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生け贄

石を食べる男がいた。男は皿一杯の石を頬張りながら、明日竜の生け贄にされるのだと言う。なるほど腹痛を起こさせるつもりか、と問うと男は首を振った。これは実験なのだ。どれくらい食えば死ぬのかの。生け贄は大岩に三人ばかりが縛り付けられ、石ごと丸のみにされた。死ぬ前の男曰く、実験の結果、後十年かかるということだった。

湖の女神

湖の女神が問う。あなたが落としたのはどちらの息子? 次の日居間にはキレイな息子がいた。夜には妻も湖に突き落とした。キレイな家族に囲まれ私は満足した。だが次に目が覚めると、私は水中にいた。見慣れた顔の家族が微笑んでいる。ここの生活も悪くない。少し湿気っぽいけどな。

真名

「貴様の真名は調べがついている。いかに強大な魔法使いといえども、真名を知られては手出しできまい」「ほう…」「お前の真名は、チチンポイポイグラマラサイダー――」「遅ぉい!」ズガ!! 「物理攻撃、とか……ガク」

宝珠

村に祀られた大事な宝珠を、ある日子供が砂利石に混ぜて無くしてしまった。そんなはずはない、一番美しい石だと大人たちは探した。見つからずに困っていると、誰かがこれだと言って台座に乗せた。以後こんなことがないよう覆いをし石造りの室に封じた。そして変わらず祈りを捧げた。

朝露に沈む街

朝靄に沈む街の景色を、僕はどこかでみたことがあると思う。例えば、山頂の雲間から覗く空中庭園。例えば、住んだ湖面の水底に沈む朽ちた神殿。そこでは亡霊たちが彷徨い歩き、寒々とした目で僕を見つめる。そこでは視線が欠けているという点で、この場所に似ている。

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