目次
# 051 ・ 「雨期・ウキウキな季節」
# 052 ・ 「自然のフィルター」
# 053 ・ 「何というブルジョア」
# 054 ・ 「大切な人的環境」
# 055 ・ 「娘の留学」
# 056 ・ 「ホームページ」
# 057 ・ 「家の中て焚き」
# 058 ・ 「冬のお休み」
# 059 ・ 「男子厨房に立つ」
# 060 ・ 「本の置き場所」
# 061 ・ 「鼻のかみかた」
# 062 ・ 「余計なプレッシャー」
# 063 ・ 「ゴム長靴」
# 064 ・ 「笑顔」
# 065 ・ 「虫、虫、毛虫」
# 066 ・ 「二住人格」
# 067 ・ 「もう一つの週末」
# 068 ・ 「青大将」
# 069 ・ 「我かカリスマ美容院」
# 070 ・ 「息子と2人て宅庵」
# 071 ・ 「息子の苦悩」
# 072 ・ 「安普請な寝室」
# 073 ・ 「春の散歩」
# 074 ・ 「ゴールデンウィーク」
# 075 ・ 「男の子は難しい」
# 076 ・ 「自然の呼吸、風」
# 077 ・ 「立派な人間に」
# 078 ・ 「反抗期 ?」
# 079 ・ 「10年かかった」
# 080 ・ 「山の美容院」
# 081 ・ 「家族旅行」
# 082 ・ 「あけまして」
# 083 ・ 「温泉行こうか」
# 84. ・「ふくみ会」
# 85. ・「あっ、Mさん?」
# 86. ・ 「息子、15才の誕生日」
#87. ・ 「土地付き山荘¥100万
# 88. ・ 「八千穂の町村合併」
# 89. 「優雅な夏休み」
# 90. ・「賃貸派がいい」
# 91. 「夏の子供」
# 92. 「風呂場での読書」
# 93. ・「ブス、メリ、ガツン」
# 94. 「お歳暮・お年賀」
# 95. 「カウボーイ・ブーツ」
# 96. 「やっはり二住生活?」
# 97. 「そろそろ歳か?」
# 98. 「人生の最後尾」
# 99. 「空気か美味い」
# 100. 「夫婦別床」
奥付
奥付

閉じる


試し読みできます

# 051 ・ 「雨期・ウキウキな季節」




 宅庵(私の山の家・長野県八千穂村)にいて終日雨と言う日はそれなりにおつなもんで、私は大好きだ。かなりなスポーツ音痴で、決してアウトドアー派ではない私は、家にいてコンピュータや鉛筆と遊んだり、パイプ片手に音楽聴いたり活字を追う方を好む。

 居間にいて、テラスに続く大きな掃き出しの窓を全開にすれば、テラスを濡らす雨が木々の間を埋める幻想の白い靄(もや)の中に静けさを感じさせる。子供たちも、こういう日はおとなしくていい。自然と身体が机や本に向く。東京の鉄筋コンクリート3LDK賃貸マンションには期待できない環境があり、狂気の時間や空間から解放される静寂を実感できる。

 田舎に別荘や山荘を持とうとする人たちにインドア・タイプの人たちが多いと言う話をすると、殆どの人は意外な表情を見せる。4輪駆動車を好み、休みの度に家族を乗せてどこぞに出かける元気のいい若いお父さんは、山荘を持ちたいとは思っても実行に移す方は少ない。結局1つ所にじっとしていられないからだと思う。

 その点、家に籠もって趣味の世界にしたりたいと思う人や、机に向かうのが好きな人は、東京の狭い住まいに多くの不満を持ち、もう一つの自分の世界を持ちたがる。山の中に木造の小さな山荘を夢見る方が多い。私もどちらかというと、そんなタイプ。

 多くの人が嫌う梅雨時を密かに楽しみにしている。霧深い八ヶ岳の山麓で、しとしと雨の中、東京では先ず味わえない静かな時間がゆっくりと流れて行く。




試し読みできます

# 052 ・ 「自然のフィルター」




 毛虫がチョロチョロでてきて、クモが上から下りてきて、森が冬の眠りから覚める気配を感じたのも付かぬ間、暑っいすね~~の夏間近ではある。

 先日、宅庵(私の山の家・長野県八千穂村)に一人で居ると静かなせいか何なのか、空気の清涼感を感じた。宅庵を訪ねてくる友人知人の多くが空気のきれいさに感激してくれるのだが、私自信は実感として感じたことはなかた。我が宅庵に来て誉める事がないので、取りあえず空気のことでも誉めておくか、くらいなんだろうと穿った気持ちで聞いていた。空気の美味しさなんて、ホントに感じるのか、疑問があった。

 先日、夏を前にして私の事務所のエアコンをクリーニングをした。その時、洗浄したさいに出てくる焦茶色に変色した液体を目にして、プロの清掃屋さんにタバコのせいか否かを尋ねたところ、車の排気ガスに含まれるカーボンの色がほとんどだという。都心に生活していれば、タバコなど気にするよりも、それ以前に車の排ガスで空気は汚れていている、との説明だった。

 エアコンなど必要としない宅庵では、自然の気温の中で生活することが多い。夏の暑さや湿度などは、周辺に生えている木々がフィルターになって人に優しい環境を作りだしている。換気や通風にしても、緑の間を流れてきた風は人肌に心地よい。

 排ガスに汚れたエアコンのフィルターよりも、森の木々のフィルターの方がいいに決まってる事にやっと気付いた。だから、宅庵で吸うタバコやパイプも一段と美味しく感じるのだ。





試し読みできます

# 053 ・ 「何というブルジョア」




 週末の別荘に帰って、居間でロッキング・チェアーに座り、静かにゆっくりパイプを吹かす。なんというブルジョア的嫌らしさだろう。最悪だ。だけど文字に書けば、こう言うことになっちゃうな~、などと思いながらパイプは手放せなくなってしまった。

 私の「お別荘・宅庵(長野県八千穂村)」は築23年でオンボロ。延べ床面積は50坪を越えて大きいのだが、13年前に築10年の中古山荘を手に入れ、大工を入れて少々改装した。そろそろ色々なところにガタが出始め、最近の木造住宅の寿命30年に近づいている。

 設備機器や防水の寿命は15年前後と言われ、既にかなり老朽化している。トイレの配管などは山荘を譲り受けたときに若干の手直しをしているが、又漏れだしている。床下に取り付けた断熱材のグラスウールなどはとうの昔に水を吸ってダメになっている筈だが、建築家と言えども自ら手直しするほどまめではない。

 屋根のアスファルト・ルーフィングが一部はがれ、雨漏りは時間の問題だ。ベランダの木板が腐り始めている。一年おきに防虫防腐剤を塗ってはいたが、10年を越えて雨や風雪に耐え頑張ってきた。落っこちる心配はないが、足で踏むと腐っててふかふか状態なところが数カ所ある。

 吹き抜けの天井近くの梁には埃が溜まり、クモの巣にもゴミがくっついている。台所の設備も実に貧しい。普段描いている図面のモノとは大違い。

 壊れそうなベランダで、頂いた椅子に腰掛けパイプを燻らせながら思うことは先立つものの算段である。






試し読みできます

# 054 ・ 「大切な人的環境」




 先日、八千穂村の公民館から連絡が入り、村民に向けての月刊「八千穂公民館報」にエッセイをお願いしたいと依頼を受けた。長野県の八千穂別荘地にセカンド・ハウスを持って13年になるが、村民との交流は殆どない。近くのリンゴ農園に、収穫の時期にお邪魔してリンゴをもぎ取らせてもらう程度のことしかない。多くの村の方たちと親しくなって楽しい八千穂での生活を期待してはいるものの、なかなかいい機会が得られないでいた。

 定年退職後に都市の住まいを引き払って田舎に移住する事を考えていらっしゃる方は多い。都会の生活に疲れて一日も早く自然豊かな田舎に生活したいと思う気持ちも分からないわけではないが、大切にすべきは自然環境よりも人的環境だと思っている。週末にしか帰らない宅庵(私の山の家)にいて、別荘地内の限られた方たちとならいざ知らず、近隣農家の方々との間に人的ネットワークを作るのは難しい。

 ちょうどいい機会なので、別荘地住民の一人として、別荘地住民と村民との接点を提案した。実は、別荘地には人知れず有名、著名な方がいる。専門に特化した尊敬すべき方々もいらっしゃる。東京でのハードなオンの生活から逃れて、八千穂で密かにオフの生活を楽しんでらっしゃる。その様な方々にとっては田舎での面倒な人付き合いは敬遠ものかも知れないが、たまには村人に顔を出してもいいのではないかとも思う。

 心おきなく付きあえる友人は一朝一夕にはできない。将来の宅庵での生活を考える時、親しい村人がいて欲しいモノだと思う。




試し読みできます

# 055 ・ 「娘の留学」



 「やりたいことが決まってないなら、大学に行く必要なんかないじゃん。一度就職してさー、自分は何がやりたいのか見えてきたところで大学行っても遅くないと思うよ」。1年以上前の春先、娘が高校3年生になったばかりの頃、たまたま2人だけで宅庵(私の山の家・長野県八千穂村)にいて、今後の進路についての話が持ち上がった。2人で過ごす怠惰な週末で、外のテラスに敷いた布団の上で交わした会話ではある。

 普段、娘と顔を合わせる機会の少ない私で、息子(12才)が野球の試合でワイフと一緒に東京に残ることとなると、嬉しいかな娘と2人だけの週末を宅庵で過ごすことになったりする。で、その後大学受験については話をすることがなかったので、私はスチュワーデスにでもさせるか、などと呑気にしていたら、「大学、行かなくていいなんて言うのは、パパだけだよ」と不安になったのか、自分で勝手に学校を決め、入学も決めてしまった。私には良く分からない「コミュニケーション」を学ぶ学部に行くのだという。

 先日の夏休みが終わる前、息子が一人、家族と離れて夏のキャンプに参加していた頃、私とワイフ、娘の3人だけの週末を宅庵で過ごした。娘もそろそろ19才でいつになく大人の会話となった。彼女が目指しているモノは何か、将来の夢や学校生活、それにかかる費用や奨学金などについて聞いた。

 既に、ウチの娘は日本にいない。9月から一人、我々の目の届かない所、米国の大学で学んでいる。ったく、少しは学費を稼ぐ身になって欲しい。






試し読みはここまでです。続きは購入後にお読みいただけます。

この本は有料です。閲覧するには購入する必要があります。
購入するにはしてください。
有料本の購入に関しては、こちらのマニュアルをご確認ください。
販売価格150円(税込)

読者登録

MATSUDA Tomato さんの更新情報・新作情報をメールで受取りますか?(読者登録について