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赤い実

悪気はなかったわ。ただお婆さんの庭のルビーの木の実があまりに美味しそうだから、ひとつ取って食べただけなの。なのに毒を塗るなんて酷いわ、ねえお母さん? お婆さんはわたしが悪いというの。お前が若くて美しいから。お前の頬があまりに赤く瑞々しいから。毒を塗ったというの。

この部屋に窓は一つしかない。それも目がやっと見える程度の細長い覗き穴だ。外では家を持たない者たちが、暑さと寒さに曝されながら助け合う様子が見える。向かいには大きな窓越しに涙を流す者がおり、かと思えば小さな窓から手だけを出して石を投げる者もいる。扉は見当たらない。

叔母さん

叔母さんはいつも麦藁帽にTシャツショーパンで帰ってくる。僕は小学生みたいだとバカにしていたけど、或る年真っ白なワンピースでお見合いをした。結果は散々。お膳立てした両親とも喧嘩別れ。綺麗な足を隠したからだと教えるために、今年の夏は貯めたお金で僕が訪ねるつもりだ。

ツイッター崩壊

ツイッターが崩壊して一年、彼は未だネットの海で砕け散ったログの破片を拾い集めている。最早誰のものともしれない呟きを繋ぎあわせ、気の遠くなるような作業の果てに、彼女のTLを再構成できると。再構成しツイートする彼のTLにはいつしかファンが付き、彼は彼女になった。

墓穴

「何をしているんだい」「墓を掘っているのさ」「何の?」「地球の」「はは、馬鹿だな、そんなの無理だろ」嘲笑を無視して、掘って掘って掘って掘って掘って掘って掘って掘って掘って掘って掘って掘って掘って掘って掘って掘って掘り続けると、やがて地球は墓穴の土の底に埋まった。

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