のおさげが降ってきた。金茶赤黒白の髪――顔は見えない。金髪が一般的だが、トラップかも。とりあえず、キューティクルの傷んでいないのにしよう、途中で切れたら嫌だしと男は思った

ラプンツェル2

ラプンツェル、ラプンツェル、お前の髪をさげとくれ。するすると降りてきた髪に掴まり、塔の壁面を登り始める。窓まであと二頭身ほどに迫ったとき、窓から鬼の形相で顔を突き出す女に気づいた。この世のものと思えない悲鳴とともに女が窓から飛び出し、二人は地面に叩きつけられた。

ラプンツェル3

ラプンツェル、ラプンツェル、お前の髪をさげとくれ。若い男の呼び声に、喜びいさんで髪の根本に近い方をベッドの支柱に縛り付け、その先を窓から投げ下ろす。だが、待てど暮らせど誰も登って来ない。手繰り寄せてみると髪の先2mばかりがばっさりと切り取られ持ち去られていた。

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