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コーヒーの香り。君の手元にある水筒から香ってくる。少し肌寒い早朝の海辺で静かな時を過ごす僕ら。手渡されたそれはとても温かで。僕の心にまで温もりが届いてくるようだった。その時僕は小さな嘘をつく。本当はこんなにも些細なことが泣きたいほど嬉しいのに無表情という嘘をつく。#twnovel

 

 


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昼の病院で、ひとりきりで順番を待っていた。その流れる時間が自分自身をうきぼりにする。疑うべきなんだ。今ここにいなくちゃいけない事を。外に出ると鳥が飛んでいた。そこは今まで見ていない世界だった。#twnovel

 

 


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休日だという事は分かっていた。時計を見ると昼12時ちょうど。昼の教室に立っている僕を、あの午後独特の光が包み込む。机の上に置かれた花瓶の花。一気に記憶が蘇り、これは君のくれた再会だと悟った。はっと目が覚める。僕にとって今は夢でも、あの頃夢じゃなかった。#twnovel

 

 


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早朝の海辺にまだ寝ぼけ眼のまま辿り着く。揺らぐ水面がかき消すのは、あの頃まだあったはずの砂に書いた文字。やけに最近思い出すんだ。「手品みたいだろ」って消えゆく文字を見て無邪気に笑った君の笑顔を。 #twnovel

 

 


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あれからここまでどうやって歩いてきたのか覚えていない。本物の衝撃を受けると人は本当に記憶をなくすものなんだなと他人事のように思った。どうやってここまで来た?なんて野暮な質問はやめてよ。人生にあらがっていた。ただそれだけの事。 #twnvday #twnovel

 

 

 

 



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