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ドライブ


プップー
シューッ

「どこまでですか?」

分かってるくせに毎回聞きやがって
そんな風に君は思うのだろうか?

いや、そんなはずはないさ

乗り込むと
きまって窓側の一番前の席に座って

本を読むでもなく
音楽を聴くでもない

ほんの少し微笑んで
走り去る風景を眺めているんだ

「発車しまーす」

山あいを抜け
田園を抜け
川を渡り
街へ
僕らを乗せたバスは進んでいく
僕らの大切な時間は進んでいく

「わたしバスが好き」

いつか君がつぶやいたセリフ
なんだか嬉しくなって
あぶなくバス停をひとつとばすところだった

でも
なにかあったのかい?
今日はなんだか落ち着かないみたい
大好きな景色もうわの空なんだね

プシュー
シュッシュー

短い旅の終わり

バス停に着くと
すぐにかけだした君

「発車しまーす」

ああ
好きな人ができたんだね
窓越しにふたつの影を見送ると
やがてバスは折り返し地点

つぎのドライブの始まりだ



愛の真実


なあ
君がどんなリアリストだとしたって
信じるしかないんだぜ?

科学か非科学か
テレパシーかシンパシーか
分からないけど

愛は現実

オカルトなんかじゃない
疑うなんて愚かなことさ

これこそ真実の愛!
だなんて
言わないけれど

ほら
僕を見る君の瞳
まだ気づかぬふりをつづけるのかい?

いずれにしたって

愛は現実

信じるしかないのさ




Deep Room


深い夜
君がかじったリンゴ
ベッドサイドに転がって
赤い色をにじませた

飲み干せなかったワイン
こぼれるままに
部屋中に満ちていく
甘い香り

吸いながら
吐き出しながら

収縮していく部屋の真ん中で
君は部屋の四隅にまで
その手足ををとどかせようと
あがいた

僕の名前を呼んでいるのかい?
とても聞きとりにくいんだ
明日ではだめかい?
とてもとても眠いんだ

満ちる月の下で
沈んでいく夜
音の消えた街中を
問いかけは
永遠に
ぐるぐるとかけまわった



恋人達の理由


ありがとう僕の恋人達
通りすぎてしまった
あの日
僕は君を形作るに十分だったかい?
僕の手はもうとどかないけれど
役割を果たせただろうか?
それとも
もうとっくに忘れてしまったかい?
幾度も交わした言葉のない想いも
すっかり忘れてしまったのだろうか
そして
僕もそうした方がよいだろうか?
君が望むなら
僕は今でもそこへ行けるのに
きっと君は望みはしないんだろうなあ

ありがとう僕の恋人達
今でも僕を形作る
僕の恋人達
君が望むとしても
僕は忘れられそうにないや




月光


月光
神秘なる夜の頂(いただき)

どうか
還れますように
運命のつぶやき

愛されるようには愛せないから
求めるようには求められないから

 影へ影へと逃げていく

月光
冷涼なる夜の理(ことわり)

いつか
出逢えますように
いつか
めぐり逢えますように

ときには目をとじたまた

月光

君を見てる




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