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テーブルの向かいから見た君は、いつも愛らしく僕に微笑みかける。マンションの二階から見送る君の姿は美しくて、雑踏の中歩む君はすでに遠い人だった。飛行機から見下ろした君は都市の中の豆粒のような人にすぎず、宇宙から見た君はいるかいないのかわからない何かでしかなかった。

駅前のカフェ

見ろ、駅前のあの男。彼はああして可哀想な娘に手を差し伸べるのを待っているのさ。下心とか詐欺とかじゃなく、それが自分の役割と本気で信じている。そして毎日違う男が役割を果たしに来る。え、俺たちの役割だと? すると男たちはそそくさと自分のカップを手にカフェを後にした。

人魚

水中を漂う女は、わたしが溜め息をつくたび、肺に水を吸い込んで水底に沈むんだって。だからわたしは、なるべく浅く息をする。けれども女は、わたしが笑うと膨れ上がって水面に浮き上がり、網にかかって陸に打ち上げられるんだって。だからわたしは、水中を密かに泳ぐように生きる。

傍観罪

傍観罪が適用されてから誰もが人助けに躍起になったが、助けられたくない人間もいて自殺が急増した。私はやめろの大合唱を振り切って屋上から飛び降りた。何の非難も受けずに死ぬ方法が人を助けて死ぬ事だとは。潰れた二三人の上でヨロヨロと立ち上がり、また私は誰かを殺しに行く。

宝石

外科手術で身体に隠された宝石を求めて、一族郎党幼妻友人他人は骨と皮だけになった老人に群がり、疑心暗鬼と牽制の末、目出度く老人は寿命を全うした。遺言に従い弁護士は書類上存在しない宝石の相続に、公平なる籤を用意した。「では一切れずつお食べください」特大のミートパイ。

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