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1.1.シーランドの解説

 シーランド公国は、イギリスの南東岸から10km 沖合に浮かぶ「自称」独立国家です。

 元々は、第二次世界大戦中にイギリスが建設した「海上要塞」でした。戦後放置されていたこの要塞に、元英国陸軍少佐であるパディ・ロイ・ベーツさんが乗り込んで、「独立宣言」を発表し、要塞を「シーランド」と名付け、自分は「ロイ・ベーツ公」と名乗りました。

 当然イギリスは強制的に立ち退かせようと裁判を起こしましたが、当時はイギリスの領海は3 海里(黒点線)でシーランドはその外にあるので、イギリス司法の管轄外と判決が下されました。これで実質的には独立したようなものです。

 とはいえ、右の写真を見て分かるとおり、資源とか産業とか期待できるような規模ではありません。一応ネット上のデータヘブンにするという計画もあり、運営会社も設立してはありますが、それがどの程度稼げているのか不明です。

 そんなシーランド公国の外貨を稼ぐ方法の一つが「爵位の販売」。
インターネット上でロード(Lord)、レディ(Lady)、男爵(Baron)、女男爵(Baroness)の爵位を販売しています。
 フジテレビ「ザ・ベストハウス123」の番組内で西川きよしもロードの爵位を購入しており、彼もシーランド公国の貴族、西川卿ということになります。
 ただ、番組では「西川伯爵」としていたようですが、これは正確ではないと思われます。「Lord」という称号は侯爵・伯爵・子爵・男爵に共通して付けることが出来、日本語での「卿」に相当します。つまり男爵であっても、「Lord TANIKAWA」(訳すと谷川卿)ということも出来るのです。5 章で説明しますが、正式名称などについて考えても、ロードとレディーは使いづらいと思います。

 ※というわけで、本書ではBaron とBaroness を推奨しています。


1.2.爵位取得の流れ

 さて具体的な爵位取得の流れは以下の通りです。
  1. ショッピングサイトRedSave.com で爵位を購入
  2. 証明書印刷サイトでPDF を作成し、印刷
  3. 登録申込書を郵送
  4. RedSave Pass を解約
 RedSave.com はイギリスのECサイトです。当然表記は英語で価格は£(ポンド)です。しかもこのサイトはちょっとクセがあって、きちんと手続きをしないと余分に出費してしまいます。「RedSave Price」で安く買いたい時には気をつけてください。

 このサイトで最初に何かを購入する際に、自動的に「RedSave Pass」なるものが無料で付いてきます。このパスのおかげで「RedSave Price」で買えるわけですが、無料なのは30 日だけで、これを過ぎると月に£19.95 費用が発生します。
 ネット上でシーランド公国の爵位がらみのマイナス意見を見ることがありますが、ほとんどは「RedSave Pass」の解約をし忘れた事によるものです。ちゃんと英語を読んで余裕を持って解約すれば問題はありません。

 シーランド公国の爵位の定価は£29.99 で、上記の「RedSave Price」だと£19.99(£10割引)が普通のようです。ちなみに、筆者 が2008 年11 月5 日に購入した時は£12.99でした。クリスマスの時期などにはセールでさらに安くなるようです。クレジットカードの記録によると当時のレートで£1 は159 円なので、送料入れても日本円で2600 円程度でした。

 前書きでも触れましたが、2011年1月現在、シーランド公国の爵位は売り切れ(Out of Stock)です。一応£19.99 という値段ですので今のレートだと2600円強、送料入れても3100円くらいでしょうか。どういった事情で「売り切れ」なのかは分かりませんが、販売再開に備えて、本書を熟読しておいてください。
 まぁ正直いつ潰れておかしくはないので、その時はその時で亡国の貴族を名乗ることができると楽観しています(苦笑)。

2.1.RedSave.com の仕組み

 「RedSave.com」はイギリスのオンラインギフトショップです。
 RedSave.com では基本的に「RedSave Price」と「Retail Price」の二つの値段があります。もちろん「RedSave Price」の方が安いのですが、この価格で購入するには「RedSavePass」に加入する必要があります。というか、その値段で購入しようとすると自動的に加入されます。

 最初の購入から30 日は無料ですので、今回シーランドの爵位購入以外に利用する予定のない方は、登録キットが届いた後はさっさと解約してしまえば余分な出費はありません。

3.1.登録キットの到着

 通常なら1 週間以内にRedSave.com からエアメールが届きます。中には登録用紙や証明書の印刷用紙などの他に、シーランド公国の位置や歴史が記された「Official Documents」も入っています。

 必要な手順は「How to complete the Personalisation Of your Sealand Individual Noble Title Certificate」という小さめのピラ紙に記してあります。

 上記の説明書によると、貴族の証明書をゲットするには3 つ方法があります。

 一つは今回説明するインターネット上のサイトを利用して自分で印刷する方法。無料です。

 二つめはオプション料金を払って印刷されたものを向こうから郵送してもらう方法。必要な料金は£4.99 です。

 最後は、オプション料金を払って印刷したものを額縁に入れてもらって郵送してもらう方法。額の代金込みで£12.99 です。どんな額かは知りませんが、机の上に置くのも壁掛けも可能とのこと。

 とりあえず、1 つめの選択肢を前提に手順を説明しますが、せっかくなのでちゃんとした物が欲しい方は他のオプションを選択するのもアリです。

5.1.敬称・表記

 シーランドの爵位証明書に書かれているくらいですから、正式名称は「<爵位><名前> of Sealand」だと思われますが、敬称(他者からの呼ばれ方)がどうなるかを列挙します。

 まず日本語では、「<名前>卿」もしくは「<名前>閣下」となります。

 英語だと、「Lord <姓>」や「The Right Honorble Lord <姓>」(RtHon と略される)となります。前者の和訳が「<姓>卿」、後者は「<姓>閣下」です。ちなみに二人称の場合は「My Lord」です。「黒執事」でセバスチャンの決めゼリフ「Yes, My lord.」てやつですよ。

 Wikipedia の規約では、ヨーロッパの貴族の表記原則は「人名,爵位of 地名」になってます。たとえばBaron の場合、「<名><姓> ,1st Baron of Sealand」となるはずですが、最後の地名は領地のはずなので、実はSealand だと正確ではない可能性もあります。シーランド公国からもらった爵位ではありますがシーランド公国の一部を拝領したりしているわけではありません。領地を持たない貴族ということになります。

そういえばイギリスではナイトの称号が貰えるとか…

 ショーン・コネリーやポール・マッカートニーといった有名人が貰っていることで認知度の高いイギリスの騎士(Knight)の称号ですが、こちらのの場合は「Sir <名>」になります。これは、男爵以上は基本的に世襲で( イギリスだと一代限りの男爵てのもありますが)、姓にLord が付くのに対し、騎士は一代限りなので、個人名にSir が付くのだそうです。
 加えておくと、「貴族」と言えるのは男爵までで、その下である準男爵や騎士は貴族とはみなされません。

 …と言うことで、本当はもっと複雑なルールがあるようなのですが、当の英国人自身もよく間違えたりするらしく、小説などの中でも表記の揺れがあったりします。ここに挙げたのはあくまで原則ということで。


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