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INDEX ver table 20150127

CONTENTS
1.プロローグ
2.火星事件
3.乗艦
4.護衛艦の帰途
5.(制作中)
 
 ※以下は、物語と直接関係内部分も含まれており、作者の備忘録なのでさらっと流してくださいw
 
作者は、この物語で、21世紀以降の未来を読み解こうとして妄想してます。もしもパラレルワールドが存在するとしたなら、無数にある未来紐の1本をつなぐヒントになる可能性があるかもしれません。また、物語を語る上で、地球と月の存在理由が偶然なのか必然なのか?実は、次元や時空を超えて、人の運命と存在意義にかかわる、ある意思により存在しているのか?などの疑問も同時に語りかけて行きたいのですが、どうも性格的にあまりド真剣には表現したくないので、書いていることは、まるで日常の風景ばかりです。そのつもりで、肩の力を抜きながら読めるものにしたいと思ってますw
 
【世界観と歴史観】 
 21世紀中ごろに第三次世界大戦がアジアから勃発。22世紀初頭 スペイン・バルセロナに国際連合の発展系として地球政府を設立。主に地球以外の宇宙の利権に関わる、調整を行なっていたが、月の資源獲得のための利害関係で争いが絶えなかった。ただ北米・カナダ・北欧・グリーンランド(総称:E領)などが第三種異星人(見かけは人類とほとんど変わらないが背が総じて低いため、リトルグレイとかアルファなどと呼ばれている。)によりほぼ植民地状態にさせられたために、主に6つのブロックにわかれて、地球上の国々は、かろうじて共有と統政されている世界。
 
①イスラビ合衆国:IUS
南米・ヨーロッパ連合(EUSA)とグレートブリテン連邦(GB)が戦争状態になり、財政難のため、GBとEUSAが荒廃した旧カナダをIUSに売却した。ほぼ世界のエネルギーと金融のほか富の要となる軌道エレベータをコントロールしており、国家財政がもっとも豊かな国。
 
②南米・ヨーロッパ連合:EUSA 元ヨーロッパ連合が元になり南アメリカの諸国群も併合。共和国政治。地球政府があるバルセロナは、ここに直接所属されるが、バルセロナだけは永世中立都市となる。この時代、一般には、地球政府のことを「バルセロナ政府」や「バルセロナ」と称する。また、南極は、世界政府管理の国土となる。
 
③グレートブリテン連邦:GBC
イギリス連邦が発展し、オーストラリア・ニュージーランドをほぼ完全な連邦国家になった。 第4次月面紛争で、敗退しフォークランドは南米ヨーロッパ連合に併合された。 英王室は健在だったにもかかわらず、復古主義的な政治を抑え、立憲君主政治を行なって急成長を遂げている。ただし、スコットランド、アイルランドはイギリス連邦から分離独立しEUSAに所属してしまう。よって首都はロンドンではなくシドニーに遷都している。それもあってか復古主義的な旧勢力や、階級制度が弱体化ことはいうまでもない。それにより旧貴族の大半は、ロシア皇国に亡命してしまった。
 
④ロシア皇国連邦:RE
皇帝貴族主義の復古により新しい解釈のロシア正教会を中心とした。また中国の長江を国境に連邦国として併合することに成功した新国家。 EUSAとGBとIUSと仲が悪い。新貴族主義を唱え、人心をまとめている。人口は多いが経済力が乏しいため、旧エネルギーに固執している地域もまだ多い。しかし第六世代の第六感的な研究はもっとも進んでおり、超能力人口ももっとも多いといわれているがまだ定かではない。
 
⑤日本:JPN
2800年以上独立を保つ、男子神官を長とした、世界でもっとも特殊な完全中立国。 歴史・民族学的にもIUSとの深い関係が示唆されているが、証明がされたわけではないなぞの国家。経済的にも軍事的にもIUSの庇護のもとで成り立っているため、「二級イウス」と揶揄されてもいる。この時代、世界の中で、資本主義経済手法の政治経済の運用限界が原因で最貧国ではあるが、IUSからの財政的援助は一度も受けていない。なぜならば、火山列島であるがゆえに地熱発電の発達もあって、そのテクノロジーを各国に輸出することで、自給自足と国際貢献を図っていることが大きい。また新平和秩序憲法の設立もあり、宇宙軍をも独自に運営することになったのが原因で、経済的に逼迫し、最貧国になったとも言える。(当時、軍隊は、軌道エレベータを守備管理する世界政府と自治国が各自衛のために軍を所有していたが、すべての軍の大半は、「地球軍」か「宇宙軍」に所属していた。)
 
⑥ASEAN連邦 東南アジアを中心とした、連邦国家。日本ともっとも国交があり信頼関係が厚い。東南アジアであるが、日本信仰がつよく、「ジングウ教」ともいわれているが、厳密には関係はない。日本も布教活動は行っていない。ただし、ネットの世界で、「ジンギ」と呼ばれる活動が行われ、世界各地に平和的コミュニティが存在している。
 
以上6つのグループのほかに「新インド帝国」「北アラブ王国」などが存在するが、国家として統一はされておらず、エネルギー革命もあって、混乱期間が永かったこともあったがために政治システムが復古主義的になっているところもいくつかあることをあらかじめ踏まえておきたい。
 

プロローグ

 この時代、今世紀始まって以来の宇宙大航海世紀と言っても過言ではありません。それは、人類が新たな苦難を経験する言わば「人の業」のなせるワザなのかもしれないですが、それを自ら変革させることができないまま、いくつかの異性人とも遭遇を果たし、それぞれが地球人にそっくりな人型知的生命体であることに不思議感を覚えながらも友好的に交易を行なう時期が永く続きました。
 
 しかし、ある異星人との遭遇で爆発的に放射能汚染された地球は、先の大戦の教訓から、地球環境復旧と太陽系内の惑星を中心とした宇宙の植民地建設でテラフォーミングを急いでいました。
 
 また友好的な異性人からもたらされた、新エネルギーの「/T(スラッシュティー)」 により、今まで不可能とされた重力をコントロールし、光を越えるスピードの宇宙船製造を可能にしたことで、一気に改善されるかにもみえました。
 実験段階の一時期は、この/Tエネルギーにより人類の新たな基幹エネルギーとして、急速にある部分では、復興に向かっていたのです。
 しかしこのエネルギーは、宇宙で用いると人類に思わぬリスクがありました。
 それは、/Tエネルギーを多用すると、第六世代人の生命力が、急に衰え、短命になってしまうほか、子種が続かず、卵子の老化が急速に早まってしまうためでした。第五世代人の場合も第六世代人ほどではなですが、影響が少なからず起こってしまうのです。この現象に関する原因はまだ突き止められてはいません。
 
 また、地球政府のエネルギー省(エネ省)は、旧官僚の既得権益も手伝って、核融合を中心としたエネルギーを基幹エネルギーとし、新エネルギーはエネ省によって表舞台には上がらなくなってしまったのです。
 
 よって一般市民は、「/Tエネルギー」の存在の事実を知らされることはなく、一部の研究者か軍部の上層部しか知らされない謎に包まれた状況だったといえます。
 そんな背景でありながら、宇宙時代の到来は避けては通れず、一隻の宇宙病院船が火星のコロニーに到達していました。その病院船には、皇室初の皇太子宇宙派遣を果たのでした。
 
【第六世代人の特徴は、髪の毛が白い】

01

 
 
ここは、火星とフォボスのトロヤ点 地球防衛軍火星護衛隊 第一ラグランジュステーション 火星日本鎮守府
 
お蝶 「・・・・艦長!もぉなにもたもたしてるんですかっ!」
艦長補佐の白鳥伍長が、弓月艦長のながい髪の毛のセットや身だしなみチェックにイライラさせていた。
ヘアピンを唇に挟んで、髪の毛を上げようとしていた弓月柚空艦長は、
 
柚空 「ふっるさいなぁ~もぉひょぉっとまって!(ぅっるさいなぁちょっと待って)」
 
と伍長には、いい加減な対応。
 
 暇を持て余していた伍長は、傍にあった無重力セットスプレー(無重力の航行でヘアが乱れないようにするための一種のヘア固定スプレー)と勘違いして、艦長の頭にかけようとしたのが、ただのヘアカラースプレーだった、艦長のヘアがかえってすごい色に乱れてしまうことに・・・しかも白髪染め・・・ブロンズの弓月には無用のものなのであるが、付着すると数日とれないのである。
 
プっしゅーーーーーっ!!!
お蝶 「ぁ・・・ヘア固定スプレーかとおもったら違った・・・まっかっか(笑)」
 
思わぬ仕打ちに艦長は、言葉も出ない驚き・・・
柚空 「ぁあっ!?」
 
弓月艦長は、スプレーの成分の為におかしなヘアースタイルに・・・
柚空 「ちょっと伍長!?どうしてくれるの?この頭!?」
 
お蝶 「だって、艦長がもたもたもたもたしてるからぁ~」
 
時間もオシていたので、艦長は、船外活動用の簡易ヘルメットをかぶり、ようやく部屋から出たのでした。
 
クルーの待つ船に向かう伍長と艦長。
 
大型の宇宙船が、これから乗り込む護衛艦「かげろう改」を通りすぎようとしていた。二人は、その様子を展望廊下途中の窓から見ていた。
先ほどの珍事が何事もなかったように話す白鳥
お蝶 「ぁ・・・・ナイチンゲール・ヴェンテ・トレ(nightingale venti  tre)だ。おおっ!?でっかいぃぃ!」
いつものことだと半ばあきらめがちな艦長・・
柚空 「・・・そうね。」
 
お蝶 「この宙域に寄港してたなんて、知りませんでした・・・。」
 
柚空 「今回、極秘任務だから知らなくて当然よ・・・。」
 
お蝶 「・・・へぇ~極秘なんですか・・・。」(伍長は、病院船の大きさに見とれて生返事)
 
柚空 「さ・・・船に急ぐわよ。」
 
お蝶 「・・・・。」
 
お蝶 「!?」はっとする伍長
 
お蝶 「ぁれ?極秘なのに、艦長なんで知ってんです?」
 
ミサイル護衛艦「かげろう改」 に向かう伍長は、途中で疑問に思う、ちょっとにぶいところがある。
柚空 「(こういう仕事には、ホント鈍いわね。伍長は・・・)」
 
柚空 「このオカともしばらくおさらばってことよ。」
 
お蝶 「・・・だからヘルメットかぶってんですねw」
 
柚空 「ぁんた・・・誰のセイでメットをかぶってると思ってんの?」
     「・・・減棒に値するわよ?」
 
お蝶 「ぇ~~!?」
 
柚空 「ニヤリ・・・」
 
お蝶 「・・・艦長~謝りますから~ずいませ~ん;;」
 
・・・・ここで現在寄港しているステーションの港の様子(暮らしぶり)などが紹介される。
マラソンしている人。食料(らしきものを売っている)浮浪者
・・・ややスラム化している様子。
 
護衛艦「かげろう改」にやや急いで向かう二人。
 
反対側から大勢の護衛に囲まれてなぜかひとりだけが宇宙服を着ていて、二人とすれ違おうとしていた。
 
(ずいぶん仰々しい護衛ね・・・真中に居るのは・・・子供?)ふと思う夕賀であった。
 
すれ違って、しばらくすると、先程の護衛のいる近くで突然爆発音が起こった!

02

激しく空気が外に漏れる音。爆発の傍にいたものは、宇宙空間に投げ出され、非常用気密シャッターが次々と閉じはじめる・・・。
 
艦長と伍長は、物陰にあったバーにつかまり、空気の激しい流れにおぼれないように必死だった。
 
柚空 「なにごと!? 伍長 !  大丈夫!?」
 
お蝶 「は・・はいなんとか・・・でも減圧が激しくて、この区域の空気が
もうすぐなくなるかも・・・!」
 
柚空 「私は、皮肉なことに減圧済みの航海用機密服を着てるから!」
    「とにかく、安全区域に先に行きなさい!」
 
お蝶 「ぇ!?艦長は?」
 
柚空 「私は、さっきの連中が気になるから、現場に行ってみるわ。」
 
お蝶 「ぇ?・・でも艦長だけでは、心配ですよ・・(どんくさいとこあるし)。」
    「・・・・・ぁ!・・・艦長ってばーっ!」
忠告も聞かずに艦長は行ってしまう。
 
お蝶 「非常用ヘルメットと急減圧抑制剤・・・どこかにないの?!・・・」
必死にあたりを見廻す伍長
 
その間に艦長は、外に放り出された。さきほどの一人だけ宇宙服を着た生存者を発見した。
 
柚空 「外に放り出されてる。黒服は・・・・全員彼方にとばされちゃったようね。宇宙服を着てるあの子だけ生きてるかも・・・」
  「でもこのままじゃぁあの子も宇宙の彼方だわ。」
 
艦長は、傍に会った、非常用の移動ガスガンを手にし、爆発で空いた穴から外に救出に向かう
 
柚空 「なんとか追いつきそうね。」
 
ステーションからかなり離れてしまったところで、まだ少年らしき宇宙服の人物になんとかたどり着いたが、残りわずかだ。戻るほどガスがない。
柚空 「気絶してる??」
   「まずいわね。このままじゃ。この子といっしょに心中になってしまうわ。」
 
伍長から通信が入る。
お蝶 「艦長大丈夫ですかぁ?(ピッ)」
 
柚空 「伍長?そちらも大丈夫だったようね。こちらの位置がわかる?(ピピッ)」
 
お蝶 「艦長の信号とらえてるのでわかります。これからそちらに向かいます(ピッ)」
 
柚空 「救出したこどもの空気がいつまでもつかわからないわ。急いで来て頂戴。(ピピッ)」
 
お蝶 「Aye, Ma'am!   でも今まだ減圧中ですから、もう少し待ってください(ピッ)
そんなやり取りの中彼方から、小型艇らしき光が近付いてくる。
 
柚空 「・・・? あらもう来れたの?伍長?(ピピッ)」
 
お蝶 「・・・・?なんですか?私、減圧処理がまだ不十分でこちらからまだ出ていけないんですけど? (ピッ)」
 
柚空 「・・・・・変ね。事故後の対応にしては、伍長より早いなんてことあるかしら?」
柚空は、はっとして、何かを悟ったように伍長に指示した。
 「伍長、これから、軍の機密保持回線で通信を行うから切り変えて!そして救難信号も消すから、GPSでこちらの位置を予測して頂戴。(ピピッ)」
 
お蝶 「ぇ?ぁ はいっ (ピッ)」
 
サーチライトを照らしながら、徐々に艦長に近づいてくる謎の小型艇。
柚空 「なんか変ね。何かを探してるみたい。」
    「伍長、爆発後、ステーションから救護艇が出た状況はある?(ピー)」
 
お蝶 「調べます しばらく待ってください。(ピーピー)」
 
柚空 「(非常回線にしたら、迷ってるわね。やっぱり私たちを探している。)」
 
お蝶 「艦長!この宙域でステーションから出た船は、ありません!
  しかもレーダーでその船は捕捉できませんでした。ジャミングかけてますよソレ(ピーピー)」
 
柚空 「・・・・!?伍長!来るなら武装レベルEで、急いで来て頂戴!(ピー)」
 
お蝶 「!? ・・Aye, Ma'am! (ピーピー)
 
柚空 「まずいわね。何か障害物がないかしら?このままでは見つかってしまう。」
     「ぁ ステーションの壁の破片? あれなら隠れられそうね。」
残りわずかなガスガンを使い、なんとかたどりついた。
 
柚空 「・・・あと問題は、向こうに生体反応探知されないようにしないと。」
   「たしか、防寒用のシートが・・アレでごまかせるかな?少なくとも熱探知はされないわね。」
艦長は、防寒用シートをポケットから取り出し、こどもといっしょにくるまった。
 
近くまで怪しい小型艇は、近づいてきた。
 
もっとも接近しているところで、気絶していた宇宙服の少年が、起きる。
艦長のヘルメットに手を当てて、接触通信を行うこども。
 
少年 「誰?・・・」
 
柚空 「・・・起きた?大丈夫だからネ、今は静かにじっとしててね」
 
 やさしい艦長の目をみたその子は、少し安心した様子で、軽くうなずき少し震えながらも黙った。その様子に気づいた、艦長は、頭に手をやり、接触通信を行った。
柚空 「私は、弓月柚空 あなたは?・・・」
少年 「ハタ・・・ハタ・ヨシュア・・・」
柚空 「そう・・ハタくん?・・もうすぐ私のお友達が助けに来てくれるからね安心して・・」
ハタ 「!?ここはどこ?!火星?」
柚空 「違うわ、君は、爆発に巻き込まれて今まだ外よ」
ハタ 「・・・・・そ・・・そう?ここでこうしてはいられないんだ。早く火星にボクがいかないと・・・!」
柚空 「何を急いでいるかわからないけど、今は、無駄な酸素を使わないように喋らないで・・。」
    「ほら、君の酸素ゲージ見てみなさい。」
ハタ 「・・!」
柚空 「・・・そうゆうことよ。だからここは私に任せなさい。」
しばらく、柚空の目を見て、軽くハタはうなずいた。
 
 しばらくすると怪しい船からサーチライトの光で一瞬照らされるも、気付かずに向こうまで行ってしまった。しかし、しっかりと武装が施され、船籍も消され、ステルス仕様になっていることまでは、柚空にも簡単に察しがついた。
 
柚空 「どうやら・・気付かなかったみたいね。」
 
しばらくして、伍長の小型艇がやってきた。
柚空 「ようやく来たわね。空気がなくならないか心配だったのよ。(ピー)
お蝶 「艦長、すいません減圧に手間取っちゃって・・・・その子供は?要救護者ですか?(ピーピー)
柚空 「ぇえ・・・どうやら何かわけありらしいわ。(ピー)
 
子供はおびえて、艦長から離れようとしなかった。よほど怖かったのだろう。
 
ハタ 「あなたは、軍人さん?」
柚空 「ぇえ・・・護衛艦の艦長をやってるわ。」
 
ハタ 「・・・!? じゃ・・・じゃぁ かげろう改という軍艦の柚空艦長を知りませんか?」
柚空 「?! あなたなぜ私を?」
 
つづく
 

03

【およそ1ヶ月ほど後 地球 日本国 宮内省 近衛軍 会談】

 

青機大佐 「まったくもって不可解ですな。今回の火星の爆破事件があったからこそ、我らがIUSにかけあって、税金をつかって最新鋭戦艦アラバマ調達の交渉を成功させたというのに!現在、もう2週間も前から火星に待機させているのですよ? そうでなくても火星にいかせるにも『戦船(いくさぶね)には乗らぬ』の一点張りでフランスの長距離病院船まで持ち出して・・・」

 

執業   「それは、我らも同じ気持ちです。護衛を一人もつけずに、しかも一介の旧式練習艦に搭乗させるなんてありえないことです。殿下の気まぐれにも困ったものです。」

 

青機大佐 「陛下はなんとおっしゃられたのですか?」

 

執業 「わたしは、直接聴いたわけではありませんが、『あの子が言うことならまちがいなかろう』とひとこと」

 

青機大佐 「・・ぁぁ・・・・陛下ぁ・・・・」

 

寿坂 「青機大佐、しかし今回の病院船 発掘事故でかなり役に立ったらしいではありませんか。不幸中の幸いと申しますか・・・・偶然にしてはできすぎと申しますか・・・・」

 

青機大佐 「ぁ~DAFドローンが暴走し、かなりの事故でしたからな・・・IUS軍の宇宙戦艦アラバマが鎮圧しなければ大変な大惨事になっていたかもしれません。未だに原因は、IUSとASEANの共同で調査中とのことです。 しかしあれもそもそもいきなり火星に行くと殿下がおっしゃられるから、こちらは大変でしたがな・・・。(おかげで俺はこれからあの大嫌いな財務省の高官どもとこのあと接待なんだ。ちくしょう!)」

 

榊原少佐 「では、せめて私が参りましょう。わたしは、殿下との直接面識がまだありませんから、宮内の手のものと思われて殿下の気を煩わせることはないでしょう。 そもそも不思議なのは、軍艦嫌いの殿下が、何故あんな廃艦してもおかしくない練習艦などに興味をもたれたのでしょう・・・・?」

榊原少佐は、女性ながら、他の権威主義の軍属とはちょっと違っていた。 軍人というよりも純粋に陛下の生い立ちに興味をもっているようにも見えた 

 

青山大佐 「知らん!しかし、とにかく向かってくれ、こっちは我らが防衛軍が管轄するおんぼろ艦に乗艦する殿下に何かあったら、首がとぶだけでは済まされんぞ。お国の2800年の歴史を終わらせるだけではない、世界中からにらまれる。我が防衛軍を無意味と称して縮小したがっている連中がうるさくなる。 とにかく隠密にやってくれ」

 

榊原 「・・・・・承知しました。」

 

 

 あの火星での爆破事件後、さまざまな警察や軍の取調べを受け、ようやく乗艦した弓月艦長と白鳥伍長は、かげろう改の狭い第一ブリッジ内に弓月と伍長の2人は船内作業といういわゆる掃除をおこないながら、会話をしていた。

弓月は、ヘルメットを脱ぎ、仲間に見られてからかわれるのは、なかば諦めていたが、なるべく髪の毛をコンパクトに結い収め、帽子を少し不自然に斜めにかぶってハンディタイプの掃除機を片手に座席を掃除していた。

とにかく未だに後ろ半分は、金と赤が混ざったような色になっていたが、見ようによっては美しい仕上がりに

なっていた。

 

お蝶 「まったく、あの時私が5分でも遅かったら、二人とも死んでたかもしれないんですよっ!」

 

柚空 「わかった、わかった、だからあのときのヘアスプレーの件は帳消しにしてあげたでしょ?w」

 

お蝶 「・・・・・なんか調子よくごまかされた気がするんですけどねっ!」

 

柚空 「ところで、他の4人はどうしたの?見かけないけど」

 

お蝶 「最近、よくチョッカイかけられてるんですよ。寄港したアラバマの男どもから・・・・。あれもなんとかしてくださいよ。(ホントは、わたしも行きたかったんだからっ)」

スペースバトルシップ”アラバマ”は、昨年地球北米ブロックIUS宇宙軍で竣工した新大型戦艦で、通常三次元空間内では、最速といわれ、戦力も一艦でかげろう型ミサイル護衛艦の100倍ともいわれている。しかし、乗組員は、100名程度で運用され、ほぼドローンや巨大なシステムで自動化されている。しかもその100名のための福利厚生設備も完璧に整っており、クルー食も絶品で、長距離航行でも負荷を感じさせない設備が十二分に整っているため、アラバマホテルと揶揄されるほどであった。

 

柚空 「あそこの艦内のレストランが、今日 一般人でも公開してるんだったわね。うわさだと、”アラバマホテル”って    巷では言ってるようだけど(笑)」

 

お蝶 「ですね~。なんでウチの艦隊司令部は、せこいヤツばっかなんでしょうねぇ~。 このままだと、ウチのクルーもみんな引き抜かれちゃいますよっ あははw」

柚空 「なんか・・・・冗談に聞こえないわ^^;」

 

艦長と伍長が乗艦している陽炎型は、日本の主力ミサイル艦で小型であるが、機動力と航続距離が、冥王星までいけるように設計されてるため、その優秀な価格性能比から、もっとも量産された代表艦である。その古くなった陽炎型の第一番艦を改造し、格納庫を小型艇を2機収納できるようにして、航続距離を短くして練習艦として改造されたものが、航空ミサイル練習艦の「かげろう改」であった。クルー養成を主任務にしていたため、戦場に借り出されることはなく、クルー教育のための多様な機能が用意されていた。

 

柚空 「・・・・・いけない。そろそろ定刻だわ。」

 

お蝶 「?何がです?」

    

柚空 「新人が編入してくるのよ。訓練でね。」

 

お蝶 「へ~そうなんですか?ま 練習艦ですからね。またいつものように教育していいんですよね?」

 

柚空 「そうね。操艦以外は、いろいろとやらせてみて、適正を見ていいわ」

 

お蝶 「YES!, Ma'am!」

少しリラックスして、敬礼をしながらニヤつく伍長であった。

 

 

 榊原 真琴は、世主阿皇太子よりも背が高く、横に並ぶと、どちらかといえば、榊原の方が女性上官に見える。なぜならば、皇太子は一等宙曹階級扱いで伍長よりも格下の服装で偽装してたためである。 既成概念で、そのような階級の方が怪しまれたいためでもあった。つまり榊原は少佐でありその補佐官として太秦(皇太子殿下のこと)を起用していることに建前上はなっているが、実態の位は、その逆で殿下を護衛する立場にあるのは榊原少佐ということになる。

 

 榊原は、乗艦した後まず、艦長の許諾を得るためにブリッジに向かった。狭い艦であるから搭乗してすぐに艦長に出会った。しかしなんと艦長の柚空の格好は、艦長のイメージから程遠いといわざるえなかった。

 

榊原 「艦長! 榊原及び太秦(うずまさ)一等宙曹の乗艦許可をお願いします。」

 

柚空 「乗艦を許可します。伍長艦内を案内してあげて」

 

榊原 「それはそうと、エプロン姿で何をやられてるのですか?艦長?」

 

柚空 「何って お掃除だけど?」

 

榊原 「艦長自らですか?」

 

柚空 「当然です。我艦は、全員が掃除にはじまり掃除に終わりますからね」

 

榊原 「・・・そうでしたか・・・・し・失礼しました。(しかし殿下には、とてもそんなことはさせられないっ!」

 そうやって危機感を抱いた途端に、最高のタイミングで伍長の横槍が入った。

 

お蝶 「さぁ太秦くん!雑巾絞って!」

 

榊原 「!?」

 油断をした隙に、既にお蝶は、殿下と知らずにこき使おうとしていた。

太秦(ハタ)「はっ 伍長殿!」とはりきって敬礼をするハタであったが、榊原はすかさず間に入ってきた。

 

榊原 「ご、伍長!太秦は私の補佐官です!ま、まずは私が太秦に直接指導をしますので、ここは任せていただきたい。」

 

お蝶 「ぇ~そうなんですか?でも規則ですしぃ~」

 

太秦 「大佐殿、艦内規則のようですからここはお任せください!」なんだかウキウキしている様子である。

 

榊原 「し、しかし・・・(殿下は、好奇心が旺盛すぎる^^;)」

 

二人の会話を注視する艦長と伍長に変に思われてもまずい。殿下の乗艦は極秘中の極秘なのであるから。

仕方なく折れた榊原を尻目に伍長についてさっさとその場を立ち去ってしまった。

 

心配そうに太秦を見つめる大佐をみていた弓月は、

 

柚空 「ふふ、あなたは心配性のようね。」

 

榊原 「そんなことはないですよ。弓月艦長」

 

柚空 「柚空でいいわ。姓でよばれるより下の名前で呼ばれた方が気に入ってるの。」

 

榊原 「わかりました。柚空艦長」

 

柚空 「ここには、他に5人のブリッジオペレータと4人のエンジニアが同乗しています。おいおい紹介していきますから」

   ・・・と少しあわてた感じで掃除機にスイッチを入れた艦長であった。なぜならば、まさか、自分の部下が近所の宇宙戦艦にランチを食べに行っているとはいえない苦しい艦長であるのに対し・・・。

 

榊原 「(思ったより ぜ・・前途多難かもしれない)」冷や汗が絶えない榊原であった。

 

太秦「それでは伍長殿に従って掃除してまいります! 」「

  伍長についてその場から立ち去ろうとしたところ、途中で振り向き様に

   「ぁ・・艦長殿・・・その髪の毛・・・お似合いだと思いますよw」

  と一言言って立ち去った。

 

柚空 「・・・髪? 何のことかしら?」

 と髪の毛に手をやろうとした瞬間に帽子と髪の毛が吸い込まれていた。

 

榊原 「ぁ・・・・」

榊原が気づいたときにはすでに遅かった。 艦長の帽子と髪の毛を思いっきり吸い込んでしまったのである。

その後の弓月が髪を切ることを決心したことは言うまでもない。

 

 

つづく

 

 

 

 

   



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