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コラム3

 作家の林真理子さんが、ある対談本の中で、
「どうして紫式部は『空蝉の君』との話を最初に持ってきたのだろう」
 という趣旨のことをおっしゃっていました。

 今から物語が始まるという最初のエピソードで、普通なら主人公のいいところを見せるところが、なぜこんな「最低な」話を選んだのか、と(笑)

 私も全く同感です。
 はっきり言って、「帚木」や「空蝉」での源氏は、最低です(笑)。

 源氏を好きになれない人は、まずここでつまづくんじゃないでしょうか。

 感情移入できない人も多いでしょう。

 男から見ても、平気で嘘をつきまくって女を手に入れてしまう源氏に、共感できる人の方が少ないでしょう。

 後々もお話ししますが、作者である紫式部自身が、源氏のことを決して「最高の男」とは思ってなかったんじゃないか、と私自身は勘ぐったりしています。 

「かっこいい男」であり「女にもてる男」であったとしても、その性格ははっきり言って悪い面が見えすぎる(笑)

 そして、そんな源氏に、でも女性たちは惹かれてしまう。

 そういうのを書きたかったんじゃないでしょうか。

 男ってのは、こんなものなんだ、と。

 そして、そんな源氏の中に「誰にも真似できない優しさ」や「一途さ」を見え隠れさせることで、ただの「やなやつ」だけでは終わらせず、女性たちにも、

「しょうがないかなぁ」

 って思わせてくれるような。

 そして、そんな源氏に惹かれてしまう女ってのも、そんなもんなんだ、と。

 そういう点でも源氏物語は、非常に面白いと思うんです。


この本の内容は以上です。


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