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敵も味方もhost

ラテン語で「hospes」という単語がありますが、「客」という意味です。

この言葉から「host」という単語が派生しました。英語の語尾「~st」「~t」は人を表しますので、これは客をもてなす人、ホスト、主人、という意味です。(「~st」のつく言葉:egoist(利己主義者)、artist(芸術家)、astronaut(宇宙飛行士))

昭和のころ、「ホステス」という言葉が流行りました。バーやスナックで接客する女性のことですが、これは「host」の女性形「hostess」から来ています。もとはアメリカから来た言葉ですが、アメリカではウーマンリブ運動により、「hostess」という女性名詞を使うのは差別だ、ということで使われなくなりました。そのせいか、日本でも今では使われることが少なくなりました。

また「hospes」からは「hospital」が生まれましたが、これは元々「客をもてなすところ」つまり「宿泊所」でした。中世では巡礼が流行しましたが、巡礼者の宿泊所が「hospital」と呼ばれたのです。そしてそのような宿泊所では、長旅で病いやケガに苦しむ人が長逗留するのが常でしたから、16世紀のころから、hospitalは「病院」という意味に変わっていくのです。

ちなみに「hospice」も同根の言葉で、やはり元来は「宿泊所」の意味でしたが、こちらは「宗教団体の慈善宿泊所」というニュアンスが強く出て、やがて「貧困者の宿泊所」から、「末期患者が死を迎えるための宿泊所」と、その意味が変化していきました。

ところで「host」と似た言葉に「hostile(敵対的)」がありますが、「host」とは全く逆の意味を持っています。同じ語根「host-」を持っているのに、これはどうしたことでしょうか。

実は「hostile」のほうは「hospes」でなく、「hostem」が語源です。これもラテン語ですが、その意味は「軍隊」です。これから「hostile(「敵対的)」という単語が派生したわけです。

よくある間違いですが、「host」の名詞形を「hostility」とする人がいますが、これは全く逆の「敵意」「反感」の意味です。「hostility」は「hostile」の名詞形で、「host」の名詞形は「hospitality(もてなし、歓待)」です。誤解しやすい単語ですので、語源で分けて覚えましょう。

最後に出てきた言葉をまとめてみましょう。ラテン語は忘れても構いませんが、右側の英単語は頻出ですので、覚えて起きましょう。

hospes(ラテン語。客) → host(主人)
             → hospital(病院)、hospice(ホスピス)
                                            ↓
               hospitality(もてなし)

hostem(ラテン語。軍隊)→ hostile(敵対的)、hostility(敵意)



練習
1)英単語を読んで、当てはまる日本語を書いてください。
英語 日本語            
host        [         ]
hospital   [         ]
hospice   [         ]
hospitality [         ]
hostile     [         ]
hostility   [         ]

2)日本語を読んで、当てはまる英単語を書いてください。
英語 日本語          
[          ] 主人
[          ] 病院
[          ] ホスピス
[          ] もてなし
[          ] 敵対的
[          ] 敵意

3)英訳しなさい。
この宿ではもてなしの心を大事にしています。
[                                                                      ]

敵対勢力が病院を襲って占領した。
[                                                                                                                                                                                  ]

Possible Answers
[ We hold the spirit of hospitality in high (in our inn). ] 高く評価する、重んじるのニュアンス。
[ A hostile force took a hospital by assault. ]

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塩は給料だった

「salt」はご存知のように「塩」です。

塩は古来貴重な資源で、アメリカには冬季オリンピックの開かれた「Salt Lake City(ソルトレークシティ)」がありますし、オーストリアには音楽の都「Salzburg(ザルツブルグ)」がありますが、ともに塩の産地です。前者は巨大な塩湖、後者は岩塩がちかくにあります。(ドイツ語ではありますが、salz = salt, burg = cityのことで、Salsburg = Salt Cityとなります)

塩は貴重でしたから、古代ローマにおいては、兵士の給料は塩で払われていました。日本の武士は米で払われていたのと似ていますね。

そこから給料のことを「salary」というようになりました。日本ではこれに「man」をつけて「salary-man(月給取り)」という言葉を作りましたが、これはほとんど和製英語です。英語圏では「business man」という言葉が一般的です。

ところで塩味を効かせるものには「sauceソース」や「saladサラダ」、「salamiサラミ」がありますが、これらは「salt」から派生した単語です。「sauce」の語源はラテン語の「sal 塩」ですが、これはスペイン語に入って「salsa」になりました。ですから「salsa sauce」は「ソース・ソース」となって本当はおかしいわけです。

ちなみにソースの利いた料理は刺激的ですが、同じように刺激的なダンスのことを「salsa」と呼ぶようになりました。サルサダンスの由来です。

sealt(古英語)→ salt
sal(ラテン語)→ salary, sauce, salad, salami, salsa

厳密には古英語とラテン語とでは塩を表す単語は違うのですが、両方とも似た形をしています。これは「塩」が極めてふるい単語で、それが作られたのは、英語もラテン語もまで分かれていなかった時代だったことを示唆しています。


練習
1)英単語を読んで、当てはまる日本語を書いてください。
英語 日本語            
salt       [         ]
salary   [         ]
sauce   [         ]
salad    [         ]
salami   [         ]
salsa     [         ]

2)日本語を読んで、当てはまる英単語を書いてください。
英語 日本語          
[          ] 塩
[          ] 給料
[          ] ソース
[          ] サラダ
[          ] サラミ
[          ] サルサ

3)英訳しなさい。
古代ローマでは兵士は塩で給料を支払われた。


サラダにソースをかけて食べるとおいしい。


Possible Answers
[ Soldiers got paid salary with salt in ancient Rome.]
[ It is delicious to have a salad with sauce on it. ]

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「罰金」は「良い」?

「fine」は、学校で一番最初に習う英単語の一つですが、意外なほどその意味空間はひろがりを持っています。

おそらく皆さんは「I'm fine」や「It is fine today」のフレーズを知っていると思いますが、この「fine」は「良い」とい意味です。「fine」はラテン語の「finis(終わり、限界)」から来た言葉で、改善に改善を重ねた終わり、限界、ということから「素晴らしい」「見事な」「上品な」という意味になりました。

似た言葉に「good」がありますが、こちらは「適切な」が原義です。ために「I'm fine(私は気分がすばらしく良い)」とは言いますが、「I'm good(私は適切だ)」とは言わないのです。また「good cat」というと「(ネズミを捕まえるなどで)使える良い猫だ」というニュアンスがありますが、「fine cat」だと「(毛皮などが)素晴らしく上品な猫」ということになります。

もちろん現在、とくにアメリカ英語では「good」と「fine」の使い分けは不明確な場合もあるし、「good」は善良な、という意味もあったりするのですが、「good」はある目的に合う良さ、「fine」は美的な良さ、を意味するという基本義は抑えておきたいところです。英語力の向上には、こうした単語の使い分けが重要だからです。

さて「fine」は改善の限界だ、と言いましたが、限りなく細かくしていった限界「繊細な」「細かい」もまた、「fine」といいます。ですから「fine textile」というと「すばらしい織物」のほかに、「繊細な織物」という意味もあることになります。折り目が細かい織物は上等なのが常ですから、この場合は問題ありません。

しかし「you are a fine man」と言われたら注意が必要です。「君は上品だ」と言われたのか、はたまた「細かい男だ」と揶揄されたのかは、文脈から判断しなければなりません。

ところで「fine」には「罰金」という意味もありますが、これもやはり「finis」が語源です。「finis」は「終わり」ですが、何の終わりかというと「裁判」の終わりです。裁判の終わりには罰金を払うことになるので、「fine」は罰金の意味になったのです。

finis(ラテン語。限界、終わり) → fine(すばらしい、細かい、罰金)




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