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ON THE ROAD  道の上で 僕のストーリー 

 

 

この小説は、僕の10代の頃のストリートライヴの日々を元にして、書き綴ったストーリーです。
路上であった、さまざまな出来事を、小説にしてお届けしています。

この物語から、、路上ライヴをする、ということ、、そこで出会うこと、
色んな思いを 一緒に感じ取ってもらえたらと思い、 ここに書き綴っています。
少しでも、きっかけとなって、何かのスタートを踏みこんでもらえたら、嬉しい気持ちです。

なお、ストーリーは日々、綴っていくので、ぜひ覗いてみてくださいね。
 
 
 

 

 

 

 

 

ストリートには  今日も 人が溢れている

 

 

 

 

 

ギターのハードケースを抱えて  ゆっくりと一歩一歩踏みしめていく

 

 

 

 

 

 

駅前には 時間に問わず  さまざまな人が 道を歩いている

 

 

 

 

ディズニーランドのキャラクターの袋を抱える  笑顔の女の子達

 

 

 

慌てた様子で 急いでどこかに走り去っていく 大人のメガネの男性

  

 

 

悲しそうな表情で うつむきがちで歩いていく 学生

 

 

 

野菜をいっぱいに詰め込んだバックを  片手に持ちながら  ゆっくり歩いてく おばあさん 

 

 

 

お母さんに抱えられて  キャッキャと笑い声をあげる  小さな赤ん坊

 

 

 

 

ここに それぞれの人の さまざまな人生のストーリーの ”いま”がある

 

 

 

 

都内からの下り電車が到着すると 一気に なだれこむように 駅前は人で溢れていく

 

 

 

 

ホームに 高音の発車のベル音が鳴り響き  列車がまた 駅から発進していくのが聞こえてきた

 

 

 

 

ふと空を見上げてみると  わたあめのような雲と 薄い赤色に染まった夕暮れ  

 

 

 

 

 

身体を  そっと 心地よい風が吹きぬけていく

   

 

 

 

 

 

ここは   ぼくの街

 

 

 

 

 

 

このストリートで   ここで唄うことで 

 

 

 

歌を通じて   誰かの ”今”が  自分と繋がる

 

 

 

 

そして 黒いギターケースを床に置き 真っすぐに平らにセッティングをする

 

 

 

 

ゆっくり 歩いていく おじいさんが  自分のほうを見ながら 横を通っていった

 

 

 

 

 

ギターを取り出し そっと抱え 銀色のペグを回しながらチューニングをしていく

 

 

 

 

 

そこにいる人の思いを  すべてわかることはできないけれど

 

 

 

こうして ここで聴いてくれているときは 

 

 

 

そのときだけでも  心にある荷物を置いて  元気になってもらえたらいい

 

 

 

それが ほんの一曲  たったの5分くらいだけでも

 

 

 

目の前にいる人の 人生の”今”を  この時間を過ごす

 

 

 

それは 当たりまえのようで  とてもすごいことだと思う

 

 

 

 

もし そこで 今日 唄わなかったら   出会うことはなかったんだから

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

ビートルズのアクロスザユニヴァースを唄い終わったときに

 

 

そこに 女の子が一人でとまっていた

 

 

曲が終わって  さっきまでは 遠くで聴いてくれてたけど

 

しばらくして そわそわしながらも   近くに来てくれて 話をしてくれた

 

 

 

なにやら 学校で落ち込むことがあったと  うつむきながら言っていて

  

 

そのあとに 数曲唄うと  「歌を偶然聴いて、元気をもらいました」  と笑顔になってくれた

 

 

 

そして  その女の子は何気なく聞いてきた

 

 

 

「ずっと、この場所で 路上ライヴしてるんですか」

 

 

 

 

「うん、、もう10年前からここで唄ってるよ   歌わない頃もあったけどね」

 

 

 

 

「え~、わたし、、、10年前なら まだ幼稚園にも行ってないですよ」

 

 

 

 

目を大きくして  驚いた顔をしながら 女の子は言った

 

 

 

 

「はは、、、そっか、、、 まぁ、でもずっと唄ってきて いろんなことがあったなぁ」

 

 

 

 

そして、数曲唄うと   「あっ、、」と その子はケータイを見て 急ぎだした

 

 

 

 

「そろそろいかなきゃ、、じゃあ、がんばってくださいね」

 

 

 

 

「うん、聴いてくれてありがとう  気をつけて」

 

 

 

 

しっかりとおじぎをして その女の子は足早に 駅前から走り去っていった

 

 

 

 

 

ストリートをここで始めたのは 10年前か もう そんなに時間が経ったんだよな

   

 

 

 

 

 

あの頃は まだ17だったんだな

 

 

 

 


2001年 7月

 

 

 

 

 

17才の夏の始まり。

 

 

 

 また、、今年も、暑い夏の季節がやってきた。 

 

 

 

何かが終わると、何かが始まる、、っていう言葉を聞いたことがある。

 

 

誰が言ったのかは覚えていない、、でも、それはよく聞く言葉。

 

 

 

そして、、僕は一人、、高校をやめることを決意した。

 

 

 

 

友達には、”音楽をもっと真剣にやれるとこにいきたい”とか”軽音部がないから”

 

 

 

って、話してたけど、ほんとはそうだからでもなくて。

 

 

 

 

もちろん、音楽は真剣にやりたかった。

 

 

 

 

でも、それ以上に、自分の身体がダメになっていた。

 

 

 

どうすることも、、自分にはできなかった。

 

 

 

夏休みの前には、もう、学校をずっと休んでたけど、戻れるなら戻りたかった。

 

 

 

初夏に、鳴きだした、セミは、どこか切なく聞こえてくる。 

 

 

 

 

カーテンをそっと開くと、窓の外はどこまでも空が広がってて、、

 

 

なんだか、、自分と外の世界は、まるで違うような気がした。

 

 

 

 

 

 

そして、、それから一ヶ月、二ヶ月と過ぎて、、秋を迎えようとしていた。

 

 

 

 

 

 

少しずつ、休暇のおかげで、身体の具合も前よりもよくなってきて、ギターを弾くようになった。

 

 

 

ギターはいつでも、なんとなく自分をなぐさめてくれてる気がしてるんだ。

 

 

 

 

あの日々を、時々、、心に浮かべながら、、、今日という時間を過ごしている。

 

 

 

 

17になって、色んなことを考えるようになった。

 

 

 

そう、、ふと、思うことがあるんだ。

 

 

 

 

やっぱり、ヒトの痛みは、わかるものではないんだ、、、自分にしかわからないんだ。

 

 

 

本当の痛みなんて、、その人自身しかわからないもの。 

 

 

 

悲しいけれど。

 

 

 

それが、自分に教えてくれた、この持病の優しさのような、、叫びのようなもの。

 

 

 

でも、今の自分には、どうやって、幸せを見出すのかなんて、、わからないんだ。

 

 

 

 

ただ、、こうして、ギターを弾いて、唄っていれば、、なんだか、心が落ち着くから。

 

 

 

 

音楽が自分のことをわかってくれてるんだ、、って、、そう思いながら、

 

 

 

 

見上げた、、あの天井に向けて、大きな声で、、歌い叫ぶんだ。 

 

 

 

 


 

 

 

 

きっかけっていうのは、、ちょっとした何気ないことだったりする。

 

 

 

そのときは、 ”これからの人生を変えるような出来事”、、だなんて、考えてもいなくて、

 

 

 

なにげなく、、そっちの方向に見える道を歩いてみたら、、

 

 

 

 

それが、すべての始まりであったと、後から思えるようなきっかけが、おとずれたりする。

 

 

 

 

 

きっと、、誰もが、一度は経験する、人生の交差点で、

 

 

それは、もしかしたら、、”きみは、こっちに歩いていくんだよ”、、と、

 

 

 

見えない何かからの、サインなのかもしれない、、なんて、、、思ったりね。

 

 

 

 

 

夏の陽射しも少しずつ和らいで、、、気がつけば、季節は秋を迎えようとしていた。

 

 

 

 

 

ずっと、これからのことを考えていたでもなく、、ただ、ゆっくりと過ぎていく時間の中で、

 

 

 

数ヶ月、休んでいた 僕は、身体もだいぶ安定してきて、心も余裕が生まれてきた。

 

 

 

 

そんなときに、昔からの友達から電話がきた。

 

 

 

 

 

その彼とは、幼なじみであって、、高校1年の頃に一緒にバンドを組んでいた仲間。

 

 

久々の電話ということもあって、ワイワイと話もつきずに、話は盛り上がり、

 

 

これまでにあった、思い出や、、いろんなエピソードが浮かんでくる。

 

 

 

楽しかったことも、、ましてや、今思い出すと、恥ずかしいような出来事も、、ふいに甦っていく。

 

 

 

友達っていうのは、不思議だよなぁ、、

 

 

 

どんなに久しぶりの会話でも、、話せば、すぐに会ってた頃のような感覚になる。

 

 

 

 

 

 

あるときに、、ふと、彼は、少し黙り込んで、、面白いことを提案してきた。

 

 

 

 

 

それは、ストリートライヴをしよう、、、という話だった。

 

 

 

 

 

 

「え~っ、、、路上ライヴか、、、、、どうしようかな、、」

 

 

 

 

 

まったく、思ってもいなかったことを言われたから、、少しびっくりした。

 

 

 

 

 

ストリートライヴ、、、路上で歌う、、、ストリートミュージシャン、、

 

 

 

 

いま、話題の ”ゆず” に憧れて、、みんな駅でやってる、、、街で見かけたことある。

 

 

 

 

 

一度も、じっくりと目の前にとまっては、、聴いたことはないなぁ。

 

 

 

でも、、、、ストリートで唄うのは、、、なんだか興味はある。

 

 

 

 

 

前に組んでいたバンドの活動が終わってから、一年ぐらい経ったけれど、、

 

 

 

やっぱり、、あの頃みたいに、、誰かの前で、、歌を唄いたいんだ。

 

 

 

音楽活動をするときは、、、ぜったいに”バンド”としてやっていこう、、と決めてたけど 、

 

 

 

路上で、アコースティックギターで唄うのも、、、誰かに、歌を届けることに変わりはない。

 

 

 

  

 

それに、、人前で唄うことで、歌の修行にもなるし、、、今は、唄うことの経験を積んでいかなきゃ。

 

 

 

 

 

もしかしたら、、何か、新しいことも待ってるかもしれない、、、うん。

 

 

 

 

 

色々と、頭に浮かべながら、、返事を待つ、彼に、、ゆっくりと答えた。

 

 

 

 

 

「よしっ、、、やってみようかな、、、うんっ」

 

 

 

 

 

こうして、誘いをきっかけに、、ストリートライヴをすることを決めたんだ。

 

 

 

 

 

彼も、嬉しそうにうなずき、、、そして、僕らのストリートでの日々が始まった。

 

 

 

 



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