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マルガリータは街へ着きました。

夜も深い時間、街には人通りがなくとっても静かなものでした。

そこへ向こうから、お酒に酔ったおじさんが、あっちへふらふらこっちへふらふら、

顔を真っ赤にさせて歩いてきました。

「やあ、僕はマルガリータ・ド・トロフス。笑顔がとっても好きなんだ」

おじさんは真っ赤な顔をくいっとひねり、こう言いました。

「ま、まるがり?・・・ヒック。なんだ?毛むくじゃらじゃねえか。・・・ヒック。

なにをわけのわかんないこと・・・ヒック。言ってるんですかあ?・・・ヒック」

それだけ言うとおじさんは、あっちへふらふらこっちへふらふら歩いて行きました。

お日さまが昇ると、街にも朝がやってきました。

マルガリータは大きなビルが沢山ある駅へとやってきました。

すると駅から大勢の黒服の人達が、ぞろぞろぞろぞろやってきました。

みんなメガネをかけていて、ピカピカの靴をコツコツ鳴らして、

なんだか浮かない顔をして、ムスッと無言で歩いていました。

「やあ、僕はマルガリータ・ド・トロフス。みんな笑顔で楽しく歌おう」

マルガリータがそう言ってみても、黒服の人達は誰ひとり相手にしてくれません。

時々大きく目を開けて、不思議そうにマルガリータをチラリと見るだけで

みんな自分に関係ないといった感じでした。

マルガリータは少し悲しくなりました。

マルガリータが歩いていると、前から盲導犬を連れて歩いてくる人がいました。

「やあ、僕はマルガリータ・ド・トロフス。笑顔がとっても好きなんだ」

盲導犬を連れた人は、にっこりと笑いました。

「やあ、キミはもしかして、シャングリランドのマルガリータ?

嬉しいな。僕がまだ目が見えた頃、シャングリランドに遊びに行ったことがあるよ」

マルガリータもにっこりと笑いました。



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