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「なーに話てんの、めずらしいねぇこの取り合わせ。

 一組でも盛り上がってるよ。」

 

カンナさん。じゃあ、わざわざ偵察に来たんだ。

 

「ねぇカンナ、今日暇?っていうか、空けてくれない、午後から。」

「いいけど、なんで?っていうか、想像するに、この組合わせだと

 ケイがらみだね。」

 

へえー、カンナさんて、“ケイ”って呼び捨てにするのか。

 

「理由は聞かないで欲しいんだけど、かなりへこんでるらしいの。」

「ほーん。」

 

カンナさんが私に視線を移した。

 

「で、ちょっと家庭訪問しようかなと思って。タケダも呼び出して。」

「いいねえ、それ。“アミー”でおやつ買い込んでいこう。で、上叢さんは?」

 

そうか、竹田くんが“ケイ”って呼んでるからなんだ。

 

「私は遠慮しとく。」

カンナさんが、にやっと笑った。

 

「あたしとミズエは公園デビューの時からの親友なんだ。

 で、ミズエと上叢さんは“恋敵”で、あれって“敵”って書くんだよね。

 すごいよね。

 で、話元に戻すけど、上叢さんは親友の敵なわけだ。

 でも、あたし、あなたのこと嫌いじゃないよ。」

 

「ちょっと、カンナ。それじゃあ私が悪者じゃないの。それでも親友なのー。」

 

“お、揃ってる。すっげー”って、一組の男子たちが冷やかして通っていった。

“一組遠山、二組丘野、三組上叢” なんて誰がつけたの下らない。

 

だからガキって嫌いなのよ。

 

「上叢さん、いますっごい“目”してたよ。なんか虫を蔑んで

 みてるような感じ。

 やっぱ、あなたいいわ。目で人を殺せるタイプね。気に入っちゃった。

 さてと、チャイムなるよ。そろそろ戻った方がいいんじゃない。」

 

 背が高くてかっこいい彼女は、廊下の出入り口の、鉄の扉を

開けながら振り返った。

 

「一応いっとくけど、タケダに手を出したら殺すからね。」

「あはは、大丈夫。わたし青春の汗って苦手だから。」


 丘野は手すりにもたれて、人気がひいていく運動場を眺めていた。

景クンがよくそうしているように。

 

「みんなが楽しそうに遊んでるのをみてると、幸せな気持ちに

 なるんだって。

 誰か仲間はずれにされてないかな、とか、それで今すぐ何か

 するって言うんじゃないけど、何かの時に気を遣ってあげた

 いって。

 ほら、まだ遊び足りないって感じで、ボール蹴ってる子、

 ああいうの特に好きだって。

 早く戻らないと先生に怒られるようって心の中で叫んで、

 彼が校舎にはいるとホッとするの。知ってた?」

 

 知らなかった。いい話だな。聞いてるだけで泣けてくるぐらい。

だから、ずっと、わたしを気にかけてくれてたのか。

クラスの中でいつも一人で座ってるわたしに。

 

「私、ちいさいころ、変身して地球を守りたかったの。」

「アニメの影響?」

似合いそう。

 

「そう。でもね、それってウソだってわかるときが来るのね。

 私がっかりしちゃって、そんなことも忘れちゃってたの。

 なのに、転校してきた地味ぽくってひ弱で、周りにとけ込めない

 男の子が、本当に地球を守ろうとしてるって知ったとき、

 私それまで一度も感じたことのない気持ちで胸がいっぱいに

 なっちゃって、お姉ちゃんに“どうしよう”って言ったら、

 心配いらないよ、それは恋って言ってね、誰もが一度は経験する

 ものなの。

 良かったね、瑞江ちゃんていってくれたの。

 ・・・ちょ、ちょっとなにすんのよ。」

 

私の方がちょっと背が高い。丘野をハグした。

 

「私、どうしてあなたに話したか、いまわかった。きっと地球を守りた

 かったんだと思う。」

「上叢、言ってて恥ずくない?」 

呼び捨てにされた。

 

「いまさら、そういうこと言うかな、自分が思いっきり言ってたくせに。」

「赤が私でしょ。ピンクはカンナにゆずっといて、青がクールな上叢。 

 赤と青は仲悪いの。で、ケイくんは弱っちいから緑でタケダが黄色だ。

 お笑いキャラだから。」

「竹田くん、ありえねーって叫ぶわよ。」

 

 丘野との別れ際に、「もう授業始まってるよっ。」て言ったら、

「いいの、この学校で私に意見できるのって、カンナとケイくんだけだから。」

って笑ったあと、

「今日から一人増えたんだっけ。」ととぼけて去っていった。

 

“胸襟を開く”って言うんだっけ、こういうの。

 

・・・なんだか、口癖ってうつるんだよね。


 ああ、もう昼かあ・・・。

母さんばたばたして出ていったな。今日はボク朝ご飯の用意

とかしなかったし。

 

 結局、昨日は顔を合わさなかった。音でわかるんだけどね。

帰ってきたなあ、風呂に入ったなあ、おきたなあ、出掛けて

いったなあって。

 

 どっちかって言うと、昨日は帰ってこない方が良かったのに。

顔合わせづらいよ。

まだ学校があった方が、気が紛れて良かったなあ。

 

 昼はトーストと卵と牛乳でいいや。野菜は野菜ジュースでOK。

ビタミンと繊維と、ミネラルがたくさん入ってまーす。

 

着替えるの面倒だし。でも歯は磨かないと気持ち悪いんだよね。

 

 ひどい顔だな、今日のボク。着替えるの、夕方買い物するとき

でいいや。

それまではうだうだしてようっと。

 

 そーだ、物置部屋の段ボール箱の中に確か、・・・ちょっとものが

増えてないかな・・・このいかがわしい機械なんだ? 

イオン・・シンクロ・・・うそくさー。

 

 あ、これこの段ボール。おお、この濃厚な本の匂い。一応背表紙

向けて並べてあるんだ。

「ポーの一族」久しぶりだな。メリーベル可愛い。ミズエ似てるかも、

性格はぜんぜん逆だけど。

絵はさすがに古い感じがするけど、話は面白いな。

 

 死ねない孤独。生き続ける寂しさ。不老不死って、“喪失”でしか

ないんだ、ってこの人はこの時代に気付いてたんだ。

 

 ああ、いま読んじゃダメ。止まらなくなる。出して紙袋に

入れておこう。

 

ピンポーン・・・。

 

 ええっと、家庭教師はいりません。保険は親が不在なので

良くわかりません。

 新聞は取っています。水漏れガス漏れ一切無いです。犯人に

心当たりはないです・・・。

 

げっ!

 

「い、いらっしゃいませ・・・。」

“やほー、ケイくーん。遊びに来たよ。”

 

「ちょっと待って、まだパジャマなんだ。」

“ふざけてんじゃねー、とっととあけろや、さみーんだよ12階わぁ!

あけねーと騒ぐぞ。”

もう十分うるさいよ、タケダ。しょうがないなー。

 

ボクはドアの鍵を開けて、外に押し出した。

 

「やだー、もう最悪。ケイなんて格好してるのよ。」

最悪は無いだろ最悪は、カンナ君。

 

「うわー、はっはっは、笑えるー。ケイの間抜け面。ひでぇー。」

「ちょっと、うちのケイくんに何てこというのよ。さあ、中に入って着替え

 ようねえ、ケイくーん。この失礼な人たちには、外で待ってて

 もらいましょう。」

「おい、ちょっと信じられねー。この寒さで凍死しろっていうのかよ。」

「そうよ、もうくちびる紫になりそうなのに。」

 

くくっ、くっくっくっく、あーっはっは、おかしい。おかしすぎる。

あー死にそう。

 

「あーあったけー、ケイの家、久しぶりだなあ。」

「まあちょっと、そっちのリビングの方にいっといて、着替えるから。」

「眺めいいね、ここからうち見えるかなあ、タケダ。」

「スーパー・マキノがあそこだから、あの、青屋根のあるあたりじゃないか。」

スーパー・マキノってこの街のランドマークだったんた。しょぼー。

 

 ん。

 

「なんで、ミズエがボクの部屋にいるの。」

「お着替えするんでしょ。」

ニコニコ笑って、調子に乗ってんなよ。

 

「本当に脱ぐぞ。」

「え、・・・まってまって、ちょっと部屋みたかっただけなの。あ、だめ、

 エッチ、信じられない、変態。ばか。この野郎、ふざけんな!」 

 

ボコッ!

 

「カンナ、なんかあっちで騒いでるけど、大丈夫か。」

「大丈夫、大丈夫。ミズエが切れたら私でも勝てないから。

 でも、彼女一応リミッターつきなの。」

 

「を、ミズエ。どうかしたのか。」

「どうもこうもないわよ、いきなり美少女の前で服脱ぐかな

 あのバカ。」

「あちゃー、で、どうしたの。」

「ベッドにたたきつけてやったの。私をなめるからこんなことに

 なるのよ。タケダからもちゃんといっといてね。」

「は、はひ。わかりまひた。」

 

 

う、まだめまいが。たくもう、あいつら何しに来たんだ。

 

「えーと、お嬢様方、何かお飲みになりますか。」

「私、紅茶でいいよ。タケダは?」

「ビール・・・・・じゃなくて、紅茶で結構です。・・・そんな目で

 睨むなよカンナー。ジョークだよジョーク。イッツアメリカンジョーク。」

「くだらないから、おやつ開けるわ。ああくだらない。くだらない。」

 

「ミズエは?」 

「あ、私手伝う。」

「カップどこ。」

「食器棚の左の方。そこに揃いのが五客入ってる。それ出して。」

 

ええっと、これね・・・

「お皿、いいよね、どうせ私たちだけだし。」

「ああ。うん、ミズエがいいなら。」

 

「ケイくんはコーヒー?豆挽くの?」

 

“ケイ。おれもコーヒーよろひくー。”

“ちょっと食べながら喋らないの。”

 

「うん。久しぶりにやってみる。」

「やらせて、やらせて。」

 

「じゃあね。この蓋を開けて豆を二杯入れるんだ。・・・そうそう。

 で蓋しめてハンドルを回して。時計向き。うん。手応えが無くなったら、

 下の引き出しを出して、豆をフィルターに開けるんだ。」

 

「うわー、いい匂い。こんな匂いなんだコーヒーって。」

「回すように、周りから入れていくんだよ。・・・コーヒーはね、熱湯を

 入れてもドリップする間に少し冷めるんだ。だから、直ぐに飲んでも

 あまり熱くないんだよ。」

 

「こんな感じかなー。」 

「うん、上手いじゃん。」

「香りが変わった。」

「挽いた豆の香りは、甘酸っぱい香り。入れ立てのコーヒーの香りには、

 それに苦みが加わってるだろう。甘みと酸味と苦みがコーヒー

 の味なんだよ。」

 

“ケイ、新婚さんみたいだぞ。” 

何言い出すんだよ、タケダ。

 

「ハイ、ダーリン。コーヒーが入りましたよ。」

“ミズエ、ケイが固まってるよ。”

 

 変なこと言うからじゃないか。ダメなんだって、そういうの。

 

 それから三時間ばかし、おやつをバリバリ食べながら、ボクたちは

いろんなことを話した。

 三人が突然来てくれた理由はおおよそ察しがついたけど、誰も

そのことには一言も触れないでいてくれて、ボクはありがたかった。

 

 カンナとタケダはともかく、ミズエは時々ボクを気遣うような目で

見ている。

 だから彼女は少なくとも、知ってるんだろうと想像したんだけど、

カンナとタケダは理由を聞かずに付き合ってくれたってことだ。

 

 ボクはずっと笑いっぱなしだった。


「あ、夕焼け。」

「ホントだ、ベランダ出ていい?」

「いいよ。」

「いこ、タケダ。」

 

 西の空が赤く染まっている。

 カンナとタケダが寒そうに肩を並べて、顔をオレンジに染めながら、

時々何かを指さして話している。電線にとまって肩を寄せ合っている、

ふっくらとした冬の雀のようだ。

暫くして、再び窓を開けて部屋に入った。

 

「寒いよー。」

「もう6時だもんなー、そろそろ帰ろうか。子供はつらいぜ。」

「そうだね、遅くなると家の人も心配するし。今日はありがとう。」

「なに改まっていってんだよ、気持ち悪りぃ。押しかけて、食い散

 らかしたのは俺達の方なんだし。」

 

「あ、私、後かたづけして帰るから。散らかしっぱなしだとケイくんに

 悪いし。」

「なら俺たちも手伝おうか?」

「バカ、タケダ。あたしたちはお邪魔なの、とっとと帰るのよ。」

「を、そうだったのか。それではケイクン。健闘を祈る!」

「バカ!」

 

殴られてやンの。後かたづけに健闘も何もないよ。

 

「さあってと、かたづけますか。」

ミズエがちょっと袖をあげて、リキ入れてるのが面白い。

 

「じゃ、洗い物は食洗機に放り込むから、流しにおいといて。

 お菓子のくずは、・・・。」

「レジ袋にまとめて入れとくから、ゴミの日に捨ててね。」

 

 二人でやると早いな。

 

 ポテチの袋やら麦チョコやらポッキーの箱なんかがあっという間に片づいて

「掃除機どこ?」って言って引っ張り出すと、うちのやたら音だけ大きくて

吸いの悪い掃除機を振り回して、

「ゴミパック、ちゃんと代えないとダメだよ。これじゃ掃除機で埃を舞あげて

 いるだけだよ。」

とありがたいご指導を頂きました。

 

「今日は、ホントありがとうな。」

 

ミズエはすぐには応えないで、少し間をおいてから、

「あのね、上叢が教えてくれたの。でも、彼女のこと、余計なコトするなって

 怒らないでね。ケイくんのこと心配して、わざわざ学校にまで来たんだから。」

と横を向いて言った。

 

 うん。

 

 知ってるのは、彼女だけだもんな。でも、なぜ彼女はミズエに言ったり

したんだろう。

そういうの“敵に塩を送る”っていうんだっけ。

 

「一緒に、地球を守りたかったんだって。」

 

 ボクには意味がわからなかったけど、一応頷いておいた。ボクの家庭の

問題が、どうして地球防衛と関わっているのか。

でも彼女たちの間では、それで通じたんだ。

 

 トラブルって悪いことだけじゃないんだな。ボクが好きな

女の子二人が、そんな意味不明の言葉で通じ合うなんて、小さな奇跡だ。

 

 そう思うことで、ボクは少しずつ乗り越えていこうと思った。

あの人とは、もう母親としてじゃなくて、一人の個人として付き合うしか

ないんだろう。

 

 去年の夏、デパートでボクの肩をなでて、

「景ちゃん、大きくなったんだね。」

と言ったときが、本当に、親子としての最後だったんだ。

 

 

 それは、誰にでも来るとは思わないけど、ボクにはそういう時が

来てしまった。


 ミズエは一人で帰るって言ったけど、もう日は暮れて暗くなっていたし、

ボクは彼女を送っていくことにした。玄関口で靴を履きながら、

 

「ごめんね、こんなことぐらいしかしてあげられなくて。」

と彼女は言った。

こんなことぐらい?

これ以上に、ボクは何を望めばいいんだろう。

「ミズエがいてくれて良かった。他に何もいらない。」

 

 このあとボクは、生まれて初めて女の子の髪の柔らかな感触とその香りと、

しなやかな身体を受け止めた重みを意識した。

 

 鉄の扉を押しあけて、鍵をかけるかちゃんという音。廊下を行く二つの足音。

エレベーターのドアが開くゴゴッていう音。

 なんだかやたら大きくて、そのたびに二人で顔を見合わせて、

くすくす笑ってしまう。

一階に下りたら、マンションの出口に意外な人が待っていた。

 

 

「お姉ちゃん・・・。」

 

「さっき、カンナちゃんたちとすれ違ったわ。迎えに来たんだけど、

ケイくんが送ってくれるんだったら、いらなかったかしら。」

「いえ、ぼくも買い物とかしないといけないんで。」

 

こら慌ててどうする。ぜんぜん理由になってないだろう。

 

「どうして?」

「塾から電話があって、“今日はお休みですか”って。で、ミズエが塾

 さぼるって言えば、ケイくんに何か大事な用事があったぐらいしか

 ありえないから、迎えに来たの。

 母さんには私がちゃんといっといたから。」

 

鋭すぎます。ミチルさん。

 

「途中まで送ります。」 

と、ボクは、結局スーパー・マキノの前まで一緒に行った。

 

 

 

「暫く合わないうちに、ケイくんちょっと大人っぽくなったね。」

 

 お姉ちゃんのアルトの声、気持ちいいなあ。私そんなこと

全然気がつかなかったけど、そうなのかなぁ。

 

「迎えに来てくれてありがとう。ちょっと気を遣いすぎて、疲れちゃった。」

「ミズエは、ケイくんだと、のめり込んじゃうもんね。」

「お姉ちゃんはそうじゃないの。」

「のめり込むとかどうとかより、カレシいないもの。」

「ウソ!」

 

そういえば、聞いたこと無い。

 

「カレシいない歴十四年。」

「マジ?

 だって、お姉ちゃんラブレターとか一杯もらってるじゃん。」

 うちの学校に、兄弟でコクって両方とも姉妹に振られたって言うのが

いたって聞いたけど。

 

「一回だけ読んだことあるけど、あとは全部ゴミ箱行き。なんて言うか、

 同世代の男どもの文章力の無さにげっそりするのよ。

 顔も見たくないって感じ。

 ・・・でもねえ。ケイくんだったら、もらってもいいかなって思ったりして。」

 

「ケイくんには手を出さない方がいいよ。」

「どうしてかしら?」

 

「ケイくんに手を出す人がいたら天罰を与えて下さいって、お正月に神様に

 お願いしといたから。」

「まあ、こわいわ。そういえば最近、私ついていないの。シャンプーが途中で

 切れちゃったりとか、シャーペンの芯が折れたらそれが最後の一本だったりとか、

 あれってミズエの呪いだったのね。」

「お姉ちゃんの意地悪。」

 

「ごめんごめん。ちょっと羨ましかっただけよ。

 だってね、あんなにわがまま勝手だったミズエがだよ、こんなに

 優しい子になるなんて全然想像つかなかった。

 姉妹だから情はあるけど、その反面、腹が立ってしようがなかったの。

 お父さん、おかあさんを心配させてばっかりで。」

「お姉ちゃんが私を羨ましいなんて、おかしいよ。」

 

「ケイくんと出会ってからね。ケイくん、ケイくんそればっかり言って。」

「もういいよぉ。恥ずいよー。」

 

「いいじゃない。彼って年取ってからかっこよくなるタイプだったのねぇ。

 先物買いしとけば良かった。」

「ケイくんには、あんまり格好良くなって欲しくないなあ。」

「ライバルが増えるとイヤなんだ。さっきカンナちゃんが言ってたよ、

 ケイくんがはっきりしないからミズエが悩んでるって。

 もっとも、はっきりされると困るときもあるけどね。」

「お姉ちゃん、いまのひどく突き刺さった。」

 

「冗談だよ。

 ・・・ここの商店街、ますますクルマや自転車が多くなってくるねー。

 自転車放ったらかすのやめてくれないかなー。」

 

「お姉ちゃん、・・・・寒いのにごめんね。」

「可愛い妹のためだもん。ミズエが妹で、私本当に嬉しいよ。」



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