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雲の上を歩いていた!!
雲の上を歩いていた!!
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雲の上を歩いていた!! 

 

 

 

 産毛とバターのような脂肪に覆われた僕の子供が、羊膜を押し破り、羊水の流れに乗って、狭い路地から、この世にグィッと身を伸ばしたとき、ああ、これが天の采配なんだと解ったよ。

 生命って大したものだよ。

 僕はまだあのときの興奮を鎮めることが出来なくて、雲の上を歩いている。

 

 母体のなかで二四〇日、とぐろを巻いていた胎児が、医師の手に導かれて、この世に震えながら姿を現わし、喉の羊水をピペットのようなもので吸引され、始めての呼気とともに、しわがれた挨拶を送ってきた時の喜びを、僕は決して忘れない!! 午前十時二十五分、僕の分身が誕生した。

 女の子、その手足に指が五本ずつついていた。人並であるだけでこんなに嬉しいものだとは思わなかったな。

 

 出産に立ち会ってほしいとメイが言い出した時、僕は何とか逃出したくて、言い逃れを探したくらいだった。

「私は絶対、自然分娩にするわ、まやかしのない産みの痛みを母親である証拠として、体験してみたいの。だから、どんなにわたしが苦しんでも、麻酔や、帝王切開を頼んじゃ嫌よ」


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雲の上を歩いていた!!

 誰もが苦しみを避けたいと考える時代に、メイが何故麻酔を嫌ったのか解らない。僕が出産に立ち会わずにいられなくなったのは、子供の誕生が予定日より一ヵ月半も早くなった為、彼女が死ぬんじゃないかと怖れたからさ。  

心配が杞憂に終り、僕は彼女への感謝で一杯だよ。

 メイ! きみと僕の娘、名前はマリア、五ヵ月考えた名前だ。オチビチャン、パパが行くまで、オッパイに吸いついておいで。

 

 薬品臭の漂う病院の廊下を、行き交う白衣やガウン姿をかわしながら、産婦人科12号室へ。

「トントントン、僕だよ、トントン、僕ですよ。新米のパパですよ」

 自分の言葉に赤面しながら、ドアに手を掛けたままひと呼吸。

 彼女の笑い声が聞こえた。

 ドアを開けると、ベッドの体の膨らみが、枕より上まで連なっていた。

 それで、隠れんぼのつもりなの。

 僕は抱えていた花束ごとメイを抱きしめる、彼女はベッドカバーの下で暖かくふんわりと和らいでいた。

「痛みは取れたかい! 疲れは……」

 

「あれぇ!」

 力を込めると、彼女の体の芯までふにゃふにゃになった。

 血相を変え掛布団を捲り上げる。

 掛け布団と一緒にトップシーツが舞い上がり、ピロケースからはみ出したベージュ色の枕と、棒状に巻いた毛布が、ベットに連結して横たわっていた。

「こりゃ、なんだ! 僕を驚かそうってのかな? 何か面白い趣向でも思いついたか?」

 見回すが、メイの姿はない。掌を滑らせても、ベッドは冷え切っている。こんな悪戯をしてメイは何をしているのだろう? 

 ドアの影から、廊下、売店、外来、洗面所……、走り回っても何処にもいない。


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雲の上を歩いていた!!

 屋上に駆け上がった。そこにも白茶けたコンクリートの無愛想で荒々しい肌が、僕の傷ついて弱々しくなっている心を逆撫でする。

 

 検査や処置があって、レントゲンや心電図をとっている可能性もあるな。僕が病室を出るのと、彼女が帰るのと行き違いになったのかもしれない。そうだ、そんなところさ!

 病室に舞い戻る。

 無人! 

 ロッカーを開けて見た。

 大型バッグが一個あるだけ、彼女の着替えや靴は見あたらない。

 バッグの中には新生児の着替えの他に編物の本と毛糸玉、白い毛糸玉に編み棒が突きささり、中から紙片がはみ出していた。

 ……何じゃ、これ?

 毛糸玉を手にとり、玉の中心から出ている糸を引っ張ると、縺れの中から、折りたたんだ封筒が出て来た。

 ブルーの小型封筒、シャープペンシルの掠れた文字、「ケン様へ」と書かれている。

 こんな仕掛けするなんて、メイも何考えてんだか? へんなやつ。

 ―――ケン様 突然のことで、びっくりしないで下さい。今まで、黙って来ましたが、私はここ一年近く、記憶を喪失していました。過去を失っていたんです。

 でも、神様はなんという悪戯をなさるのでしょう。

 出産の地獄のような苦しみの中で、失っていた記憶が、徐々に甦って来たのですから。うっすらと、次第に悪夢のように。

 漸く産み終えて、目を開いた時、貴方の顔が、全くの、赤の他人のお顔に見え、恥ずかしさで、もう、胸が潰れる思いでした。

 だって、私には夫がいます。いるんです。


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雲の上を歩いていた!!

 記憶が戻っても尚、貴方の愛情を信じて白状致しますが、私は、殺人を犯して警察に追われている身です。ですから、私を探さないで下さい。

 赤ちゃんのこと、お願いします!!―――――――

 くしゃくしゃになったブルーの紙の皺を伸ばし、狐につままれた思いで、文面を見つめた。

 何度も、何度も……。まさか? そんなことが、あってたまるか!!

 肩下がりの左手で書く文字は、筆圧が低くて弱々しく、間違いなく僕の知っている彼女の文字だ。

 殺人犯だって? なんという悪戯! 僕をこんなことで、担ぐ気なんだ? でも、何故そこまでして………? で、何が残る?

 笑っちゃうよ、まったく。

 記憶喪失だって? メイの言葉は豊富だったし、思慮深かったじゃないか。思考は言葉でするし、言葉は思考そのものじゃないか。

 ……ただちょっと……気になるのは……出産の時、僕は彼女の手を握っているしかなかったのだが……、あれは、確か強い陣痛の来たときだった。メイは突如、乱暴に僕の手を払い除け、分娩台の柵に掴まった。

 先生がそうするように合図したのかと思ったが、あの瞬間だったのかもしれない、記憶が甦ったのだとすれば……。

 

 出産直後のメイは蒼ざめて、何も言わずに黙っていたが、表情は和らいで美しかった。

 あの軟らかな細い手で、あの優しい心で、殺人なんか出来るもんか。冗談は休み休み言って貰いたいな。嘘だろう!!

 

「心の中は満ち足りているのに、何処かにぽっかり空洞があるみたい!」などと、言っていたことは、確かにあったな。

 あんなとき、妊娠して食欲旺盛になっていたから、食べ物を要求しているんだとばかり思って、スーパーに走ったものだったが……。



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