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07.青春18きっぷで行く吾妻線 温泉満喫の日帰り紀行

  3月に入って「青春18きっぷ」が使える初めての週末、吾妻(あがつま)線(渋川~長野原草津口~大前)に乗って群馬県の名湯を味わいに行きました。
 東京方面から普通・快速列車を使って吾妻線に乗る場合、あまり接続が良いとはいえず、朝の列車を逃すと2時間ほど間隔が開いてしまいます。
 それに乗るためには、上野5時13分発の高崎線始発電車に乗る必要があります。1日を有効に使うため、早起きをしてみました。

 東京5時2分発の京浜東北線に乗ったのですが、この列車が上野に着くのは5時9分。
 東北本線と常磐線の始発列車がいずれも5時10分発のため、上野到着と同時に"運動会状態"に。
 ほとんどが無事乗車できたようで、わずか1分でも乗り継げるんだなあ、と感心してしまいました。私の乗る高崎線の始発列車は4分接続なので、もちろん楽々です。

 上野から普通電車で約1時間40分、高崎に到着。7時25分発の長野原草津口行に乗り込みました。
 吾妻線は高崎より先の渋川が起点ですが、全列車が高崎方面へ乗り入れています。
 この路線には、窓に背を向けて座るロングシート電車もあるのですが、今回は東海道線色の古い電車が3両。しかも空いていて快適です。

 渋川を過ぎると単線となり、列車の乗り心地も多少悪くなりました。途中の駅では反対列車との行き違い停車もあり、次第にローカル線の雰囲気になってきます。
 昨夜、関東一帯で雪が降ったため、左手には雪景色と雄大な榛名の山並みを望むことができ、早朝の眠気さえ吹っ飛ぶ美しい車窓が続きます。

 途中の小野上駅を過ぎた辺りからは、左手に吾妻川が寄り添ってきます。吾妻線の車窓を楽しむ場合は、左側がおすすめかもしれません。
 渋川から1時間で長野原草津口に到着。
 駅名の通り、草津温泉への入口駅です。草津温泉行のJRバスは駅直結のターミナルから出発。約30分(640円)で草津温泉バスターミナルへ着きました。

 バスターミナルから5分ほど歩くと、草津温泉のシンボル「湯畑」があります。源泉を汲み上げて湯の花を採取する場所で、硫黄の香りと湯煙が漂う中、滝のようにお湯が溢れ出ています。
 昨今、沸かし湯や循環湯を使う温泉も多い中、ここは正真正銘の「温泉」であることが実感できる場所です。

 そして、草津温泉の素晴らしいところは、地元民用の共同浴場が18カ所もあり、そのすべてに無料で入られることです。
 早速、湯畑の近くにある『千代の湯』に行ってみました。
 5人も入れば満員になるような小さな温泉でしたが、湯質も良くほのぼのとした雰囲気が一杯。すべての温泉を巡ってみたい気分になりましたが、これは次回の楽しみに取っておくことにして、再びバスで長野原草津口駅に戻りました。

 長野原草津口からは、12時5分に出る大前行に乗って吾妻線の全線完乗を目指します。
 15分ほどで万座・鹿沢口駅に到着。万座温泉への入口駅であり、列車の多くがこの駅止まりなのですが、高架上に片面だけのホームで、少々、貧弱な感じもしました。

 そこから5分ほどで、いよいよ吾妻線終着の大前駅にたどり着きました。
 片面ホームがポツリとあるだけの静かな無人駅で、駅前には嬬恋温泉の一軒宿「つまごい館」くらいしか見当たりません。列車に乗ってきたのはわずか5名。全員が私と同じ「鉄道マニア」でありました。
 1日5本しか列車が来ない終着駅。のんびりと温泉に入るというのもいいかもしれません。

 大前から折り返し列車に揺られ約25分、川原湯(かわらゆ)温泉駅に到着。今度はこの駅で下車してみました。
 長野原草津口駅の1つ手前、渋川寄りにある駅で、800年もの歴史を持つ温泉地があります。
 ここでは現在、「八ッ場(やんば)」という名のダム工事が進んでおり、近い将来には付近一帯が水没させられる予定になっています。温泉街はもちろん、JR線や国道も沈んでしまうため、その付け替え工事も進行中のようです。
 温泉の入口には「ダムに沈む川原湯温泉へようこそ」という看板も見受けられ、何ともいえない寂しさを感じました。

 駅から歩いて10分程度で温泉街へ着いたのですが、移転した旅館や家屋も多く、静まりかえっています。飲食店などもほとんどが閉店中。温泉地として寂れつつあることが伺えます。

 共同浴場の「王湯」に入湯。300円という良心的な値段で内湯と露天風呂が楽しめます。
 源頼朝が開湯したといわれるためか、建物には笹竜胆(ささりんどう)の家紋が大きく掲げられており、歴史の深さを感じました。
 貸切状態の内湯と露天風呂をはしごし、肌がつるつるする良質な湯を堪能しました。

 それにしても、今時ダムを作って街を沈めるなんて、時代錯誤のような気がしてなりません。
 特に「飲み水対策」などとして、東京都をはじめとした都県が税金を使って作っているかと思うと、風呂に入りながら腹立たしいやら情けないやらで、複雑な気分になってしまいました。

(2005/3/6)


七つのローカル線紀行【あとがき】

 この『七つのローカル線紀行』は筆者が運営するサイト「鉄道紀行への誘(いざな)い」で掲載された内容に、若干の加筆・修正を加え、一つの「電子本」としてまとめたものです。2002年から2005年にかけて書かれているため、列車の時刻や観光地の状況など、現状と少し異なることがあるかもしれません。この点を含めてお読みいただけましたらと思います。

 「青春18きっぷ」や「北海道&東日本パス」など、普通・快速列車が自由に乗れる切符でローカル線の旅を楽しむ際の参考になりましたら、本望です。

2011年6月
西村 健太郎

七つのローカル線紀行【奥付】



七つのローカル線紀行



公開日 : 2011年6月23日
最終更新 : 2011年6月23日

著者 : 西村健太郎
[プロフィール]

編集・制作 : 鉄道紀行舎(http://kikosya.jp/
発行所 : 株式会社paperboy&co.「パブー」


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この本の内容は以上です。


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