| 作者 | じのん | 状態 | 完成 | ||
|---|---|---|---|---|---|
| カテゴリー | 小説・ノンフィクション (ミステリー, 恋愛) | 価格 | 無料 | ページ数 | 71ページ (Web閲覧) 285ページ (PDF) |
| タグ |
虐待殺人中学生高校生美少女ハーフ暴力 |
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幼い頃、事故によって父を殺してしまった大雅と母に捨てられ、性的虐待を受けながら育った菜々子の物語です。
* 一部性的描写があります。ご注意ください。
** 原稿用紙で 740 枚ほどの長さです。
*** http://jinon.jp/ で配っているデータの方が最新です。物語は同じですが、こちらは誤字脱字などの修正がなされていない場合があります。
--------------------
【重要】
2011/12/3 大きな改訂を行いました。そのため、PDFなどでお読みの場合は差し替えていただけるようお願いいたします。
【さらに重要】
上記の作業によって epub ファイルが「抜けが多い状態」であることが分かりました。特にとても重要な一節が反映されていません。epubファイルはご利用しないでください。できれば、http://jinon.jp/ から縦書きのPDFなどをダウンロードしてください。
後ほど epubファイルを生成し、自分のサイトにアップしたいと思いますので、それまでお待ちください。
* 一部性的描写があります。ご注意ください。
** 原稿用紙で 740 枚ほどの長さです。
*** http://jinon.jp/ で配っているデータの方が最新です。物語は同じですが、こちらは誤字脱字などの修正がなされていない場合があります。
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【重要】
2011/12/3 大きな改訂を行いました。そのため、PDFなどでお読みの場合は差し替えていただけるようお願いいたします。
【さらに重要】
上記の作業によって epub ファイルが「抜けが多い状態」であることが分かりました。特にとても重要な一節が反映されていません。epubファイルはご利用しないでください。できれば、http://jinon.jp/ から縦書きのPDFなどをダウンロードしてください。
後ほど epubファイルを生成し、自分のサイトにアップしたいと思いますので、それまでお待ちください。
縦書き PDF ファイル入手方法について
作者のウェブサイト http://jinon.jp から、
「縦書きのPDF」
をダウンロードできます。
タイプは以下の3つです。
- Kindle 4 用
- iPhone 用
- プリントアウト用
横書きは嫌だという方、また Kindle やプリントして読みたい方はこちらをダウンロードしてください。
1. 事実
事実
以下は数年前のとあるブログの記事だ。主に時事問題について論評を連ねたまじめなブログだった。今では閉鎖されている。テーマがテーマだけにアクセス数は少なかった。
記事タイトル: 地下鉄での出来事初めに断っておきますが、今日の記事は普段とはまったく異なるタイプのものなので、基本的にスルーしていただいて問題ないです…。内容もおかしな感じで、アップしない方がいいんじゃないかと何度も考えましたが、気持ちの整理をつけたいので書くことにしました。そういった経緯もあり、いつもなら書いてすぐ出すところを何度も書き直しました。もっとも今でも全然落ち着きませんが…。ともあれ一番言いたいことはこれが実際に起きたということです。僕の目の前で起きた事実なのです。何度書き直してもうまく伝えられる自信は持てないのですが、そのことだけは信じてください…。それは先週の土曜日のことです。昼過ぎに僕と妻は一緒に池袋へ向かってました。その途中、都営三田線を利用するんですが、そこである美しい少女を見かけました。小学校四、五年生くらいでしょうか、あれほど整った、気品のある少女は初めて見ました。その子は僕らの目の前に座りました。他には数人座っているだけで立っている人はなく、僕らと彼女を隔てるものは何もありませんでした。そういう状態で彼女はおもむろに足を開きました。下はジーンズではなくスカートです。もっとも、それくらいならしつけができていないんだな、親の顔が見てみたい…、で終わりですが、そうではなくて、彼女は下着をはいていなかったのです! 要するに未成熟な性器を露わにしたのです!言っておきますがスカートをまくるとかではないです。具体的には、膝を立てて肘をついて、まるで何か考え事をするかのように、その動きをとても大きくゆっくりとしたんです。それから足を組み、またすぐに、何というかあからさまに組み替えました…。昔の、僕がまだ高校生くらいでしょうか、「氷の微笑」? という映画のワンシーンを目の当たりにしたようです。彼女はそれからまた足を崩し、だらしなく拡げます。その間、虚ろな目で僕の方を見ています…。僕は彼女から目をそらし、妻を見ました。妻も何というか、ぽかんとしていました。二人とも現実を認めたくないというか、あまりの驚きというか、とにかくある種のパニック状態でした。本当に信じられなかった。その子は明らかにある種の教育を施されていたと思います。というか、こう言ったらなんですが、ある種の演技をしているという感じでした…。もちろん見た瞬間にはそんなこと思いもしなかったし、驚き以外の何者でもなかったんですが…。とにかく今思えば、それは多分彼女にそうさせていた、つまり彼女を性的に虐待しているであろう大人の、吐き気がするような妄想に合わせてつくられたものであり、彼女はそれをただただやらされていたんじゃないかと思います。彼女の表情が何というかエロティックなものではなく、むしろ焦って仕事をこなすような風に見えたからです。そう、今はそんな気がします。それはともあれ、彼女は僕らの反応に満足したのか、すぐに席を立ち、別のところに座りました。そして僕の前でしたのと同じように、しきりと股を開いていました…。前の座席には僕と同じくらい、つまり三十代以上の男性が一人座っていたようです(妻が言っていました)。僕は呆然としていたせいで良く覚えてないし、男性の顔もよく見えませんでした。妻もあまりのことに見てはいなかったようですが、女の子の方は明らかに彼の目を捉えようとしていたと言っています。僕もそんな風に記憶しています…。まるで誰がどんな反応をするのか見る実験をしているといった風情です。いや、企画もののAVビデオ、あるいはSMプレイのようです。そうです、明らかに、この非常に美しいと言っていい女の子を、文字通り調教した男があの状況を見ていたのです! 僕は、彼女が席を移って同じことをしたとき、やっとそう思いつき、彼女が次の駅でサッと、何事もなかったかのようにおりていったとき、そう確信しました…。
この記事に対して「出来の悪いロリコン小説ですね」とか「漫画化希望」といったからかいのコメントがついたが、一方で「地域社会が壊れていて誰もその子のことを助けようとしないからだ」とか「その子は虐待されている、児童相談所に通報して助けないと」などといったさまざまな意見が寄せられた。そしてブログ主はそれらに対して新たに記事を書いた。その一部もここに抜粋しておこう。
これが創作であれば、その方がいいんです。どうしたってあんなことがあってはいけない!! 僕はあのとき無理矢理にでも彼女を保護しなかったことをひどく後悔しています。だってあの子は多分、完全に性的虐待の被害者だからです。まだあんな年なのに、あんなに卑猥な、あんなに異常なことをするなんて、それもなんだか非常に、元記事でも書きましたが、焦っているように見えました…。あれは確実に虐待男に監視されてたに違いないんです。つまりその男が絶対に同じ電車に乗っていたということです! もしあのとき僕が動いていたら、そいつを捕まえることもできたかもしれないんです! 僕はまだ後悔し続けそうです。いつも偉そうなことを書いておいてこういうときに傍観してたなんて…。いくつかコメントがありましたが、そうですね、今後のためにも明日にでも児童相談所に行ってみます。お騒がせしました。
これ以降、事件の影響か分からないが、ブログに掲載される記事の論調は大きく変わった。妙に感情的な内容が増え、更新頻度が減り、どちらかというと攻撃的な文章が増えていった。そしてしばらくしてブログ自体が閉鎖された。
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もう一つ、十年ほど前に全国的な新聞にも載り、テレビでも取り上げられたニュースを紹介しよう。これは前者のブログ記事とは異なり、特に変態的なところはない。ただ内容が特殊だったため、多くの人の記憶に残っているかもしれない。
横須賀市のアパートで発砲事件・男性死亡27日午後2時ごろ、神奈川県横須賀市柄倉町のアパートで拳銃が発砲されたと110番があった。横須賀警察署の署員が駆けつけたところ、ウィリアム・ソーンさん(32)が胸を撃たれ、病院に搬送されたが、出血多量により死亡。同署によると撃ったのは男性の長男(4)。拳銃で遊んでいた息子にウィリアムさんが返すように言った途端、息子が誤って発砲したらしい。横須賀警察署では拳銃の入手経路などを中心に詳しい事情を調べている。
手短に言うと、この事件は以下のような経緯を辿った。
まず事件ではなく事故として扱われ、特に誰も罰せられなかった。また死亡した父親は米軍横須賀基地に勤務しており、無許可で拳銃を携帯していたと判明した。ただしその入手経路などについては米軍内の問題として日本側は追求できずに終わった。そして息子については一時的に児童相談所で保護された。さらに近隣からの情報では家庭には毎日笑い声がたえず、ウィリアム・ソーンはとても親切で優しい父親と評判だったことなども報道された。だが、この悲劇的な事件自体そのものの報道に比すると、これらの後日談や事件の背景は大きな扱いではなく、しばらくするとメディアから姿を消した。
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前者の事件に登場する少女の名は菜々子といい、後者の四歳の息子は大雅という。二人は親戚でもなければ、育った土地も異なり、まだ出会ってさえない。
2. 大雅の海 - 1
大雅の海
大雅はこの春、十五になる。
背は一九〇㎝と学年一高く肩幅も広く、輝くようなチョコレート色の肌に縮れた髪、そして平べったい鼻、つまり流れているのは異人の血。
大雅はその抜きん出た体に比例するように運動神経も抜群だったが、内気でおっとりとした優しい性格でもあった。同じ団地に住む幼なじみの陸の家でマンガを読んだり、パソコン部でプログラミングを勉強したり、母が買ってくれた中古のDSでゲームをするのが好きだった。
そんな性格は小学校低学年からすでにはっきりしていた。例えば陸が餌付けされている野良猫を捕まえたことがある。が、当然猫は言うことを聞かず、自分をつかむ陸に噛みついたりひっかいたりし、陸は思わず猫のしっぽを思い切り強く引っ張った。途端、猫は激しく悲鳴をあげ、大雅が「やめろよぅ!」と叫んで止めに入る。陸は大雅の声に驚いて手を止めるが、すぐに暴れる猫を殴ろうとする。が、大雅がもう一度叫ぶと「くろんぼ!」とか「あふろー!」とか「でくのぼー!」と言って逃げていった。大雅は陸を追わず、飛び退いて全身の毛を逆立てている猫にごめんなごめんなと呟いた。猫は大雅が言い終わるのを待たずに走り去った。
似たようなことはたまに起きた。特に陸が親に叱られて不機嫌な時に。が、大雅は決して陸を責めず、いつも「やめろよぅ」と声をあげるだけだった。
ちなみに同年代の男子で大雅を怖がらないのは陸と同じく団地の幼なじみの悠人くらいだ。だがこの二人も、大雅が本気になったら誰も敵いっこないと思っていた。大雅はその巨体だけでもすごいのにどんなスポーツでも、クラスはもちろん学校でも一番だったから。サッカーも野球もバレーもバスケも大雅にかなう子はいなかった。反射神経もバランス感覚も足の速さも筋力も、すべての面で大雅は周囲とは異なるレベルにいた。
けれど格闘技はまったくダメだった。ダメというのは、たとえば柔道の練習では部員よりうまいのに、試合になると自分から攻められずに相手に一本とらせてしまう。格闘技に限らず人と接触するスポーツも同じだった。サッカーもバスケも人一倍でき、たまに何人も抜いたり、すごいパスを出したりするけど、囲まれて体を使って突破しなければならなくなるとパス以外にはできなくなるのが大雅だった。
そんな大雅だったが、時折妙な落ち着きを見せ、陸が誰かとケンカしそうになって悠人がドキドキしながら意見を求めるように大雅を見上げても、大雅は冷静に成り行きを見守るということがよくあった。ぼんやりしていたり無視したりというわけではなく、じっと近くで当事者を眺めていた。そうして言い合いやつかみ合い程度で終わるときは何もしなかったが、本当の殴り合いになったりどちらかが物をつかんだりすると割って入り、引き離したりした。
そういうことは何度もあって、そのせいか周囲は大雅を年上のように錯覚することがあったし、陸なんかは自分の嘘のほとんどがばれていると思っていたし、どちらかというと個人主義な悠人も大雅にだけは意見を求めた。だから自己主張の強い陸とおとなしい大雅は、やんちゃな弟とそれを守るおっとりした兄のような感じでもあり、そんな二人にクールに意見するけど大切なところは大雅に相談して決めるのが悠人で、それが三人のバランスだった。
*****
大雅が育ったのは関東平野南端に位置する平塚市だ。
平塚市は南に海、東に川が流れ、北には平地がひろがり、西には美しい山並みが連なり、その向こうには厳かな富士山がそびえていた。もう少し詳しく見ていくと駅から南側は屋敷町と港に浜、東の川沿いには工場が建ち並び、北や西には工場が伸びつつも畑や住宅がひろがっている。つまり商品や食べ物をどんどん作っていく工業と農業の街であり、湘南というブランドに付随する洗練されたイメージにはちょっとそぐわない、泥臭い街でもあった。
大雅が暮らす富士見団地はそんな平塚の北の一画にある、周囲を工場と畑、そして住宅に囲まれた華のない区域だ。一歩踏み入れると、三十棟以上もの集合住宅が建ち並び、その中心部には比較的広い公園とエスニックな食材なども取り揃えた商店街があって、いたるところでさまざまな人種の人々が、太陽が沈んでもなお楽しそうに、あるいは深刻そうに話しこんでいる。
そこに大雅の母、伊織が越してきたのはあの事故から三年後、大雅が小学校にあがった年だ。富士見団地を選んだのは安い家賃と伊織が子どもの頃、近くに住んでいたこと以外に理由はない。あえて言えば、外国人が多く住んでいるという噂を聞いていたのも影響したかもしれない。蛇足だが、伊織は夫が亡くなってからの一年半、大雅を両親に預け、酒を浴びるように飲んだり狂ったように働いたりしたが、今は持ち直して生活のため近くの工場でまじめに働いている。
*****
大雅にとって富士見団地は世界そのものだった。
陸や悠人とさび付いた自転車で、隣町や郊外型の店舗が建ち並ぶ花村団地界隈に行くこともあったが、そこはもう別世界で、去年の夏までは一歩踏み入れただけで緊張していた。そんな時はちょっと身構えるように首を縮め、きょろきょろ周囲を見回しながら歩いたものだった。
といって遠出が嫌なわけではなかった。むしろ知らない道を歩くのはわくわくした。だから陸や悠人が誘ってくれるのをいつも待っていたし、遊びに行ってからしばらく経つとボソッと「りくぅ、この前のドンキおもろかったなぁ」などと呟いた。
陸は他のことに夢中になっていると大雅が何を考えて言ったのかこれっぽっちも気づかないが、悠人が新しいトレーディング・カードが入ってるらしいんだ、見に行こうぜ、などと遠回しに誘導すれば気づいて、んじゃ行くか、と立ちあがる。が、虫の居所が悪い時は面倒だという顔をしたり、もっと機嫌が悪いと無理難題を言ったりもした。その一つに、このところ増えてきたが、好きな女の子に告白して来たら行くよというのがあった。
そういう時、大雅は困惑する。これといって好きな女子がいないからだ。もちろんクラスの男子たちがかわいいと言う中村葉月や横山美(み)結(ゆ)は確かにかわいいと思うし、目が合ったら照れるから急いでそらす。が、陸が言うような「エッチ」したい対象には見れないし、みんな自分に比べると小さすぎて触れると壊してしまいそうに思う。
そのせいか、それとも自分の褐色の肌を見、縮れた髪に触れ、潰れた鼻と分厚い唇を撫で、自分の容姿との差を感じるからか、大雅は積極的に女子に関わろうとはしなかった。だから好きな女に告白しろとか誰が好きなのか言えよとか言われても、曖昧な返事しかできなかった。
脇道にそれるが、大雅の父ウィリアムには白人の血が入っていたらしい。その父、つまり大雅の祖父にも、あるいはさらに曾祖父にも、別の人種や様々な民族の血が流れていたようだ。またウィリアムの母、つまり大雅の祖母も純粋な黒人ではないらしい。そういうことを話したあと、伊織はこう言って話を締めくくる。
「あんたには世界中が混じってるんだよ」
世界中。その言葉が時折浮かぶ。実際、大雅は彼自身が思っているほど黒人には見えず、伊織から受け継いだ日本人らしさも色濃く出ていた。だから正確に言えば、黒人でもなければ日本人でもない、どこのどの人種にも属さない人間、それが大雅だった。




