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3.1.登録キットの到着

 通常なら1 週間以内にRedSave.com からエアメールが届きます。中には登録用紙や証明書の印刷用紙などの他に、シーランド公国の位置や歴史が記された「Official Documents」も入っています。

 必要な手順は「How to complete the Personalisation Of your Sealand Individual Noble Title Certificate」という小さめのピラ紙に記してあります。

 上記の説明書によると、貴族の証明書をゲットするには3 つ方法があります。

 一つは今回説明するインターネット上のサイトを利用して自分で印刷する方法。無料です。

 二つめはオプション料金を払って印刷されたものを向こうから郵送してもらう方法。必要な料金は£4.99 です。

 最後は、オプション料金を払って印刷したものを額縁に入れてもらって郵送してもらう方法。額の代金込みで£12.99 です。どんな額かは知りませんが、机の上に置くのも壁掛けも可能とのこと。

 とりあえず、1 つめの選択肢を前提に手順を説明しますが、せっかくなのでちゃんとした物が欲しい方は他のオプションを選択するのもアリです。

5.1.敬称・表記

 シーランドの爵位証明書に書かれているくらいですから、正式名称は「<爵位><名前> of Sealand」だと思われますが、敬称(他者からの呼ばれ方)がどうなるかを列挙します。

 まず日本語では、「<名前>卿」もしくは「<名前>閣下」となります。

 英語だと、「Lord <姓>」や「The Right Honorble Lord <姓>」(RtHon と略される)となります。前者の和訳が「<姓>卿」、後者は「<姓>閣下」です。ちなみに二人称の場合は「My Lord」です。「黒執事」でセバスチャンの決めゼリフ「Yes, My lord.」てやつですよ。

 Wikipedia の規約では、ヨーロッパの貴族の表記原則は「人名,爵位of 地名」になってます。たとえばBaron の場合、「<名><姓> ,1st Baron of Sealand」となるはずですが、最後の地名は領地のはずなので、実はSealand だと正確ではない可能性もあります。シーランド公国からもらった爵位ではありますがシーランド公国の一部を拝領したりしているわけではありません。領地を持たない貴族ということになります。

そういえばイギリスではナイトの称号が貰えるとか…

 ショーン・コネリーやポール・マッカートニーといった有名人が貰っていることで認知度の高いイギリスの騎士(Knight)の称号ですが、こちらのの場合は「Sir <名>」になります。これは、男爵以上は基本的に世襲で( イギリスだと一代限りの男爵てのもありますが)、姓にLord が付くのに対し、騎士は一代限りなので、個人名にSir が付くのだそうです。
 加えておくと、「貴族」と言えるのは男爵までで、その下である準男爵や騎士は貴族とはみなされません。

 …と言うことで、本当はもっと複雑なルールがあるようなのですが、当の英国人自身もよく間違えたりするらしく、小説などの中でも表記の揺れがあったりします。ここに挙げたのはあくまで原則ということで。

5.2.紋章学の基礎

 貴族になったからには自分の紋章なんかも作りたくなるものですよね?少なくとも筆者はそうでした(苦笑)。

 日本の「家紋」と西洋の「紋章」。洋の東西で似たようなシステムが組み上がりましたが、その性質はかなり異なります。まずはその違いについて説明します。

 1.「家紋」は「家」を表すが、「紋章」は「個人」を表す。

 日本の家紋はその名の通り「家」のマークです。一家で同じ家紋を使います。これに対して、西洋の紋章は個人の物で、親兄弟であっても異なる紋章を使用します。

2.家紋はモノトーンがほとんどだが、紋章はカラフル。しかし色の使い方には細かいルールがある。

 どの紋章学の解説書にも書いてあることですが、西洋の「紋章」は個人を識別するためにあります。ご存じとは思いますが、西洋の貴族は全身金属の甲冑に覆われた状態で戦ってました。兜の隙間という視界の悪い中で相手を特定する必要上、紛らわしい色の使い方は禁止されてます。

 右の図表は紋章で使われる主要な色(tinctures)です。「金属」「原色」の右半分は、白黒印刷や硬貨の刻印などの時の表現で「ペトラ・サンクタ手法」といいます。硬貨など色を付けることが困難な場合に縦縞や横縞で色の区別とするのはなかなか興味深いです。

 毛皮模様は他にも色々あるのですが、あまり使われないので、代表的な物だけ載せました。

 原則としてこれらの色をルールに従って組み合わせなくてはなりません。これを知らずに適当な色遣いの紋章を作ってしまうと、そのレベルを疑われてしまいます。





 3.家紋は微妙な違いも全て別種として扱うが、紋章は色や構成要素が合っていれば、表現の仕方はかなり違っていても同じ物とみなされる。


徳川葵

会津葵
 家紋は、それ自身が一つの記号です。微妙な違いしかなくても、別物です。右の家紋は「水戸黄門」などの時代劇でも有名な「葵の紋」ですが、徳川本家の家紋と分家の家紋はよく見ると違っています。そしてこの場合は別の家紋となります。

 それに対して、紋章は記号の組み合わせです。記号としてが判別できれば、細かい差異は気にしないようです。西洋の紋章は紋章記述(Blazon)という特殊な表記法によって表記します。これにしたがっていれば、同じ紋章であっても、見た目が若干異なる紋章ができてしまっても間違いではないということになります。

 紋章を公式に認めている国には紋章院という機関があって、国内の紋章を管理しているのですが、イングランドの紋章院の紋章を例に取ります。

 右の紋章は上下共にイングランドの紋章院(College of Arms)の紋章です。兜の形やマントの広がり方・ライオンのしっぽの形など、結構違いがあります。しかし白いライオンのポーズや鳥の色と数、赤いクロスなど「記号」の色や数は同じです。ちなみに下の文字(モットー)はオプションです。この場合、「紋章記述上」同じ物となります。

6.1.爵位取得後の活用

 さて爵位を取得して紋章も作ったとなればそれをどのように活用できるかということになります。筆者の活用事例を報告します。

 筆者は普通に個人名刺に記載しています。大学の非常勤講師というバリバリのフリーランス業にとっては、このくらいのパフォーマンスは必要と見なされるのか、今のところ大してマイナス面はありません。

 男爵になって以降、パーティーや飲み会、会合などに参加した際に「シーランド公国男爵」の肩書きを入れた名刺を配っていますが、なかなかのコストパフォーマンスだと思います。名刺交換の場面で、このネタだけで5分は自分のターンになりますので、かなり楽です。一緒に回っている知人からは反則呼ばわりですが、まず一発で顔を覚えてもらえます。
 
 もちろん正直に、安価で購入したことをバラしてますが、それでも「なんか面白いコトやってる奴だ!」と興味を持ってもらえます。また、その場に知人がいれば、自分で話し始めなくても、「こんなオモロイ奴がいるよ!」と周りに紹介を始めてくれます。また最近は「ヘタリア」のおかげでその筋の人達にはシーランドの認知度が上がっているので、理解してもらいやすいです。

 ノリの良い方は、その後も何かあると「男爵」とお声がけいただき、色々な方に紹介していただけて大変感謝しています。
 
 Twitterのアイコンなどにも使っていますが、紋章を使っている例は少ないため、分かりやすい色を使用しているおかげでもありますが、「あぁこのアイコン見たことあります!」と言われることも多いです。
 
 冗談なども言いやすいというのもありますな。「パンがなければケーキを食べればイイじゃない?」とか「これだから庶民は…」といった定番のセリフが自然に使えます。(※勿論ネタとして言ってくださいね。本気で言ってると嫌われます。)
 マックなどで安く飯を食っていると、時々知人に「貴族がマック食べてるの?」と突っ込まれることもありますが、そんな時も「庶民の食べるものを知るのもノーブレスオブリージュなのさ」と切り返します。ウィットに富んだ会話を普段から楽しむことができるというわけです(笑)。
 
 とはいえ、本当に真面目な場面で出すと逆効果になるかもしれない可能性だけは指摘しております。例えば銀行とか不動産関係で使うと逆に不審人物と思われるそうですよね。実際先日引越の際、さすがに男爵名刺は使いませんでした。そういう真面目な処で使用する名刺は別途用意しておくべきかもしれません。

この本の内容は以上です。


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