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猫語と犬語の違い

 犬語と猫語の最も大きな違いは次のような社会背景によって決まっている。

犬:閉じた会話の文化
猫:開いた会話の文化

両語を学習する者はこの違いを念頭に置くべきである。

 

 犬語は「遠吠え」「報告・威嚇」「受け声・負け声」の三種類でさらに細分すると下のようになる。

「遠吠え」…群れどうしの位置、人数の確認。
「報告」…注意喚起の為の吠え、鳴き。
「威嚇1」…敵と認識した対象への吠え。
「威嚇2」…下位の仲間への吠え。
「負け声1」…怯えを示す鳴き、吠え。
「負け声2」…服従を伝える鳴き、吠え。
「受け声」…快感を伝える鳴き。

 

 犬の場合、会話の相手として存在する対象は 敵(他の群れ・その他)/家族(上位・下位・同等)の二類五種がせいぜいであり、人間もそのカテゴリーのどこかに含まれる。
 また鳴き声に含まれる情報量は大変少なく、感情語が多いという特徴がある。


 対して猫は基本的に孤高の生き物である。含まれる情報量が多い。感情語も存在するが、嘘を吐くことも出来る。

従って、犬語に堪能な者であっても猫語に習熟するのは難しく、また習熟しても適切なコミュニケーションをとるのは更に難しいのである。


猫語の基本音素

 猫語はポジティブな内容を付加する+音と、ネガティブな内容を付加する-音とが組み合わさってひとつのセンテンスになる。これらは猫語のアルファベットに相当すると考えればよい。ここでは基本的な音を列挙し、表記法を示すが、他の要素であるアクセントや尻尾の形なども文法に影響するので場面に沿った聞き分けをすることが肝要だ。

 

+音:(M)(N)(_)(,)(Y)(n)
-音:(o)(S)(h)(A)(F)(G)

 

 +(プラス)音は「みー」という音(M音と表現)と「にー」という音(N音)。
他に、語と語をつなぐ「いー」(伸ばし音_)という長母音。
「っ」(切り音,)。
短い母音(Y音)。「アン」の語尾(N語尾)

 -(マイナス)音は「ヤオ」という語尾(O語尾)。
空気の漏れる音(語の頭に来るとS音、語尾に来るとH音)。
語と語をつなぐ「あ」(A音)。
息を吐く音(F音)。濁る音(G音)。


音素詳細

 +音-音それぞれ複数有るのは、そのなかでも使用法が少し分かれている。つまり猫なりに使い分けられているからである。例えば基本的に+音の中でもM音は直接的な現在の事象を表現し、N音は抽象的だったり、過去や未来にかかわることを表現する。しかし、+音と-音の区別だけでも知っておいて役に立つ場面がある。
 猫がたくさんの人間がそばに居るとき、好きな人間には「みー」や「にー」と鳴き、嫌いな人には空気の漏れる音を混ぜて鳴くのが観察できる。
 ただし、常に-音が敵意を+音が好意を示すということでもない。例えばー音であるO語尾は尊敬語として使われることが多い。
 また「ご飯くれ」「水をくれ」などの場合はお腹空いた、のどが渇いたなどの不快感を示す-音と甘えや好意を示す
+音が組み合わさって発音される。
 また、発声以外にも耳の動き、喉鳴らし、尻尾の形、目線などノンバーバルコミュニケーションも重要である。態度と語の+-が一致しない場合は発話者が特別な問題を抱えている場合がある。多くは余所の猫と喧嘩したなどだが、病気の兆候という場合もあるので注意が必要だ。
 猫は猫語が分からない相手には単純な会話しかしてこないが、猫語が理解できる相手だとわかるととたんに複雑な内容を伝えてくる。具体的には、天候について、最近のゴミについて、縄張り争いの調停の依頼などである。
 猫は犬のような「忠誠」や「感謝」「反省」などの気持ちは少ないが、「気遣い」「遠慮」「尊敬」などの観念は日本人並みに持っているのでそこをうまく汲み取ることが重要である。特にー音が多く含まれている場合は注意して聞くべきであろう。

猫会話の具体例

初対面の挨拶=「にゃーお」……丁寧さの「にー」の後ろに警戒の「ヤオ」を付ける。猫は初対面の相手に対して少し挑戦的な言い方をするが、警戒は猫の習性であり、ここでは一種の敬語のような扱いで「ヤオ」を軽く付ける。


親しい時の挨拶=「みーやお」……慣れてくるとN音よりもM音を多用し、「ヤオ」が短くなる。大抵はそのあと、どこかに言ってしまう。

何かを要求するとき=「なあん」「なーおん」……何かがほしい時。大抵は餌の要求。「なーおん」の方が少し丁寧。後ろに要求するものが続く。続く言葉のうちA音が多ければエサ。切り音やS音ならば水や水分。「にー」などN音は過去にしてあげた(普段している)何か。Y音など拗音系は保護。H音を多様しながら複雑な何かを表現しているなら、尊敬(褒めてほしい)。M音ならスキンシップなど。

何か話すとき=「なっ、なっ、なっ」……何かを聞いてほしいとき。複雑な会話の前に付く。S音やH音が混ざるときは何か嫌なことがあったと報告している場合が多い。一番目か二番目にO語尾が付く場合は自分の苦労(狩りの成果など)を主張している。人間側が「に―― 」と語尾上げで発音すると、聞いてあげるよという合図になり、猫は何かを話し始めるが内容が複雑であり、初心者には全貌を理解するのは無理である。

甘える場合=「み―― 」……猫が甘えるときに出す声。猫の近くで人間側がこの声を出すと格が下がるので注意すること。


猫会話の具体例2

相手に同意=短く「み」。「に―― 」。ヒト語の「うん」や「アーハン」のように相槌としてよく使われる。「こんにちは」や「さようなら」のような挨拶でも使える。ただし、相手が猫語に堪能でない場合は使ってこない。


強い敵意=「ふー」……息を吐く音(F音)は強い敵意を示している。尻尾が上がっているとき、直接この音が発せられたら相当な敵意をもたれていると感じた方が良い。例外的に、尻尾が下がっている時で長い会話中にこの音が混じる場合は、第三者的な敵(他の猫やカラスなど)を意味することがある。


ありがとう=「なーお」(すごく控えめに)……感謝の意味を示す。猫が事後に感謝を直接示す例は大変少なくしかもすごく控えめ。感謝を強めるときはO語尾を強め長めに発音するか、「なー」の前に「みー」や「にー」を弱く長めにくっつける。


さようなら=「みーにーヤオ」……別れを意味するヤオに、丁寧さと名残惜しさを付加するため「みー」と「にー」を長めにくっつける。「みー」と「にー」の順序は逆でもOK。急いでいるときは「み」と短く鳴いて走り去ることも可能である。O語尾は強めに発音する。猫語に堪能な者は猫に話しかけられる機会が多くこのセンテンスを知らないと会話を打ちきることができない。



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