目次
#001 ・ 私も先生
# 002 ・ たらいま~
# 003 ・ 参加賞
# 004 ・ バード・ウォッチング
# 005 ・ 酒鬼薔薇
# 006 ・ 美味しいコーヒー
# 007 ・ 素麺/B.Gyamn
# 008 ・ 村の権威「役仕事」
# 009 ・ 棚造り
# 010 ・ 放し飼い
# 011 ・ 初出勤
# 012 ・ カレー
# 013 ・ 通信今年の予定
# 014 ・ 学習机
# 015 ・ アーミー・ナイフ
# 016 ・ 安らきの風
# 017 ・ 探鳥会
# 018 ・ 女王ムサシ
# 019 ・ フリー・セックス
# 020 ・ 薪造りの後味
# 021 ・ 失敗バナナケーキ
# 022 ・ 炬燵の話
# 023 ・ 恐怖の訪問者
# 024 ・ パパの歯フラシ
# 025 ・ 恐怖のスピート
# 026 ・ パパの有頂天
# 027 ・ 寿命
# 028 ・ 中年性アルツハイマー
# 029 ・ ポッケの中身
# 030 ・ 懐中電灯
# 031 ・ 白菜兄ちゃん
# 032 ・ 草刈りエンジン
# 033 ・ え!またトマト
# 034 ・ 謹賀新世
# 035 ・ ね~、タンスいらない?
# 036 ・ 中古山荘100万円
# 037 ・ 便利で不便なIT革命
# 038 ・ 季節は春
# 039 ・ 裸電球
# 040 ・ 音の話
# 041 ・ ん?パンティーだよ
# 042 ・ メルヘン街道
# 043 ・ 都会の恐怖
# 044 ・ 情けない冒険旅行
# 045 ・ 不健康な健康志向
# 046 ・ そば屋て、まず熱燗
# 047 ・ バナナの話し
# 048 ・ 「中年性健忘症」
# 049 ・ 「ヤマメ、イワナ、鮎」
# 050 ・ 「タンポン」
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#001 ・ 私も先生



いい-mail from 八ヶ岳 #001 ・私も先生



 始めまして。マツダといいます。建築の設計で飯を食ってるモンです。ゼネコンや工務店からは「先生」と呼ばれている仕事です。一応、ゼノコンやその下請業者は、自分たちがやった仕事に対して、設計者から OK を貰う立場なもんで、相手のご機嫌を損ねてはまずい関係上、先生と呼んでご機嫌を取っています。先生の名前をうろ覚えで、間違えて呼んだ時のばつの悪さを避けると言う実利的な便利さもあるかとおもいます。いずれにしろその程度の先生です。で、本物の先生方がお読みのチョー真面目な雑誌に「ゆとり、ふれあいをメインテーマに、『ほっと一息』つける楽しい読み物を」との編集部からのご依頼で、マツダ先生の登場です。

 タイトルにあるように八ヶ岳からの e-mail です。週末の住まいを八ヶ岳に持っています。週日は東京に小さな3LDKを借りて、家族四人(長女一四才、長男八才、ワイフ?才、私四八才)で住んでいます。「週末の住まい? 建築屋ってそんなに儲かるんか?」などと思っていただいても、・・・結構ですが、実はそうでもありません。都市の住まいに求めるモノは経済活動や勉強の場と割り切って、都市での生活を削ぎ落とし、田舎との二住生活を実現しました。車を持てるくらいの経済力で十分成立する、ハチャメチャな二住生活の断片を次回からご紹介します。

 「親があっても子は育つ」状態の我が家。アウト・ドアーに興味のない私がコンピュータと遊んでいる今、連中はスキーに出かけています。私は、これから、お夕飯の用意です。




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# 002 ・ たらいま~



いい-mail from 八ヶ岳 # 002 ・ たらいま~



「たらいまー」。っと~、連中がスキーから帰ってきた。目の廻りだけをサングラスで白く残した、パンダ状態のスキー焼け。下のチビ(長男8才)は二才の時には既に、スキーの板を履いていた。そんなチビを、先日、スキーの大会に出場させようと誘い出した。「カナディアン・カップだってさー。やってみるか?」の問いに対し「うん、出たい出たい」とのことだったので、気楽に回転、小学生の部にエントリーした。

 当日の朝、クラブ・ハウスには老若男女の強者達がスタート時間を待っていた。見れば、身体にぴったりのレーシング・スーツをウエアーの下に着込んでいる。場慣れした数人の子供達の集団がいた。かなり着古して、くたびれたウエアーに傷だらけのヘルメット。一見して、ゲレンデ・スキーを遊んでいるウチのチビとは違うお兄ちゃん達。何だか凄そう。ウチのチビはあの連中と競い合うのだ。気合いの入ったお父さんに連れられ、各地の大会を転戦しているのか!?

 「お勉強」しかできないような子供には育って欲しくないと思っているだけの、言ってみれば放任主義の私(ワイフは必ずしもそうではない)。穿った見方かも知れないが、「お受験」に向けて全身全霊を傾ける教育ママの日常と重なる光景がそこにあったように感じ、正直、あまりいい印象は受けなかった。 鍛えられてる5、6年生に混じって、ウチの2年生が滑る。

 「よーし、頑張ってこい。じゃーな」「うん」。ワイフに連れられて、リフトでスキー場のテッペンに向かったのであります。結果は次回。乞うご期待。





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# 003 ・ 参加賞



いい-mail from 八ヶ岳 # 003 ・ 参加賞




 「冗談じゃないわよ。あんな急斜面、あたし二度と滑りたくないわ。」
クラブ・ハウスでのんびりしてた所に、ワイフとチビが「キャナディアン・カップ」一回目の滑走を終えて帰ってきた。競技前にコース確認のため小学生は親と一緒に滑り降ろされたとのこと。「あんな危険なコース子供に滑らせていいのかしら」とワイフは少々困惑とご立腹。

 「まーまー、いいから。で、結果は?」「スピードですぎちゃって、ゴール寸前、コース外の雪ん中につこんじゃったのよ。で、板が外れちゃって、直ぐ履いて又滑り始めたんだけど、もーだめよねー。残念だったわ。」 チビ、顔をしかめて、曰く「ころんじゃったー」。かなり残念そうな表情を見せた。

 「スタート地点に行ったら、いきなり、みんなワックスがけ始めちゃうんだモン。オサム(チビ)なんか『なんでみんなピチピチの服着てるの?』なんて言うレベルじゃない。勝ち目なんかないわよ。親の方だってみんなやる気十分だし、レベルが違うわよ。」

 持ってきたおむすびとカップラーメンをすすりながら、次ぎの滑走に意欲を見せるチビだったが、一回目コース・アウトした選手は二回目は滑れないというこの日ルールで、出走権、なし。

 いろんな物が入った参加賞の袋を受け取り、中に巨大な金メダルのチョコレートを見付け、「ワォーー!」。チビと私の大きな歓声がクラブ・ハウスに響いて、今シーズンのスキーも終了。春はバード・ウオッチングから始まります。





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# 004 ・ バード・ウォッチング



いい-mail from 八ヶ岳 # 004 ・ バード・ウォッチング



 朝っぱらから、ベランダで昼寝をしていると、「○○さ~ん、バード・ウォッチング、やりましょう。」と近所に休日の住まいを持つ、生物の先生、坂田(仮名)さん。この方、生物の世界ではかなり著名な方、らしいのだが、失礼にも私は気楽にお付き合いさせていただいている。丸顔に白髪混じりの髭を蓄え優しく笑い、人にも自然にも、私のようにがさつな人間にも、ものすごく優しい方。八ヶ岳の自然を愛し、動植物を愛し、人々とのコミュニケーションを大切にして下さる。

 で、○○○通信(私が隔月ごとに、近隣の休日住民約百二十世帯に向けて発行している)に案内を載せ、参加者を募り、去年からスタートしている。第一回目には八ヶ岳のEarly birds (早起きの人達)三十人程が参加し、みんなで双眼鏡など片手に、早朝、のんびりと別荘地の林の中を歩き、一時間ちょっとで、十九種の鳥を見た。

 鳥について何も知らない私は、鳥達が木のテッペンで鳴くことに少なからず驚いた。坂田先生や一緒に参加いただいた日本野鳥の会の方達から、小鳥達はそこで自分のテリトリーを主張しているのだ、とお教えいただき、なお一層の驚きだった。

 優しく可愛げに鳴く鳥達の世界にも、生存競争や自然の掟があり、それなりに厳しい世界を生きているのだと今更ながら野生生物界の一面を見た思いがした。

「前回は、朝七時集合で、かなり強烈な蝉時雨(せみしぐれ)だったので、今回は六時集合にしましょう。」とのこと。

 鳥好きな人って、何でこう早起きなんだろう。






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# 005 ・ 酒鬼薔薇




 夏休みだ~! 長期の休みには、東京の兎小屋3LDKを逃げだし、家族は皆、宅庵で過ごす。(私は仕事があるので、週末のみ電車で帰る。) 去年は、宅庵にアメリカ人の坊やが、ホームステイに来た。長女と同い年、十四才の中学生が一ヶ月近く宅庵で家族と夏の生活を共にした。

 山の家でこそ可能なことで、東京の3LDKではとても無理な話だ。援助交際、バタフライ・ナイフ、金属バット、酒鬼薔薇聖斗とメディアお騒がせのティーンズを二人抱え、刺激的な夏であった。折しも酒鬼薔薇が十四才の少年だったことに世間が騒いでいた時期。坊やは「理由はどうあれ、十四才でも死刑」、娘は「極刑には値するが十四才に死刑は賛成できない」というような会話もあった。

 二人とも口数は少ないが、私、ワイフを交えて、真剣に話をした。十四年間生きてきている二人の生活環境や親の躾、学校での教育などなど宅庵での生活の中で、日米の比較を通し、多くのことが見えたような気がした。今日の子供社会が陥っている尋常でない事態は、日本もアメリカも大差ない。ウチの十四才だって、いつ何をしでかすか分からない。

 毛色の変わった若き異邦人を宅庵に迎え、生活し、現代都市の3LDKには、社会の最小単位である「家族」に相応しい設えやスペース、コミュニケーションは期待できないことも再確認もした。

 都市住宅のあり方の解答がないままに兎小屋が作られているが、異常ともいえる現代日本社会を作り出している一因は、その都市の住まいにもある、と私は思っている。






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