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魔術師の夜

 乙女の柔肌のように煌めき吸い付く  月光が照らす場所

 そこで私は  術を詠う 粉を振るう

 

 蒼の光と  濃藍の闇に彩られた  静寂

 騒がしき太陽が司る時間は過ぎ  在るのはただ  静寂

 

 月光石も仄かに輝けば

 もう  完成する

 

 我が手より  生まれし精霊が

 今  薄青の鱗粉を花弁のごとく舞わせ

 

 月へ向かう

 

 伝えてくれ

 

 私はまだそちらへ赴くことは  叶わぬと

 


奴隷讃美歌

 さあ  働け  奴隷よ

 鞭の風切り音  肉打つものに変わる前に

 

 主の罵声と怒声  入り混じる仲間の悲鳴に急かされて

 夜も明けぬうちから  重労働

 

 夜が更けるまで働かねば  役立たず

 働け  働け  奴隷よ

 

 疲労が病魔を伴い  その身を蝕むまで

 そのか細い腕を精一杯  振るい

 

 空腹に耐え 寒く冷たい寝床で

 その瞳から  苦境に涙しても

 

 それに慣れるな

 いつまでも  その瞳  輝かせてゆけ


True or False ?

  どれが本物?  どれが偽物?

 

 何が真実で  何が虚偽

 

 嘘偽りでないことはそれほど大切?

 

 本物がどんなに人を翻弄し

 真実がどんな風に人を打ち砕くか

 

 本当は

 

 これが真でも  これが偽でも

 どちらでもいいの

 

 存在することだけが  

 

 全て


欲望の答え

 ある人が言った

 君には何でもあげよう

 金でも 服でも  好きなものを

 

 いらないわと女は答えた

 私が欲しいのは「 」なの

 

 ある人が言った

 あたしに何でも頂戴

 地位でも  名誉でも  欲しいものを

 

 あげられないよと男は答えた

 僕が与えられるのは「 」であって

 

 

 「我」 は 「死」

 


疑問

 何故  世界はこうなのですか

 やつれた男が問うた

 

 疲れたその目は何も見ていない

 

 何故  人は考えるのですか

 

 何故  人は得られる以上のものを求めるのですか

 

 何故  一生懸命働いている者よりも

      人を欺き笑う者が利を受けるのですか

 

 何故  人には感情があるのですか

 

 何故  人は人を騙し  傷付け

      挙句に殺してさえしまうのですか

 

 人より  獣の方がずっと高尚だ

 だが  そう考える己もまた人なのだ

 

 男の眼は視線を虚空に投げる

 

 その眼にはもう何も映らない

 

 その眼は白く濁って乾いていた



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