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灰色の空の下、車窓から白い物質で覆われた凸凹の建造物が見える。「あれは?」「しばらく使われないから、封をされているのさ。街は放って置くとすぐ風化するから」どんな街だろう。「あそこに人はいるの」「ああ」連れは事もなげに答えた。「私が生きている間に封が解かれるかな」

節電

「地上の光が消えてくよ。こんな暗い夜は久しぶり」「光るためのエネルギーが足りないんだって。節電というらしいよ」「ぼくたちも節電した方がいいかな?」「私はソーラー発電だからいいんだよ」「ぼくは核融合発電でいずれ超新星爆発するけど安全対策すべきかな?」「無理だろ」

ロボットの心

心の代わりにロボットの胸に楽器を組み込んだ。単調なリズムがたどたどしいメロディを刻み始め、徐々に深みを増す旋律に人々は耳を澄ました。決して美しい音楽ではない。それがなんだというのか? だが、プロのヴァイオリン奏者の演奏を聞いて以来、ロボットは奏でるのをやめた。

クラッシュ

人がクラッシュする瞬間は衝撃的だ。脳がショートして、煙が出てぶっ倒れる。昔の人間(本当のという意味の)は壊れたまま動いて災いを起こしたから、派手に壊れる回路をわざわざ付け足したらしい。とはいえ、そんなレトロな死に方は嫌だから、解除コードをダウンロードするけどね。

光のヴェール

金色の光のヴェールに包まれて、気づいたらベッドにいたわ。外からわかるような傷は何もなかった。でも、わかるの。あの瞬間、輪切りにされたわたしが、光になって遠くの星に運ばれたのを。わたしは銀色の船の中を無重力で漂いながら、銀河の中心に引き寄せられるのを感じているの。

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